映画「スラムドッグ・ミリオネア」感想

 こういうのを売り込もうとか、こういうのを流行らせようとか、作り手を送り手の下に置いた「売らんがな」による受賞には、その作品を手に取る前に気持ちが萎える気難しい消費者であるところの俺様である。特に本邦の賞は、いま挙げた点においてどれも全く信用ならない。送り手どもは基本的に受け手の俺たちを全員馬鹿と思っているからであり、それ以上に作り手を不在にする人間への尊敬の無さには、機会さえあれば複数回ブン殴ってやりたいほどの立腹である。なので、評価されるべき作品が当たり前に評価されている単純さにすごく安心する。真に素晴らしいものは送り手の低俗な思惑を一蹴するのである。

 筋立てがご都合主義などという指摘は、先進国に特有の、精神病の描写をリアリティと賞賛する愚劣な態度なので、当サイトをご贔屓にするようなハイセンスの諸氏においては軽々と無視してよい。賢明な映画ファンであるところの俺様は、トレインスポッティングの続編という位置づけ視聴した。同じく社会の底辺を描きながら、人間への愛にたどりつく今回の結末に、ダニー・ボイルの遍歴を垣間見て、涙が出た。

 God is great.

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