飛ぶ練習
雨降りの1日。
無性に寂しくなった。
ベランダに出てぼんやり空を眺める。
チチチチチ チチチチチ
可愛らしい声と一緒に、何羽ものツバメが現れた。
どうやら巣立ったばかりらしく、
親鳥と思われる鳥を追いかけるように飛び交っている。
飛行訓練中かな。
だんだん思い思いの飛び方をし始める。
あっちへ行き、こっちへ行き。
どんどん飛ぶ範囲が広くなる。
楽しくてたまらないという感じ。
そうよね。
ぎゅうぎゅう詰めだった巣から飛びだしたら
こんなに広い空が待っていたのだもの。
思うようにいかない私の世界は、少しだけ窮屈…。
外の世界は変えられなくても
心の中は自由だってこと…。
わかってはいるのだけれど。
でも、時々、操縦不能に陥る。
私の方が飛び方が下手だわ~。
もっともっと練習しないとね。
軽くならないとね。
ヒュ~ン
落下しそうになったところを
救ってくれてありがとう ♪
重ねた年輪の重みが、あるときふっと重力の支配から解き放たれ、軽みに転じる。人生にはそういう瞬間が訪れるときがあるんだよ。
『小鳥来る日』 平松洋子 より