映画「ぼくのエリ」感想

 叙情的で、静かなバンパイアもの。この題材を正しく成立させる要件はふたつある。

 まず、成熟の拒否とそれに伴う拒食の感じをメタファーとして折り込めるかどうかだ。本邦に氾濫する作品の多くは知らずか故意にか、この点を欠いてる。

 次に、世界から一方的に向けられる憎悪とそれに伴う孤独である。キリスト教というスキームが世界を体現している文化圏だからこそ、本作のタイトルにも暗示されているような、世界の本質である善からの拒絶の感じを深く表現できるのだ。本邦のバンパイアものが十代の時限的な孤独の表現へ留まるのに対して、欧米のそれがあらゆる人間の孤独を代弁するように思えるのは、ここに理由があると思う。

 あとさぁ、おれ、おたく業界のトレンドに明るいからさぁ、知ってるぜ、こういうのなんて言うか。ロリ婆、ってんだろ? いじめられる男の娘も出てくるし、おまえら、今日はもうたいへんな騒ぎになるな!

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