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#72 警察官が?

一人じゃ無理だった…。

私より遅れること10分程で警察の車が到着します。
若い男女のペアです。

「大丈夫ですか?
旦那さん、まだいる感じですか?」

「分かりません。私も到着してここから動いてないですから」

「連絡は?」

「昨日、出たというLINEがきてからは何もないです」

「そうですか。じゃぁ行きましょうか。」

これ、一人じゃ絶対に無理だったわ

玄関前に立つと、中からどんよりした空気が漏れている…ような気がする。
もはや、私の知っている場所ではないのね。

2つある鍵穴の一つにカギをさし、
解錠したつもりでドアノブを回してみると、
…開きません。
おやおや、珍しくもう一つも閉めたのか?
でも2つ開けても開かない、と言うことは…

結局、
「カギ、かかってなかったですよね?」
隣で見守ってくれていた男性の警察官が呟きます。

「ですね…」

彼は警棒を構え、先頭を切ってドアを開けます。

「カギはこのポストに入ってるはずなんですよね?」

「はい。」

「ありますか?」

「…ないです」

やはり、です。

部屋がある2階まで、男性警官を先頭に、3人で静かにゆっくり上がります。

部屋に通じるドアを開け、
全てのドアを開けまくってヤツがいないかを確認します。
アメリカのドラマで言うところの
『クリア!』
ってやつです。

男性警官「中にはいませんね。」

女性警官「でもカギを持っているということは、
いつ戻ってくるか分からないので、
取り掛かりましょう!」

た、頼もしい。

この日、1時間しか居られない、と言っていた警察官のお二人。
なんと、私の荷造りを一緒にしてくれると言うのです。

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