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共戦神話の真相(知恵の木論争)
「あのさ。まず知恵の木って何なの?」
「あ?そのまんまだよ。知恵を授かることができる果実をつけた木だ。」
「その知恵って具体的には何なのさ?」
「思考だよ。考えることさ。その実を食べると生物は思考を持つことになる。考えるという行為が出来るようになる。」
「じゃあその木の実をもし人間が食べてなかったら・・・。」
「そこら辺の動物と同じようにただ生きる為に生きてただろうな。貧しく生きることを憐れだとか哀しいとか思うこともない。裸であることが恥ずかしいと思うこともない。死んでいくことを悲しいと思うこともない。逆に生きていることを嬉しく思うこともない。美しいとか様々な考えもなかっただろうな。」
「うわぁ・・・それってなんか怖いな・・・。」
「でも人間は思考だけを手に入れちまったからそれを持て余してるんだぜ?」
「どういうこと?」
「思考に偏りがあるんだよ。例えば罪と罰に対する考え方。これは確かに悪いこととして扱われるがどうも地上の解釈がおかしい。罪と罰は悪いことをしてしまったから与えられる結果なんだ。後からどうこう言っても変わらない。」
「でもさそんなこと言っても割り切れないじゃん。気持ち的に。」
「それは・・・死があるからだろ?」
「そうだよ。」
「天使にはそれがない。故に償いきれない罪が存在しない。しかし人間には死があり殺人という罪に対する償いや罰をどうするか苦心している。これは天使としても初のケースだから困ってんだ。」
「天使も困ってんだ・・・。」
「まあな。思考と不死が備わってるかそれかどちらもなければこんなことにはならなかったんだがな・・・。」