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息子、部活始めるってよ

私には高校一年生の息子がいる。

彼は中学生のときプログラミング部に入部したのだが、なんやかんやあって一年も経たないうちに辞めてしまった。

息子が言うには、一つ上の先輩がとても嫌だったのと、そもそもプログラミングが難し過ぎてついていけなかったからというのが理由だった。

私自身が学生の頃どうだったかと言うと、小学校から続けていた剣道を部活に選んで、大学を卒業するまでずっと続けた。

中学時代は嫌な先輩も居たし、その先輩からいじめられたりもあったけれど、辞めることはなかった。
単に辞めるという選択肢がなかったからなのか、剣道が好きだったからなのか、中学時代にいじめられていた時はとてもしんどかったので辞めても良かったのに、とも思う。

ただ、あくまでもその部活の中でというだけなのだが、レギュラーに選ばれて試合に出させてもらっていたというのは大きかったかもしれない。

息子のように周りについていけない中で部活を頑張るのはしんどかったかもなと思う。

息子から『友達と一緒にプログラミング部を辞めて卓球部に入っても良いか。』と聞かれたとき、『あなたが思うようにしたら良いよ。』と答えた。

卓球のラケットを息子と一緒に買いに行った時は私の方がなんだかワクワクしていた。あまり運動を好まないのか自宅でゲームをして過ごすことが多い息子だったので、運動するのはいいことだなと思ったのだ。

でも、蓋を開けてみたら体育の時以外に体操服を持って帰る様子もないし、練習試合をするとか全く聞かなくて、本当に活動してるんかいな?という感じで、ある日などは『体育館に行ったら先に剣道部が活動してたから場所がないし帰ってきた。』と言ったときは膝から崩れ落ちた。

どうやらほとんど活動をしていないゆるゆるの卓球部だったらしく、顧問の先生も新入生に『ここの卓球部は本気でやりたい人は向いていないよ。』と言っちゃったぐらいだそうだ。

卒業アルバムに卓球部として写真に映った息子と友人の姿は、卓球台の後ろに制服で棒立ちしているという、これはこれで味わい深いものではあった。

そんな感じで息子の中学生活は帰宅部ムーブを繰り返す日々だった。

帰宅部だとしても、他に興味関心を持つことに一生懸命だったら良かったのだけれど、『ゲームをしたりアニメを観たりして過ごすのが至高!!ゲームに一番興味があるし、大好きだ!!』と豪語する息子に何と声を掛けたら良いものかちょっと悩んだりもした。

友人とオンラインで繋がってゲームをしたり、好きなアニメの話で盛り上がっている姿も見ていたので、彼は決して孤独に過ごしていたわけでもなかった。

私も夫も、ゲームもアニメも好きだから、そうやって時間を過ごすことに関して肯定的な気持ちはあるけれど、せっかくの学校生活なのになぁという思いもあった。

大人になってもゲームもアニメは楽しめるよ、今しかできないことがきっとあるよと伝えていた。

基本的に息子が決めたことにはあまり口出しをしないで見守っていたので、いわゆる反抗期みたいなものは今まではなかったと思う。

ゲームをしてはいけない、勉強をしなさい、と言うことはなかった。
成績は上がりもせず、なんならちょこっと下がったりだったが、親がどうこう言って変わることでもないしな、なんて思っていた。
でも、成績がめちゃくちゃ下がったらさすがにそうも言ってられなかったかもしれない。

部屋を片付けなさい、制服をきちんとハンガーに掛けなさいと言うことはしょっちゅうあるし、全く現在も聞いてくれないけれど、私も学生時代はそうだったしなぁ、なんて思ったりしている。

そしてこの春、高校に進学した息子には、運動部、文化部どちらでも構わないから何かしらの部活には入って欲しいという私の希望を伝えておいた。

中学時代よりも生徒数が増えたので部活の選択肢が増えたようで、息子は友人たちと相談してフットサル部を選んだ。
ただし、最初は仮入部にした。お金もかかることだから少し様子を見たいとのことだった。

普段運動をしていない息子だったので、部活をしたあとの筋肉痛が相当辛く悶え苦しんでいたけれど、部活の後に友人と話をしたりちょっと買い食いしたりするのも楽しいようだった。
友達と話して帰るから少し遅くなるという連絡をもらったりもした。
そんなことはこれまでなかったので、息子が青春を謳歌しているのだと思って無性に嬉しかった。

しばらくは仮入部で様子を見ている息子を『どうするつもりなのかな?』と思いながら見守っていたところ、4月末に本入部をするので部費を払ってもらえないかと彼から話があった。

夫も相当嬉しかったようで、すぐにボールと靴と靴下を買いに息子と一緒に出かけた。

フットサルのルールを覚えたり体力をつけたり色々とやることも多いだろうけれど、がんばって続けてくれたらなぁと切に願う。

学校で勉強して部活をするという生活はどれだけ貴重な日々だったか、この歳になってつくづくと感じる。

私は特に高校時代に勉強と部活の両方を一生懸命頑張っていた頃がとても輝いていたなと感じている。
今でも年末にその当時の仲間と会って忘年会をしているぐらい濃い3年間だった。

大人になった今でも自分さえその気になれば勉強も運動もできるのだけれど、学校という場でそれができるのは若者の特権なのだろうし、息子にも今しかできないことを今やってみて欲しいのだ。

もちろん、私と息子は違う人間なのだし、頑張れる強度も興味を持つ分野も違うから、私ができたことを息子もできるとは思ってはいないので、押しつけにならないようにしたいとは思っている。

何はともあれ、『お家でお菓子食べながらゲームしている時が一番幸せだ。』と豪語していた息子がフットサル部に入部したことにはとても驚いたし、嬉しいことだった。まさかフットサルを選ぶなんて!!
友人の影響というものは大きいものだ。

別に家で過ごすことがダメだとかそう言うことではなくて、何かに一生懸命取り組む経験をして欲しいという思いがあるのだ。

もちろん、苦しくて心や体を壊してしまうほど頑張る必要などはないけれど、息子自身が良い経験だったなと振り返る時が来たらとても嬉しい。

息子よ、一生懸命頑張れよ。
勉強も部活も頑張れる日々は人生の中でとても短いのだから。

とか言いながら、またプログラミング部の時みたいにフットサル部を辞めるってなったら『息子、部活辞めるってよ』てタイトルでnoteを書くかな。

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