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客席からの眺め

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お箏の演奏会は楽しい! お箏の演奏会に行くといろんな曲、いろんな情景に出会うことが出来ます。 どんな物を聴いて、何を感じたのか。素人が聴きに行った演奏会の感想を、綴ります。
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#箏曲

日原 藤花維柯 箏曲 古典の会Ⅱ

日原 藤花維柯 箏曲 古典の会Ⅱ

今をときめく演奏家であられる日原藤花維柯さんの古典の会。
前回2022年10月に開催され、今回は第二回になります。
今回は会場が銕仙会能楽研修所とのことで、とても楽しみに伺いました。
 
お箏(三味線も尺八も)は、特に古典の曲の場合は、能楽堂や木造の古民家で聴くのと、PAの入ったホールで聴くのとでは、全然表情が変わります。
マイクで拾いきれない、たくさんの音がなっています。
いや、音ではなく、もは

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「亀山香能 箏曲コンサートⅤ ―語り伝えて―」

「亀山香能 箏曲コンサートⅤ ―語り伝えて―」

山田流箏曲家の亀山香能さんのコンサート。
2019年から始まった「箏曲コンサート」の5回目になります。
 
ご承知の通り、お箏にはざっくり分類すると、生田流と山田流という2つの流派があります。
山田流は、「山田検校が、河東節や謡曲を参考に、物語のような内容を持った新しい箏曲として江戸で創始した流派」(文化デジタルライブラリーより)ということで、軽やかな箏の音にボリュームのある歌が特徴といえます。

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「ラガヴーリン62 第10回記念公演 箏・三絃・胡弓コンサート」

「ラガヴーリン62 第10回記念公演 箏・三絃・胡弓コンサート」

東京藝術大学邦楽科生田流箏曲同期生の会の演奏会です。
62とは、大学を卒業された年とのこと。
それから30ウン年?
それぞれが演奏活動を続けられてきて、このコンサートで一同に会します。
 
大学に入るまでのバックグラウンドも、卒業してからの環境も音楽性も様々。
ある意味、メンバーの共通点は、あの時あそこに一緒にいた、というだけと言っても過言ではないと思います。
そんな方々が、30年以上もそれぞれの

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「東京雅びの会 箏演奏会 Vol.11」

「東京雅びの会 箏演奏会 Vol.11」

1994年に新しい邦楽システムを作ろう、と旗揚げされた「雅びの会」。
その東京支部の演奏会です。
 
入り口でチケットを提示すると、モギリの方が「どうぞ楽しんでいってください」と声をかけてくださいました。
そのお言葉通り、たっぷり楽しませていただきました。
 
全14曲。
自身も箏を演奏する作曲家達の、弾いて楽しい、聴いて楽しい曲が次から次へと現れます。
演奏者は、プロアマ問わず、箏の流派も問わず

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「第三回川瀬露秋の会 ~懐い継なぐ~」

「第三回川瀬露秋の会 ~懐い継なぐ~」

紀尾井ホール小ホール。
生田流箏曲白秋会を率いるお家元の会。
江戸時代の曲を、箏・三味線・胡弓で演奏。

と聞くと、
堅苦しそう、かしこまって聞かなくてはならなくて、そして眠そう。
そんなイメージを持たれるかもしれません。
しかし、そのイメージが覆る「演奏会」ではなく「ライブ」でした。
 
幕開けは2面の長磯箏で「みだれ/京みだれ」
長磯箏は、豪華な装飾がなされたお箏です。
蒔絵や螺鈿、鼈甲で彩ら

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「The 箏 KOTO spin-off」

「The 箏 KOTO spin-off」

深海さとみさん、福永千恵子さん、吉村七重さん
大御所お三方による「The 箏 KOTO」の4回目の公演です。
 
サブタイトルはspin-off。
これまでは大曲が多かったのですが、皆さまの声にお応えして、「聴きやすい曲」にしてみたとのことです。
確かに、他の演奏会でも耳にしたことのある「聴きやすい曲」のラインナップです。
ですが、全然違います。
 
トップバッターは福永千恵子さん「鳥のように」

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「山田流箏曲協会創立百周年記念 第九十三回定期演奏会」

「山田流箏曲協会創立百周年記念 第九十三回定期演奏会」

山田流箏曲協会の定期演奏会。
今年は、協会創立百周年記念とのことで、盛大に開催されました。
開演は11時。そして20時終演。
いずれの曲も聴き逃しがたいとは思いながらも、さすがに全曲を集中して聴き続ける体力に自信が無く、途中から拝聴いたしました。
 
箏曲には大きく山田流と生田流があります。
学校の教科書等では、爪の形が違う、くらいしか習いません。
演奏される曲も、どちらの流派でも演奏される曲もあ

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「中井智弥 砧の系譜 箏・二十五絃箏リサイタル」

「中井智弥 砧の系譜 箏・二十五絃箏リサイタル」

中井智弥さん。
二十五絃箏をメインに演奏され、ご自身で作曲もされます。
リサイタルは毎回凝ったプログラム。
今回のテーマは「砧(きぬた)」です。
 
昔、麻や葛の着物の繊維を和らげるためや、木綿のしわを伸ばすために、布を木槌で叩いていました。
この動作や道具を「砧」と呼びます。
秋の夜長に、あちらこちらから聞こえる砧の音は、秋の風物詩となり、様々な文化芸能に取り入れられています。
 
箏曲にも数あ

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「下野戸亜弓 箏曲リサイタル ー山田検校作品連続演奏会Ⅲ-」

「下野戸亜弓 箏曲リサイタル ー山田検校作品連続演奏会Ⅲ-」

山田流箏曲演奏家である下野戸亜弓さん。
2019年から、古典の会と現代曲の会をそれぞれ開催されています。
本日の公演は、古典の会の3回目にあたります。
山田流は、声の表現も重視した流派で、歌も聴きどころです。
下野戸さんは、箏曲演奏家であり、かつ日本の歌唱法の専門家でもあります。
そのお歌を聴くのも楽しみに、足を運びました。
 それぞれ趣向が凝らされた3曲が演奏されました。
 
「小督曲」
平家物

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「新宮順子演奏会 いにしへをたづねて-絵巻-」

「新宮順子演奏会 いにしへをたづねて-絵巻-」

お箏といえば、お正月に流れる「春の海」。
皆さまご存じのこの曲を作曲されたのが、宮城道雄さんです。
この宮城道雄さんの教えを、守り伝承されている新宮順子さんの演奏会。
目で見ても耳で聴いても大変美しい「絵巻」そのものでした。
 
越天楽変奏曲
昭和3年、昭和天皇即位大典の奉祝曲として作曲された独奏箏とオーケストラによる協奏曲。
今回は宮城道雄さん本人が、邦楽器の合奏曲として編曲したバージョンとのこ

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「中島裕康 箏リサイタル2022~2023 千葉公演」

「中島裕康 箏リサイタル2022~2023 千葉公演」

圧倒的な、揺るぎのない、正確無比なテクニック。
どの音も、音程もリズムも、一分のブレもありません。
気迫のこもった演奏には、1曲終わる度に、客席から感嘆のため息がこぼれます。
 
その爪音を、存分に味わうことの出来るプログラムは、バラエティ豊かで、とても贅沢な気分を味わえました。
 
超絶技巧の十三絃箏
奥深い古典、低調子の十三絃箏
十三絃箏と十七絃箏のアンサンブル
十七絃箏の独奏
総勢12名での

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