#64 甘ちゃんな俺
とりあえずはホッとしながらも、
荷物を車に積んだままのホテル生活です。
そーだった…。
家ないんだった。
とは言え、もう新しい部屋は決まっています。
ものすごいタイミングで内見して即決したお部屋。
半年分の家賃は痛いけど、どのみち払うもの。
夢のお部屋はいつからでも入れる状態です。
そうなると、いつまでもヤツがのらりくらりとあの部屋に居る事に、
腹が立って仕方ない!
自分が言い出したことで、次の居場所も探せていない男。
家賃やライフラインは全て私の支払いです。
そろそろタイムリミットがやってきます。
未だにお義母さんに対しては、
「アクビはお母さんの具合がさー…」と言い続けていて、
お義母さんが少し突っ込んで聞いたら、
「あいつの話はもう止めてくれ!
せっかく飯食ってんだから不味くなるだろっっ!」
とキレる始末。
この時はまだ、お義母さんも我慢して息子の相手をしていました。
「女優になるのよ!バレちゃダメよ!」
二人で情報交換をしているので、
嘘がすぐに分かって少し楽しくさえなってきました。
もう、時には笑えるネタでもくれないと、
本当に殺してしまいそうです。
そんなこんなで、ヤツの余裕も長くは続きません。
2日前まで、
「ちゃんと出ていきます。
カギはポストに入れておきます。」
と、しおらしく言ってきていたのに、
俺劇場は前日に始まりました。
まず、ようやくお義母さんに口を割るのです。
「急に家を出てけって言われてよー、最悪だよ」
はい。私が悪者です。
いつだってそうです。
「あんたがした事が許せないんじゃないの?」(これは昼帰りの件)
「…」
「もう大人なんだから、二人で解決してちょうだい」
もう、今までのお義母さんじゃありませんよ。
ヤツが期待していた返事は、
「あらそうなの?じゃぁここに来るしかないんじゃない。」
という救いの言葉です。
ばーか
あーほ
脳たりん
そして俺は途方に暮れる
だから俺はお前にキレる