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#60 詐欺師の居ぬ間に

私にはとっても気になっていることが…

夜中に警察に通報して、
パジャマのまま実家に逃げ込む事になった日、
実は『通帳』『はんこ』『現金』『カード類』などは、
昼間のうちに車に避難させていました。
なので、そこは心配ないのですが、
毛皮とジュエリーを残してきた事が、何しろ気になって気になって仕方ありません。

どうにか、こっそり取りに行かれないものか。

とは言え、
警察のお世話にまでなって、
家族まで脅迫され、
荷物がどーたらなんて言っている場合でないのか…?

姉からも、
「それって、ないと生きていかれないもの?」
と指摘を受け、
そりゃそーだよね。
命があるだけでいいよね。

最悪は全てを諦める覚悟もしながら、
良い方法はないか、と一応考えてもみます。

そんな時、
お義母さんを除くと、彼との繋がりを唯一持っている男、
昼まで帰らなかった時も、何かと心配してくれたK氏。
今のところ、仕事のパートナーとして上手く付き合っている彼に連絡をしてみます。

「アクビさーん、どーしたんですか?
帰ってきてあげてくださいよー。」

開口一番こんな感じ。

「いやいや、どう聞いてるか知らないけど、
向こうから家を解約してくれ、離婚してくれって言われたから」

と言うと、

「え?二人って結婚してたの?」
 
そーなんだよ。
こういう事なんだよね。
いつまでも新しい名字に馴染めなかったのとか、
友達に紹介しにくかったのとか、
そういう雰囲気バリバリ醸し出してたんだよね。

「あのさー、撮影とかでヤツと一緒に長時間出かける予定とかない?」

確実なのは、K氏が間違いなく一緒にいる時間を狙うこと。

「あ、出張行くよ。新潟。」

チャンス‼️
日程を教えて貰い、その隙に全ての荷物を運び出すべく、
手配を進めることにしました。

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