ハミングバード⑤【2021~】
今も、そうなのだろうか。
私の大学生活をありのまま昔の自分に言っても、多分信じては貰えないだろう。友達が増えた。考えられないほど、増えた。
何故か入学初日から人に恵まれた。何故か学部のLINEグループを作った。何故か入学式後の写真撮影を先導していた。何故。何故なんだ。
サークルは元々入ろうとしていた軽音だけでなく、友達経由でアカペラにも入った。眩しい記憶が多い。とても、幸せだ。
幸せ、なんだけど。
何かが足りない。いや、分かってるんだけど。
風穴を開けようとYouTubeチャンネルを開設した。恩師とも言える方と出会い、歌ってみたの動画を週1~2本ペースで出した。
しかしそれも長くは続かなかった。私も、ぶっちゃけ相手方も、少し怠惰になりつつあったような気がする。気づけばどこか本気になりきれていなかった。
多分、やりたいこととは違ったからだ。俺がやりたいのは、曲を出すことなのに。
目の前の幸せを優先してしまい、本当にやらねばならないことを後回しにしてしまった。そのままどんなに足掻いても届きづらい所まで来てしまった気がする。
このまま、自分はどうするのだろうか。このまま、違うままなのだろうか。
親愛なるバンドが解散した後も私はサブスクをブンブン回していた。この頃には完全にマイナーな曲を漁るおじさんであり、サブスクも長く使っていたLINE MUSICからSpotifyへ変えた。かっこいいじゃん、Spotifyの方が。
そうしていつも通り曲をディグっていた時に見つけた新たな花が、歌うトラックメーカー、水槽である。
彼女が作るクールでキャッチーなナンバーは私が昔築いてきた土台にピッタリハマった。水槽の音楽を好きになるためにこれまで曲を聴いてきたんじゃないかと思うほどにピッタリだった。
2ndコンセプトアルバムは30分で1周出来るお手軽さと聴き応え抜群のセットリストから大のお気に入りである。今でも不意にSpotifyの再生ボタンへ手を伸ばす。
そういえば、この人も元は歌い手出身だった。本家よりも再生されているp.h.は彼女の代表作であり、2022年で私が一番聴いた曲だった。
カバー曲を1年を通して1番回すというのは私にとってかなり珍しいことだ。曲の表情観に合わせた歌い方が本当に好きで、まさに私の目指したい理想像のような存在であった。
こういう姿を見ていると、やはり作曲家としての生き方を覗いてしまう。結局最後はこの話に辿り着くのか、と、思うほどに。
どんな形でもいいから、出したいな、なんて。
最近はダイアトニックコードが楽しい。
昔から書きたいと思っていた、音楽の履歴書。書けば書くほど音楽に人生を変えられていると実感した。朽ち果てるまで音楽を抱き締めて、これからも沢山人生を変えてもらおうと思う。
このシリーズを書き始めてから気づいたら2ヶ月が経ってしまっていた。のらりくらりと書き記し続けた訳だけど、何だかんだ書き終わったわけだし明日から淡々と出していこうかな。ということで、締めましょうか。
私はそこら辺にいるただの“はちどり”だ。好きなように好きな花の蜜を吸う、小さな存在。
でも、それでいいと思う。蜜を吸えば吸うほど私の存在は大きくなれるし、その姿を見たあなたがまた幸せになってくれれば、それでいい。
幸せは光に変わる。そう信じて、これからも愛を重ねていこう。
最後まで読んでくれた貴方が幸せでありますように。
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