#33 嫁と姑
彼が隣にいながらの「挨拶だけするか?」的な会話はありましたが、
きちんと内容のある話しは初だったので、
なんと名乗っていいものか…
私の携帯番号ももちろん知らないはずでしたが、
タイミング良く出て貰えました。
「あ、お久し振りです。アクビです。えと□□(彼の名字)アクビです。」
「あぁぁ!アクビちゃん!どうしたのー?」
私は夕べからの彼の行動を話し、
嘘をついてお金を持って行って、一体どこで何をしているのか?
と訴えたところ、
「死んではいないわよー!酔っ払ってどこかで寝込んでるだけよ!
心配しないで待っててあげて。」
私の心配は事故や事件だったので、
その心配はない、と慰められた後に、
「初めて二人で話す事が出来たから聞きたいんだけど…」
と声のトーンが神妙になるお義母さん。
「彼から暴力を受けたりはしてない?」
えっ?
暴力はないです。
でも…
私が今まで疑問に思っていたことを一つ聞いてみる。
「彼、お父さんに勘当されたと言っていましたが、それから全く連絡は取っていないんでしょうか?」
「そうよ。もう10年以上会ってなければ話してもないわよ。」
「え?10年?」
「私に彼の様子を連絡させるだけで、本人はノータッチよ。
ほら、アクビちゃんは知ってるからいいけど、あの子3回も懲役行ってるし、いつも女性とのトラブルで本当に迷惑掛けられたから、
関わりたくないって。」
「え?でも、私たちの婚姻届のサインはお父さんでしたよ。」
「そんなはずないわよ。サインなんかする訳ない。
…というか、あなたたち籍入れたの?」