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続うつ病日記6

 昨日の午後は頭痛と肩こりが激しかったので、昼寝をすることにした。薬を飲んで、ロキソニンゲルを肩から首にかけて塗って布団に入ったが、数十分もすれば頭痛はかなり軽くなった。やった!と思って最寄りの本屋に注文していた本の受け取りに行くと、本屋は臨時休業だった。残念。翌日に延期しよう。

 最近はAmazonに依存するのが嫌で、急ぎではないけれど思わずポチってしまいそうになった本を、最寄りの個人書店に発注してもらうことにしている。この書店では、『翻訳文学紀行』を毎回委託販売してくださっている。Prime VideoやKindle、Amazon Photoにはお世話になっていてなかなか完全に抜け出すことは難しいけれど、紙の本に関しては、できれば自分が好きな書店で購入したい。それに、わたしはAmazonの即日・翌日発送サービスがものすごく嫌いだ。もちろん、もしものときには本当にありがたいのだが、同時に、この作業をこの効率と価格でさばくために誰かに無理な労働が強いられているのではないかと思うとぞっとする。それに、親切丁寧なふりをして、その安さとスピードをあらゆる人や商店ににやんやりと強要してくるところも嫌いだ。そもそも届け物には時間がかかるものだ。幸いわたしは、届け物を待つのが比較的好きな人間だ。忘れた頃に郵便受けに海外からのポストカードが入っていたりすると、思いがけず幸運を手にしたようで嬉しくなる。距離を超えるには時間が必要だ。瞬間移動みたいな届け物には味気がない。

 帰宅後は、ポッカレモン入りの水道水を飲みながら、1月から少しずつ読み進めてきたマグリスの『ミクロコスミ』を読了した。素晴らしい本だった。前半は意識が朦朧としていた2月に読んだので、後で改めて読み直したい。特に最初の「カフェ・サンマルコ」と最後の「市民公園」、「丸天井」の章が気に入った。『ミクロコスミ』は、オーストリアやスロヴェニアなどスラヴ世界に隣接するトリエステとその周辺地域を、歴史的・文化的・言語的に掘り下げて描写していくという形式を取っている。と聞くと小難しそうに聞こえるが(実際難しい部分もあるが)、マグリスは、一トリエステ市民として、歴史的な事件や偉大な人物の存在を、トリエステの一般市民の営みと並列させて描いており、その点で、全体を通して親密で親しみが湧きやすい雰囲気が醸し出されている。

 夕方は、夫と近所のスーパーに買い出しに出かけた。買い物途中で実家のお母さんからLINEが届く、母の日のプレゼントが届いたようだ、わたしたちは今回、鳥取の若桜町でアート活動をしているひやまちさとさんというイラストレーターが運営している「Gallery Cafe ふく」でプレゼントを発注した。

ひやまさんとは、彼女が大阪で活動しているころに知り合った。よく個展を見に行ったり、天神祭に誘ってもらったりしたものだ。彼女のアトリエがあったビルの地下で、チェコ映画の上映会や一般向けの研究発表をしたこともあった。若桜町の「Gallery Cafe ふく」にはまだ足を運ぶことができていないが、早く行ってみたい。また隣接の「シェアハウスsuzu」ではアーティスト・イン・レジデンスのような企画も行われているので、創作活動をしている人はぜひチェックしてみて欲しい。


 夕飯には玄米に味噌汁に焼鮭、炙った厚揚げに刺身こんにゃく。刺身こんにゃくには酢味噌をつけて食べた。

 夫は原稿を書きあぐねている様子で疲弊していた。幸いわたしの方は比較的調子が良かったので、夜は家事を全て引き受けて早めに寝てもらった。
 昨晩は結構目が冴えていたので、薬を飲んで、チェコの作家オタ・パヴェル作/菅寿美・中村和博 訳の『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』(未知谷、2020年)を読み始めた。昨日行った本屋で発注しているのだが、届くまで待ちきれなかったので、フライングして図書館で借り出したのだ。未知谷の本は中東欧文学に強いのでよく手にしているが、大抵は光沢のあるコート紙がカバーとして使われている印象だ。しかし『ボヘミアの森と川』のカバーは、手触りの良いマット紙だった。表紙の水彩画と、森と川を駆け回る子どもの頃の思い出という作品内容と相まって、とても良い雰囲気を醸し出している。文中でも挿絵があったりして(オタ・パヴェル本人の絵だろうか? けっこううまい)可愛らしい。欲を言えば、訳注の配置にもう少し工夫したほうが読みやすいように思う。まだ最初の数十ページしか読んでいないが、20世期中頃のチェコの田舎を駆け巡る子どもたちと、彼らを取り巻く、飾り気のない素朴な大人たちの姿が柔らかなタッチで描かれていて、とても印象的な作品だ。現代の子どもは川で魚釣りをすることなんて多くないのではないかと思うが(かくいうわたしも、釣りをした経験は数えるほどしかない)、例えば、キャンプがてら川辺で子どもに読み聞かせをしたら、楽しそうだなと思った。

 オタ・パヴェルは、20代前半の頃に千野栄一訳の『美しい鹿の死』(紀伊國屋書店、2000年)を読んでいたく感動した記憶がある。ナチス占領下のチェコスロヴァキアの田舎に暮らしていたユダヤ人一家の悲しい運命が、優しいタッチで描かれている。

 今朝は5時に起床。後頭部に昨日の頭痛の名残をうっすらと感じたので、早めに頭痛薬を飲んで二度寝をした。6時ごろに起き出して、スーパーで割引されていたライ麦入りトーストにマーマレードを塗り、ウインナー、卵焼き、トマトを食べ、カフェイン入りコーヒーを1杯飲む。食後はヨガをして日記を書いた。

 これから洗濯物を干して、整骨院と婦人科をはしごする。合間に『翻訳文学紀行Ⅳ』の校閲も進めたい。でも、くれぐれも無理をしないように。

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