ぬいぐるみ軍隊
幼い頃、ぬいぐるみがとても好きだった。
女児が通る道、と言えばそれまでなのだけど、寝る時にお気に入りのぬいぐるみ達に集合をかけて自分の周りをぐるりと囲む時期があった。
私の安眠をぬいぐるみ軍隊に守ってもらうのだ。
寝るのが怖かったのだ。当時は説明できなかったが夜寝て朝にみんな居なくなってたらどうしよう、という不安があった。
そして影響を受けやすい性質だったのでテレビ番組の怖い話やゾンビ映画を目にするとその日の夜はそのまんま夢に見てた。
今でも覚えてるのは小学2年生くらいで家族でエイリアンを見たらその晩に自分のお腹を食い破ってエイリアンが出てくる夢を見た。
インパクトのある映像はそのまま夢で繰り返すのである。子供心にとても恐ろしかった。
犬はその日の出来事を夢で繰り返すらしい。
私はヒトと思って生きてるが実は犬なのだろうか。
楽しかった出来事は何度でも夢で再現してほしい。しかしもう見たくないな、という映像の方が圧倒的に多い。
戦争などの映像も夢に見やすい。現地からの生々しいレポート記事を読んだ夜も夢出てしまった。文章を頭が勝手に映像化してくれる機能が備わっている。これはちょっとやっかいである。
子供の頃、怖い夢から守ってくれるのはぬいぐるみ達だった。実際には何もしてくれないのだが恐ろしくて目を覚ました時、側にお気に入りのぬいぐるみがいることが慰めになる。
そんな気持ちがぬいぐるみで自分を囲むという行動になったように思う。
今でもぬいぐるみが好きだ。大人になってぬいぐるみと寝てるなんていうのはあまり人に言わない方が良いと思っている。でも現実に毎日ぬいぐるみと寝ている。
それにぬいぐるみを抱きしめると幸せ物質が放出されるそうなので積極的に抱きしめるようにしている。幸せ物質というネーミングもわかりやすくてお気に入りだ。
今の相棒はIKEA出身の黄色のタコである。めちゃくちゃかわいい。サイズも大人が抱きしめるのに充分だし変に可愛らしくデフォルメされてなくてそこが良い。8本の足は裏側にイボが表現されている。お値段お手頃で良い作りである。
IKEAのぬいぐるみはなかなかよいので時々チェックしてる。過去話題になったパンダやサメも可愛かったがタコはそれ以上と思う。まだSNSでバズってないのが不思議である。
いまいちモチーフ的に不人気そうだが可愛すぎるので色違いも販売されたらもっと欲しい。部屋にタコを大量に置きたい。
余談だがずっとよい形のワニも探している。リアルすぎず変に可愛すぎず…理想のワニに出会えるその日まで。定期的に『ワニ ぬいぐるみ』を検索してる40歳、これもあまり大声では言えない趣味である。
なかなか人間、変わらないんだなとベッドの定位置のぬいぐるみ達を見て思う。
…ハンドメイドの作家物のぬいぐるみとかも可愛くて、でもそこに手を出したら沼というやつな気がして警戒している日々である。