里親制度のあゆみ(その6)

令和時代への期待

第1ラウンドは平成28年6月に児童福祉法の改正から始まりました。
第1条(児童福祉の理念)に「児童の権利に関する条約の精神にのっとり」と、権利の表現が登場します。ここで言う条約とは、1989(平成元)年に国連総会で採択されたもので、日本で批准をしたのは1994(平成6)年です。30年かかって、やっと国内法に反映したことになります。

今期の改正は厚労省の有識者会議でまとめ切れずに、大臣が引き取って改正に漕ぎ着けます。争点としては、①子どもが権利の主体である、②子どもの最善の利益が優先する、③家庭養育を優先するの3点でした。総論では正面からの反対はしにくい内容ですが、実務的のは無理というのが大勢でした。塩崎厚労大臣の強い意志で成立することになります。

第2ラウンドが時を置かず動きます。平成29年7月、大臣退任の直前に「新しい社会的養ビジョン」が答申されます。内容としては幼児期の愛着形成が大切であり、家庭養育を国の方針とするもので、それが叶わないときには里親や特別養子を選ぶものと答申されました。狭い範囲の養護から周辺を視野に入れた養育への転換を明記し、施設方式から家庭方式を掲げるものでした。

第3ラウンドが続きます。平成30年7月厚労省から「都道府県社会的養育推進計画(以下、計画)策定要領」が出され、各自治体で取り組むこととなりました。しかも達成に向けての数値目標が示される計画でした。家庭養育を進めるのは、これまでの歩みから見て、極めてハードルの高い夢の目標となるので、実務面からさまざまな意見が出されることになりした。10年かけての目標は次の通りです。(  )は東京都の目標。

 ・3歳未満児の75%は家庭養護、残りを乳児院など。(50%)
 ・学齢期の50%は家庭養育、残りは児童養護施設など(34%)

 併せて、23区に児童相談所が設置できるように法改正がなされており、この流れを受けて区部の令和の時代がスタートすることになりました。

青葉紘宇
執筆者プロフィール

> 里親制度のあゆみ(その5)

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