#20 突然の電話

7月31日。
私は仕事を退職する日でした。
その日の夜は会社でパーティーがあったので、それに出席して仕事納めという華やかな(笑)ラストでした。

その日の昼に携帯が鳴ります。
液晶には彼の名前!
「出てきた!手紙が書けない状況だったから連絡出来なくて。」
まさかまさかです。

そして、これが地獄の始まりでした。

もちろん再会は嬉しくて、その時には彼からの悪行に関しての謝罪などもあり、これからはずっと一緒に楽しい未来が待っている!と信じていました。
が、喉元を過ぎるのがあまりにも早かった…。
『?』な行動が多発します。
が、そこには〔刑務所帰りの想像や理解を越えた闇〕がウロウロしているせいで「今は仕方ない」という許容を彼は手に入れるように仕向けます。

出てきても満期を迎えるまでは保護司とのインタビューなどもあり、完全な自由ではありません。
身許引き受け人であるお母さんとの同居は免れません。

'俺'の持ち家である葉山のマンションに、お母さんが一緒に住むことになります。
「俺の家なのに彼氏まで連れ込んで、しかも俺の家なのに持ち物がほとんど捨てられてるし!」
会うたびに文句を言います。

世間では名の知れたお母さんとお父さんは、彼が小学生の時に離婚し、それを週刊紙の記事で知った、と言います。
パパラッチにも付け回され、とっても嫌な想いをした、と。
ご両親は離婚はしていても、息子(彼)がいるため関係は切れておらず、お互いに連絡は取り合っているそう。
刑務所からの手紙にも、ご両親の話は度々登場しました。
彼にとって両親は大切な飛道具です。いつでもその影をちらつかせる必要があります。

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