
#47 味方じゃなかった
年齢的には私なんかより全然若そうな、
大柄と小柄の凸凹コンビ警官。
「どうしました?」
「旦那が暴力振るう手前で、キレているので何をされるか怖くて呼びました。」
「旦那さんは酔ってる?」
「はい。」
リビングに入ると、
待ってました!と彼が警官に愛想良く、馴れ馴れしく話しかけます。
「ご苦労さん!入って入って。」
「旦那さん、どうしました?」
「どうもしてないっすよ。ちょっと飲んで帰ってきたら、どうやって入ったんだって言われてさー、
そりゃカギで開けて入ってきたに決まってんじゃん。」
目は座ったままだけど、
愛想良く落ち着き払った様子で受け答える。
そういうとこらは本当に上手い。
詐欺師の演技力爆発です。
「奥さん、原因は何なの?」
「だから、殴る様子で追い掛けて来るので…」
「こいつが、明日の銀行まではここにいてくれって言うから帰ってきたたっつーの!」
「銀行?」
私の言葉を遮る彼、
彼の言葉にしか反応しない警官。
この時の警察官は、私の説明には全く耳を貸してはくれませんでした。
「あんたたち、すか署?俺のこと知ってる?」
なんなら彼と談笑する場面があるほど、
110番をした私に対しての対応は最悪でした。
とにかく、ここから逃げ出したいだけなんだよ、と思いながら、
この後、彼の嘘物語に付き合わされるのです。