記憶と変化
ずっと前、まだわたしが独身だったころ、この写真と同じような夕景をみたことがある。
女友達4~5人で行った海。
昼間、どこで遊んだのかも覚えてはいない。
夕方にはその海にいた。
大きくて印象に残るオレンジ色の太陽の色は、今でもはっきり覚えている。
そのときに感じた、自分の心は、少し寂しげで、少し癒されていた。
ただじっと、水平線の向こうに落ちようとしている太陽を見つめていた。
今では夕方に海に行くこともなくなったので、家から見る夕景を見るだけだ。
そこには海は存在しないけど、それでもきれいだとは感じる。
ベランダから色が変化していく様子をしばらく見ていることもある。
だけど……
やっぱり何かがちがう。
たぶん今、あのときと同じ海に行ったとしても、同じ気持ちで夕日が落ちていくところを見られはしないだろう。
時間はとまることがない。
自分の気持ちも変化しつづける。
それは、生きているかぎり、変わり続ける。
【おわり】
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