![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/55811020/rectangle_large_type_2_89844f7bf75722c3464ef736a057e1ca.jpg?width=1200)
My 句集
2018年に始めてみた俳句。
いろいろな場に投句してみて、(そこそこの…)好評価をいただけた句をピックアップしています。
時々更新、まずは200句目標 ♪
のんびり楽しみながら続けてみようと思います。
(2022年9月10日現在 81句)
★2022年★
封書にて結果通知や福寿草
草の花肩書きは「タロのおばちゃん」
行間に悲しみ梟の夜啼き
吾亦紅終の住処は風の国
覚えては忘れる地名春の雲
夕桜夫の退院先は空
サキソフォン棚に返して卒業す
ワカケホンセイインコ桜貪る
春日傘影にも薄き花模様
答え探して朧の古書店街
影絵のごと絵描きの鞄から蝶々
日曜の君は無防備四十雀
身のうちに生まれるひかり朝の滝
紫陽花は昨日も咲いていたよ、母
炎天や短い影がボール蹴る
★2021年★
水鳥の時間ゆっくり昼の月
狐火や阿部定ここに住んでいた
吾の帰り磯巾着が待っている
ライアーの音色まあるく梅雨の底
告げられた余命超えたよ薄氷
捨てられぬ犬小屋雨の日の落花
泉に目のぞけばのぞき返されて
風なき日の風鈴退職の夕
月涼しチェロの音色は森の声
「サミシイ」のこだま夕刻の郭公
洗いたてのカーテン立秋の光
さみしさは日記に仕舞う石榴の実
満たされて蟷螂のまなざし静か
お見舞いの帰り赤すぎる鶏頭
空映す出水うつくしくてかなし
★2020年★
雪女通るとき世界は無音
転生の予行練習冬眠す
袖口に隠す手のひら冬に入る
麦踏めばほのかに匂う明日の風
寝たきりの夫の爪伸び花の雨
雪解風ゴリラ二頭のドラミング
新居の出窓ひとりじめの夕焼け
ヒヤシンス父の書斎の老子読む
初夏の駱駝のくちびるやわらか
大人用おむつ重くて雲の峰
バリだもの椰子の木柄の水着買う
コンポスト発酵夜の鰯雲
正解のない問いばかり西瓜切る
大樹からあまたの声や野分晴
キッチンに隠し持つ武器唐辛子
小鳥来る壊れたままの掃除ロボ
教室の古き地球儀小鳥来る
それぞれにある物語鳥渡る
秋晴やテニスコートに鳶の影
河童棲む沼のほとりや実紫
保護猫の小さき鳴き声草の花
熱燗や父無き父の誕生日
メタセコイアの森で瞑想鮫に会う
病院のポスト色なき風の音
祖母にメール返信は小春の葉書
向日葵の真ん中の闇ビッグバン
★2019年★
木枯しを味方につけて二十歳の恋
マスクからつと鼻出せば風に色
宇宙地球日本東京薄氷
どこからが延命だろう柏散る
窓に映る空を磨いて師走かな
サイネリア父の書斎に父なくて
地下鉄の出口複雑つばめ来る
廃校の色なき空やこどもの日
水鉄砲発射ひこうき雲ぐんぐん
サンキャッチャーつんと弾いて梅雨の底
麗かや急須の影の鳥に似て
玉ねぎや自分探しの意味の無さ
新盆や父の書斎に父のペン
濁声の八百屋なよやかに持つ桃
シフォンケーキ舌にほわんと秋思かな
病院の消灯早し蚯蚓鳴く
初冬の窓辺鳥語を話す猫
また一軒本屋なくなり夕時雨
父の墓あったかそうに落葉満つ
★2018年★
夏草や夫は病院のにおい
物干しのシャツに蝶父の命日
手のひらに小さき心臓雨蛙
百万本の向日葵さんざめく星
秋刀魚焼く音符の跳ねるフライパン
鵙鳴いて風も私も凛とする