アラカク初心者がアラカクのライブに行ってきた話
来る3月25日。直近で一番楽しみにしていたとあるライブに行ってきた。
「アラカク~第5回MAXバウトミドル級トーナメントFINAL~」
お笑いコンビ、クロコップの荒木好之さんが小さい頃からやっている架空の格闘技団体「アラカク」の最強選手を決める一大トーナメント「MAXバウト」の準決勝・決勝の試合を見るイベントだ。
このライブがとても良かったのでどうしても何か書き残しておきたいと思い立ち筆を執った。
私自身文章を書くのが苦手で拙文になってしまうかもしれないが、ライブレポートという形でざっと内容をまとめていく。
形式上試合のネタバレを少ししてしまうのでそこだけはご了承を。気になるという方は先に下記の動画をチェックした方が良いかもしれない。
アラカクを知ったきっかけ
昨年のキングオブコントでクロコップさんがトップバッターでインパクトを残したことは記憶に新しいだろう。私はその影響でお笑いライブというものに行き始めた。その頃に「アラカク通信」に上がっている試合の動画を見たのがきっかけだ。
前提として私は格闘技の試合は今まで見たことがないし知識もほとんどない。それにスポーツ観戦というものに興味を示すタイプではなかったので、なんかよく分かんないけど凄いことやってるなというのが初見の感想である。
ただ、アラカクについて説明する動画を見た時に妙な親近感を抱いた。小中学生の頃、休み時間に地図帳に載っている地名を勝手にくっつけて架空の人物を作り架空のクラス名簿を埋める遊びをこっそり一人でやっていたからだ。
それからちょこちょこ動画をチェックするようになった私は今大会2回戦のこの試合に釘付けになった。
この動画を見てからアラカクって面白いかもと本格的に思い始め、この目で結末を見届けたいと初めてチケットを取った。
ライブ当日
ライブ前〜オープニング
当日の天気は生憎の雨。3月には似合わないとても寒い日だった。しかもその前に2つお笑いライブをハシゴした。服装ミスったかな、最後まで体力持つかなという若干の心配とライブへの期待感を胸に会場である新宿バティオスに向かった。
受付を済ませ後方の席に着く。bgmがいかにも決戦が始まるぞという感じで良い雰囲気。お客さんも見た感じ女性の方が多くて意外だ。客席の前には小さい椅子がずらり、多分出演者の方用の椅子なのかな。そんな事を考えながら開演を待った。
そして、開演と同時に壮大な音楽とともに円卓に置かれたMAXバウトのチャンピオンベルトがスポットライトに照らされる。それが終わって暗転の中でベルトをささっと片付ける荒木さんについ吹き出した。
その後、出演者の方々が登場。オープニングトークの中で「今日アラカク初めてだよって人」と聞かれ周りの殆どの方が手を挙げていたのには私も初めてながらびっくりした。
アラカクの概要と歴史
舞台袖から持ってきたのは両面のホワイトボード。これを用いてアラカクの概要と歴史を解説する。しかも45分かけてみっちり丁寧にだ。
私が概要の中で特に面白いと思ったのが選手の外見は各々が想像したものに委ねるという部分。選手像をカッチリと決めない所が良い。見ている人によって何通りもの姿形の違う選手が画面の中にいることになる、この状況を想像するとめちゃくちゃ面白かった。
歴史を紐解くパートも興味深かった。解像度が上がってより理解が深まっていく。格闘技一本化になってから今までの変遷にドラマ性を感じた。各時代に活躍した代表的な選手の名前を見た時、「確かに前に見た試合のジャッジの中にそういう名前あったな!」と気づいておおっ!となった。点と点が線で繋がっていくようでとても楽しかった。
何より生き生きと心の底から楽しそうに喋られる荒木さんとアラカクファミリー、ゲストの方々とのやり取りが軽快で心地よかった。
アラカクファミリーの皆さんは流石の知識量と安定感のあるサポートで解説をより分かりやすくしてくれた。ゲストの方々の合いの手や質問も絶妙で、時に未公開情報がポロッと出てくる。ずっとこの話聞いていたい、もっと知りたい!とワクワクした。
会場も徐々に盛り上がりを増していき、書くところがなくなってホワイトボードをひっくり返すだけで拍手喝采が巻き起こっていた。そうさせてしまうほどの不思議な魅力がアラカクにはあるんだろうなと思った。
いざ試合観戦
試合前に準決勝に駒を進めた4人の選手情報と顔写真が載った A4用紙が全員に配られる。
「では、お座り下さい。」という一声で出演者の方々が舞台から降りて客席前のあの小さな椅子に座る。気分はさながらパブリックビューイングだ。
1回戦・2回戦のダイジェスト映像の後、準決勝の動画が流れる。個人的に選手の人となりをもっと知りたいなと思っていたので、試合前にインタビューがあったのが嬉しかった。
ついに試合が始まる。
この動画は選手・レフェリー・判定・実況解説・編集に至るまで全て荒木さんお一人でやっていらっしゃる。自宅で荒木さんと荒木さんが戦っている様子を一同静かに見守るという、よくよく考えると奇妙な光景もこの時の私はもうすんなり受け入れていた。
試合中、攻撃をした側とされた側の動きを時間を少し遡って両方見せる場合がある。これをアラカク用語で「リプる」と言う。クリティカルヒットや決着の決め手になった場面ではそれを同時に見せてくれるのだが、このリプる瞬間がとにかく凄い。しかも一発撮りな上、試合の展開はやっている最中には全く分からないという。全然動きが噛み合ってない時もあると仰られていたが私には本当に攻撃が当たっているように見えた。一言で言い表すとするならば「神業」だろう。
この日私の心を掴んだのがテール・ジャンクという選手。MAXバウトでは過去2回王者に輝いたが前回大会はミサ・ウィル・ジョーに負けてしまい、リベンジに燃えていた。その熱い気持ちがこもったインタビューに惹かれ、どんなに攻撃を喰らっても耐えて立ち上がる姿がとてもカッコ良かった。決勝進出が決まった瞬間、対戦相手のミサ・ウィル・ジョーをリングに呼び込んだ時のあの空気感にハラハラドキドキさせられた。
ミサ・ウィル・ジョーとテール・ジャンクの一戦どっちが勝つと思うか。出演者側はミサ・ウィル・ジョー派が多数、観客側はテール・ジャンク派が多数とクッキリ分かれた。「こんなに真っ二つに分かれることある!?」とのツッコミに納得の笑いが出た。
いよいよ決勝戦。なんと入場シーン付きだった。90年代のインターネットみたいなんて言われていた演出もなんだか味わい深かった。
今思い返すと自分でも信じられないのだが、この時の私はなんの格闘技の知識もないのに選手の動きを見て次はこう行くんじゃないかなんて頭の中で予想を立てながら見ていた。手に汗握る試合展開に目が離せなかった。
結果は1RKOでテール・ジャンクの優勝、この日一番盛り上がった瞬間だった。
試合後はっと我に帰る。いつの間にか前のめりになっていた。全身が熱くて、手に力が入っていたのかジンジンと痛い。私こんなに没頭してたんだと驚く。今見ていた試合は架空で、でもそれを見て盛り上がっていたあの場は現実で。
いろんな情報が一気に押し寄せてきて脳が一瞬バグりそうになる。でもそんな理屈今は良いと楽しいという感情と何とも言えない高揚感が込み上げる。
今までに経験したことのないとても不思議な感覚を味わうことができた。そして、スポーツ観戦の楽しさがちょっと分かった気がした。
ライブ後の感想
ただの一観客としてこんなことを言うのも大変烏滸がましいが、これは近々とんでもない一大コンテンツになるぞと確信した。ライブ前の若干の心配はどこへやら。外に出た時、少し火照った体に寒さがちょうど良い。興奮冷めやらぬ帰路だった。
家に帰って少し落ち着いてから、この日のことを振り返ってアラカクは荒木さんの中でずっと生き続けている世界なんだなと実感した。ほんの一時ではあるが観客という立場でその世界の中に居られたようで、そして会場にいた方全員であの体験を共有できて嬉しかった。
エンディングで荒木さんはこんな事を仰っていた。
「アラカクは架空を超えます。」
あの場にいた人を巻き込み沸かせた時点でもう既に架空という枠組は超えているんじゃないかなと私は思った。それはひとえに荒木さんがアラカクに対して真摯だったからであって、脱帽の思いで一杯だ。
もし興味を持った方がいらっしゃったら、できれば一回勇気を出してアラカクライブに行ってみて欲しい。本当に行って良かったと心の底から思うライブだった。
次の大きな大会は来年の7月。今後の動向を追いつつ、また足を運ぼう。
最後に
アラカクファミリーの皆さん、ゲストの皆さん、ライブ制作まによんさん、そして荒木さん。楽しいひと時を過ごさせてもらって本当にありがとうございました。
アラカクの試合や解説の動画を載せているyoutubeチャンネル、アラカクの情報を載せているnoteもやられているのでリンクを貼っておきます。気になった方は是非チェックしてみて下さい。
ちなみに最近ライブ当日のほぼノーカット版録画映像もアップされたので、この日の模様が知りたいという方はこちらもご覧下さい。ちなみに1時間45分くらいあります。
最後までお読み頂いてありがとうございました。