ドア
目の前にドアがある。
よくある開き戸。鍵がかかっている。
目の前にあるのに、色も質感もはっきり認識できない。
いつ持ったのか、小さな鍵が自分の手の中にあった。
鍵を開けてドアを開けると、また同様のドアが目に入る。
次のドアも同じように鍵がかかっていて、さっきの鍵を鍵穴に差し込んだ。
ドア、またドアの繰り返しだ。
鍵を開けては開けては進んでいる。
なんとなく振り返ると人の気配を感じた。急ごう。誰が後ろから来ているのかはわからない。でも追いつかれるのはよくない気がする。
いつかこのドアをもっと「ひらけたドア」にできないかと思う。
このドアもいつか自動ドアになるのかな…。
そんなことを考えていたら、いつの間にか開き戸は自動ドアになっていて、急にパッと開き、知らない人が入ってきた。
後ろじゃなかった。前からだ。
危ない、多分刺されると思ったとき、その人が刺された。
刺された、ということは刺したのは私か。
驚きと戸惑いで頭が動かない。ぼんやり、自分が刺すのかと思う。
もう一度その人を確認したら、刺されたと思ったけど、特に怪我をしている様子はなかった。
「刺した」じゃなくて、なんで「刺された」と思ったんだろう。自分のことじゃないのに。
そもそも私はナイフも何も武器らしきものは持っていなかったような。
武器といえば、
この人はどういう武器を持って攻撃してくるんだろう?
そんな疑問がよぎったとき、その人がノズルのついたホースを取り出した。その先は背負ったタンクに繋がっている。
薬剤を撒くのだと分かる。
中に入っている薬剤が何かはわからない。薬剤の名前もでてこない。
その人は、「硝酸カリウムだ」と言う。
硝酸カリウムは何に使うんだっけ?肥料?なんて考えていたら、霧状の薬剤がざーっと撒かれた。
特に何も起こらなかった。
目が覚めた。
全部が自動ドアだとオープンすぎる。知らない人が勝手に入ってきてしまうから。自分で自由に閉じられるようにしておかないといけない。オートロックとかもありかもしれない…って何の話だっけ。
やっと夢から覚めた。
(20170212)