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朝方の夢
一人でいる事に平気になるのと比例して遠のいていく、ダンナ君のいた頃の記憶。
その事に自分の薄情さを思ったり、寂しいような気持ちになったりする。
実は自分はずっと一人だったかのような気さえし始めていたこの頃。
*****
そろそろ暑くなってきたので、昨日は今シーズン初のハーゲンダッツを久々にお仏壇にお供えしてみた。
気まぐれなお供え。
おーい元気かー、病院でよく食べたよね。だんだん遠のいていくけどちゃんと覚えてるで。
そして今朝、夢を見た。
朝方、もう起きないと、と思いながら微睡んでいる時に見た夢。
眠い、眠い、けどもう起きよう。と思って横を向くと、盛り上がった毛布の中からヒョコヒョコと覗くインコのみーちゃんのクチバシ。
かわいくてそのクチバシを指先で挟んでチョイチョイやると、毛布からにゅっと出てきた長い手が同じような動作でみーちゃんをあやす。
ダンナ君だ。
続いてまだ殆ど眠っているダンナ君の顔がのぞいた。
なんだ、今までのが嘘だったのか。
ダンナ君はちゃんといたんだ。
心底ほっとして、隣にダンナ君がいる懐かしい安心感の中、私はまだムニャムニャしている彼の手にしーちゃんを乗せる。ほら、しーちゃんやで。
ゆうさんおはよー。
遠のいていたいつもの懐かしい言い方で声をかける。
おはよー、と眠気をおして何とか返事してくれるダンナ君。
私は二羽の世話のために先に起きあがって部屋を出た。
そのあたりでだんだんと気づいてきた。
しーちゃんはダンナ君が旅立った後にお迎えしたインコだ。
…こっちが夢だ。
急いで戻ってみると、寝ていた形跡だけ残して毛布は空だった。
やっぱり。
私が逝くまで待っててね。
ダンナ君の寝ていた跡に向かって何度か繰り返した。
遅かっただろうか、届いただろうか。
そうだった、みーちゃんはあんな風に2人で大事に可愛がってきたインコなのだ。
言葉にしにくいけど、2人でいた時の空気感、感覚、色んな大事な物が蘇って、今まで随分とそれらを忘れてしまっていた事に気づく。
そしてまたダンナ君がいないという喪失感。
ものすごく久々に涙の朝だった。
色んな大事な事は遠のいて無くなっていくのじゃなく、記憶のタンスの奥の方になっていくだけなのかもしれない。
でもどこにしまったのか分からなくならないように、定期的に夢に出てきて欲しいものです。
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