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緑、たまに赤、まれに黄
信号機。緑は進もうで赤は止まろう。
もし、もしもだけれど
どちらも点いていたらどうしよう。
進もうか止まろうか。大人になるほど緑と赤が
滲んで見えたりする。
今日もどこかで誰かが、信号機の上の方に浮かぶ
移ろう雲を眺めている。
エンジンの音も横断歩道のピヨピヨも
歯切れよく流れているのに複雑な思いを抱えて
その道をゆく広い背中や小さな肩の人たちの
後ろ姿を追ってしまう。
昨夜のうちになにかになった人がいて
懸命になにかになろうとしている人もいて。
そうね、人になるのが一番難しいよね。
かろやかに進む人たちの声に耳を澄ますと
後悔もあやまちもこゝろにふくみ込まれていることを
知る。描きだされたそのありようは
彩り、とゆうのかな。人の彩りとゆうのかな。
![](https://assets.st-note.com/img/1728649225-0XZamI2h4GwWjtb6NoUMQnVK.jpg?width=1200)
見える世界はこゝろを宿したもので
あふれていると思う。
信号機もそのひとつ。
月や星に劣らず輝いている。笑っている。
にっこりとかにこにこじゃなくてなんとゆうか
にっかりがしっくりくる。
奥の深いこゝろをもつ緑赤黄は
今日も進み、たまに止まり、まれに曖昧であっても
にっかりしながらそこに在るような。
夕日を浴びる。輝く。風を受ける。揺れる。
雨に濡れる。ときどき泣く。
そして、今日も静かにチカチカする。
わたしもチカチカしていれば
よいだけなのだと思った。