大学受験、地方高校の方が選択肢が多い説
地方公立高校卒業後、東大に現役合格した経験をもとに受験について書いていくnoteの第一弾です。
今回の内容はタイトル通り。実は、地方高校の方が選択肢が広いんじゃないか?そして、それは受験生の幸福度にも繋がってるんじゃないか?
地方からの受験は不利では?と思いがちですが、あながちそうじゃないかも?という話を、今日は書いてみたいと思います。
1. 大前提:国公立大学は1つしか受けられない(基本的には)
めちゃめちゃ当たり前ですが、特例を除いて、1年で受験できる国公立大学は1つです。私立は日程さえ被らなければ複数受験できますが、前期で受けられる国公立大学はただ1つ。
どこの大学に願書を出すか?自分の学力で勝負できるのか?
受験生(とその家族)は、希望と学力、本番までの伸びしろとにらめっこしながら、シビアでリアルな判断をしなくてはなりません。
2. 地方受験生のメリットは、地方に住んでいること。
「へ?」みたいなことを書きましたが、これが僕が感じた地方高校出身の一番のメリットでした。
高校情報サイト「みんなの高校情報」からいくつか高校をピックアップし、進学実績データを引用してみます。
盛岡第一高等学校 /2019年度 難関大学合格者数
東大:8人
京大:1人
旧帝大+一工※:56人
国立大(旧帝大+一工を除く):85人
早慶上理ICU:35人
GMARCH:69人
関関同立:15人
(引用元:https://www.minkou.jp/hischool/school/556/)
岐阜高等学校/2019年度 難関大学合格者数
東大:16人
京大:23人
旧帝大+一工※:66人
国立大(旧帝大+一工を除く):131人
早慶上理ICU:63人
GMARCH:54人
関関同立:112人
(引用元:https://www.minkou.jp/hischool/school/university/1414/)
広島大学附属福山高等学校 /2019年度 難関大学合格者数
東大:12人
京大:12人
旧帝大+一工※:36人
国立大(旧帝大+一工を除く):43人
早慶上理ICU:27人
GMARCH:17人
関関同立:44人
(引用元:https://www.minkou.jp/hischool/school/university/3920/)
東北、中部、四国地方から3つの進高校の実績をピックアップしました。特に意図はなくランダムです。
このデータにも現れているように、地方の進学校の特徴は、旧帝大も含めた国立大学進学者の割合が多いです。
この傾向の裏側を、もう少しブレイクダウンしたいと思います。
3. 地方だからこそ「ここじゃなきゃ無理」がない
以下は、自分の経験や大学のクラスメートと話す中で感じたことです。
地方出身者は非都市圏(関東・関西)の大学を選ぶことにハードルがあまりありません。
逆に、都市圏の高校の受験生(特に東京)は、生まれ育った環境もあいまって、地方圏の大学へ挑戦するハードルが高い。
例えば、「岐阜出身の受験生が大学から仙台に行く」は多くの場合大きなハードルにはならないと思います。
逆に、「東京生まれ東京育ちの受験生が大学から札幌に行く」は、大きめの決断になりそうです。
つまり、「地方→都市」「地方→地方中核都市」への移動は、心理的に難しくない一方で、「都市圏→地方・地方中核都市」への移動は大きなハードルがある、ということは想像ができると思います。
そしてこれは、本人・家族に限らず、受験生の周囲の環境にも現れます。
自分が通う高校として、受験するのが「普通」で「おかしくない」大学にどれくらいの幅があるか?が、受験生の選択肢に直結します。高校生という年代で、自分の人生に関わる決断だとはいえ、周りの友人たちと大きく異なる決断をする、というのはかなり難しいことだと思うのです。
その意味で、地方高校出身者の方が、フラットに学力に対する選択肢が多くなる、というのはここにその理由があると考えています。
少しでもいい大学に行きたい。でも、落ちるのも怖い。
そうなった時、選択肢は多い方がいいに決まっていると思います。
4. 選択肢が多いと、受験への向き合い方が変わる。
僕が東大で友人と話す中で感じた一番の違いは、受験への向き合い方です。
「受験戦争」なんて言葉で語られる通り、
都市圏の学校では
「受験校を決める→そこに向かって勉強する」
というプロセスで受験に臨んでいる人が多かったです。東大や医学部など、受験校に差はあれど、まず目標としている大学があって、そこに向かってゴリゴリと勉強していく。
東京に限定して話しますが、東京には超難関校が揃っています。東大、東工大、一橋、有名医学部、慶應に早稲田。そんな大学があり、進学先も基本は首都圏となると、早い段階から(早い人では小学校から)その高い目標に向かって頑張らざるをえない、という状況になるのはうなずけます。
逆に地方ではどうでしょうか。
僕は、最初から東大志望ではありませんでした。周囲も、最初から絶対にこの大学!と決めている人もほぼいなかったと思います。
僕の出身校も含めて、
地方高校の受験プロセスでは、
「まず、学力を行けるところまで伸ばしてみる→その時の学力で、ベストの大学を選択して受ける」
このようになっているところが多いのではないかと思います。
受験生になったら、まずはしっかり勉強してみる。成績は最後まで変化しますから、願書を出すタイミングになったら、その時の学力と照らし合わせて大学を選択する。
このように進められるのも、上の項で書いた選択肢の幅があることがもとにあると思います。僕自身、東大に志望校を決めたのは3年の夏。それまでは別の国立大学を志望校に書いていました。
5. 受験生にとって幸せな受験勉強とは
一番お伝えしたいことにようやく到達しました。
僕は地方で育って受験して本当によかったと心から思っています。基本的にメンタルもあまり強くないので、小さな頃から受験を意識する生活は耐えられなかったと思います。
上の項目で書いたように、地方進学校である僕の出身校の受験勉強は、「まずは受験生になったらまずはちゃんと勉強する。受験校は成績の伸びを見て決める」というスタイルでした。
願書を出す段階になって、東大にチャレンジできるなら東大に出す、北海道・東北・九州などの旧帝大も候補だし、もちろん東京の私立大学を受験してもいい。学校のスタンスとして、本当に健全だったと思います。
つまり、受験生の僕が向き合うのは、自分の学力だけでよかった。いつまでにこのレベルに達していないといけない、ということがなかった。勉強は大変ではありましたが、大変な勉強をしながら更に別のプレッシャーを受ける、ということはありませんでした。だって、志望校は最後まで決まらない、というのが普通だったから。
これは本当にハッピーな受験生だったと思います。
僕は偶然、東大に合格できました。でも、別の大学でも納得していたと思うし、何があっても絶対に東大じゃないと嫌だ、なんて思う受験生は、実はあまり多くないのではないかと思います。
受験は、受験生の学力が最初にあって、志望校はそこに応じて決める。
健全で、受験生が不幸せにならない受験環境は、地方の進学校だからこそあったのではないかと思っています。
とても長くなってしまいました。
ここまで読んでいただいた方、本当にありがとうございます。
次回は、そうはいってもその環境で成績ちゃんと伸びるの!?ってことについて書きたいと思います!
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