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2024-07-27 暑すぎて狂う


登山の道具を買いに電車へ駆け込む。暑い・・・おれは医者に訴えれば頭部多汗症認定まったなしピーポーで、秋口に急いで個人商店に向かったら雨に降られましたかと尋ねられた逸話を持つ。おれこそが真の雨男なのか・・・?とにかく、夏は物理的にも社会的にも殺人的季節でありハンドタオルは手放せない。ただのタオルじゃねーぞ。セームタオルだ。サコッシュにしのばせやすいサイズを買うかカットして作ると暑がりの方のQOL爆上がり間違いなし。というか綿素材は衣類もそうだけど速乾性なさすぎじゃない?君タオルでやってけないよ?バスタオルも大判のセームタオルに変えてみよう。ポタッ・・・髪の毛の先端からどデカい水滴が落ちる。最悪だ、いくらタオルで拭いても間に合わない。この電車に乗ってるやつら全員暑そうな素振りをしているものの、バケツを引っくり返したようになっているのはおれだけだ。ちなみに多汗症には心理的なものもあって、公衆の面前で醜態をさらすような状況に追い込まれると特大冷や汗がブーストされてしまう。汗→はずかしい→汗。地獄の発汗ループ。この不快な緊張感がピークに達すればパニック発作にも派生しうる。なんとか別のことを考えなければ・・・そもそもさ、さすがに気温おかしいだろ。もはや東京はハビタブルゾーンではないだろ。北に逃避行するしか無いだろ。北へ。でもおれは美少女が信用できないから一緒に逃げるならサモエドがいいな。北海道に家を建ててさ、一緒に住もう?こんなところはおさらばしてさ。おれはフルリモート勤務だし、いつでも君のそばにいてやれると思うんだ。君は体力もあるから、長野県もありだな。アルプスの奥深くは諦めるとしても高地の山林はここよりずっと涼しいし、厳冬期の低山に至っては君の特性がこの日本において最も自然に活かされる場だと思うんだ。なぁサモエド。サモちゃん。エドくん。逆から読むとドエモサ。

などと考えているうちに汗は止みつつある。なんとか急場をしのいだ安堵感も束の間、今度は怒りが腹の底から湧いてきた。なんで外出するたびこんなみじめな思いをしなくちゃあならないんだ・・・?多汗症は生まれながらついていた赤特だ。酒浸りで家族に理不尽を押し付けるカス a.k.a 父 は普段おれがヒョロガリ運動不足だから汗を多くかくんだとかいう意味不明なことを言っていたな。バカが。結局野球部に入ってしごかれても、後年筋トレや登山にハマりだしてからも、ついぞ汗の問題は解決しなかった。頭部の治療にはボトックス注射が知られるものの根治はせず、保険適用外の施術を4-6ヶ月毎に受けなければならない。(一方で脇などはレーザー治療によって汗腺を減らす手法が知られており、これは高価なものの本当に困っている人には助かるものだろう。脇汗で悩んでいる方は調べてみてほしい。)っていうか、そもそもおれがベストなケアを尽くしているなら、つゆだくチー牛であったとしても周囲に申し訳なく思う必要なんて無いはずだ!陳腐すぎて普段なら考えもしない開き直りが、狂った暑さと電車の狭苦しさのW加圧で妙に納得感ある真理として迫ってくる。とりあえず、夏の北海道と長野を観光して本当に移住したいか検討しよう。そしてつゆだくチー牛が美味いのか確かめよう。そう思い立って、おれは電車を後にした。

・・・駅のホームは花火大会の客で線路に落とされそうなくらいに埋め尽くされていた。向井秀徳は冷凍都市と言ったが、おれにとっての東京は暑いか、狭いか、臭いかである。


蛇足。最近見たCUREという映画が非ホラーでありながらとても良い怖さだったのでおすすめ。この暑さを寒気で乗り切ろう。


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