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世界観をヴィジュアル化する活動を通じて挑戦する人を応援するーー夢ヴィジュアル化クリエイター 久志本寛子さんインタビュー
“ヴィジュアル”を通して誰かを応援する気持ちが強いと熱く語る、クリエイターの久志本寛子さん。“ヴィジュアル”の正体とは⁉ 今のご活動や大事にされていることなどを伺いました。
ーー久志本さんのご活動についてお聞かせください。
久志本 大きく分けると 二つの活動をしています。一つが、夢ヴィジュアル化クリエイターとして、挑戦する人を応援する活動をしています。具体的には、世界観(夢、志、ビジョンなど)をリーディングしヴィジュアル化(言語化×デザイン化)したり、志を持つ起業家向けのブランディング支援や、夢を応援し合うカフェ会を主催したりしています。
そのサービスの一つが「世界観リーディング名刺」です。想いを持って活動する方のビジョン・ミッション・事業内容をリーディングさせていただき、唯一無二のオリジナル名刺を制作しています。その方の想いの深堀りや問いかけを通じて言語化をサポートしたり、その方の世界観を表すモチーフや心がときめくデザインを丁寧にすり合わせ一緒に創り上げていきます。
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もう一つは、V系を盛り上げたい社会人のためのコミュニティ「†Vの推しごと†」を主宰しています。私、ヴィジュアル系バンドが大好きなんです。自分の好きなものに関してかなり愛と情熱を注ぐタイプなんですが、大好きなバンドを応援したい気持ちに加えて、大好きなV系シーン全体をファンの側からも盛り上げたいという想いでコミュニティを立ち上げ、コミュニティ運営とイベント主催を行っています。
この二つの“ヴィジュアル”が私の活動の共通点です。
――そのような活動に至った経緯は?
久志本 まず夢ヴィジュアル化クリエイターとしての活動についてですが、元々会社員をしながら3年ほど、夢を応援し合うカフェ会の主催を継続してきました。そこで感じていた課題があったこと、元々好きで得意な”イメージを形にする”ことを活かした自分の事業を創りたいと思っていたタイミングが重なり、半年ほど前から活動を始めました。
安心して夢を自己表現できる居場所として、累計100名以上の夢や、志、ミッション・ビジョンの話を深く聞かせて頂き、心の温度を上げてきました。想いをアウトプットすることは夢の実現に繋がる価値のあることで、私自身やりがいを持って継続しています。ただ、そういった場で想いの部分をお伺いできるけど、初めましての自己紹介シーンではそこまで深くはお伺いできなかったなという気づきがありました。こんなに素敵な想いを持ってご活動や事業をされているのに、それが相手に伝わっていないのはすごくもったいないし、私の応援している方の想いがもっと沢山の人に知られてほしいというもどかしい思いを抱くようになりました。課題として、この”想いが伝わらない”というのがあるなと気づきました。その課題を解決するために、自分の好きで得意な”イメージを形にする”強みが活かせると考えました。具体的には言語化と、デザイン化の強みです。
まずデザイン化に関しては、私は子供のころから絵を描くのが好きで、幼少期から今に至るまで自然と絵を描き続けています。会社員時代にも名刺やイラスト制作、デザインをご依頼いただける程には、イメージを形にするクリエイティブな活動に慣れ親しんできました。
一方で言語化に関しては、元々共感力が強く、感情や空気や雰囲気などの非言語のものも含めて汲み取ることが得意です。お話を聴くことも好きで、深い部分まで安心してお話しいただけるような問いかけだとか、今こういうことが言いたいんだなということを察して言語化することを自然とやってきました。会社員時代には議事録を沢山書いたり、代表の壁打ち相手として話した内容を文字で整理したりしていました。ご自身の思いをアウトプットして頂くことで、思ってもいなかった思考や感情に気づいたり、自分で自分を客観視するきっかけになられている姿を見て、お話を引き出して言語化することが応援に使えるんだなと気づいたというのがあります。
余談ですが、「ヴィジュアル化」というワードは、「ヴィジュアル系」から取っていて、以前は自分の活動ってバラバラしているなと思ってたんですけど、繋がったわと思ったんですよ(笑)。
――ヴィジュアル系バンドを推し始めたのは?
久志本 高校生の時からファンとして応援してきました。そんな中、コロナ下でライブ開催ができなくなって、ヴィジュアル系バンドの中でも解散・活休が増えたんですよね。
自分の応援しているバンド達もまさにその煽りを受け、中には実際解散・活休の危機に陥っているバンドもいるなかで、それをただ見ているだけなのは苦しくて嫌だったんです。なんとかバンドを存続させようと頑張っている姿を見た時に、その想いや活動を知ってほしい。何か私にもできないかなと思ったんですよ。
そこで最初に思いついたのが、「#V系ファンアート」の活動です。先ほどもお話ししたように絵を描くのが好きだったので、イラストを描くことでバンドを知ってもらいたいと思いTwitter(現X)で発信を始めました。その発展として、ファンが愛を込めて描いたファンアートから、ヴィジュアル系を盛り上げることをコンセプトにした 「#V系ファンアート」というタグを創り、広める活動を始めました。それが4~5年前で、今では色々なバンドのファンの方にも浸透し、日々沢山のイラストが発信されるまで育ってきています。この活動を始めたことをきっかけに、ヴィジュアル系が好きだということをどんどん周りに言っていこうというように自分のマインドが変わったんです。
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ヴィジュアル系が好きなんですよね、みたいな話って初対面で、特にビジネスシーンで言いづらい雰囲気を感じていたんですね。でもヴィジュアル系を盛り上げるぞと、強い意志を持って活動し始めたからには、自分から積極的に「ヴィジュアル系が好きで、盛り上げたいんですよね」と言っていこうと決めました。最初は熱すぎて引かれるかなとドキドキしていたんですが(笑)、意外にもヴィジュアル系の好きな人が次々に現れて、幹部になるような共感度が高いメンバーも集まり、これはいよいよコミュニティを立ち上げようということで「†Vの推しごと†」を発足しました。私はJanne Da Arcから入り、今はモンストロ、DIAURAなどの所謂若手のバンドが好きですし、メンバーの中にはL'Arc〜en〜Ciel、X JAPAN など大御所のバンドが好きな人もいます。V系って最高だよねという共通の価値観で、いろんなバンドの魅力をシェアしたいですし、ビジネスシーンでV系好きを公言できる社会人を増やすべく活動していきたいと思っています。
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同じ”ヴィジュアル”とはいえ、二つの活動は全くの別軸なんですけど共通しているのは、「挑戦する人を応援したい」という気持ちがとても強いところだと思っています。バンドであってもお仕事をされている方であっても、私は世界観に惹かれるし、それを思いっきり表現してほしい、知ってほしい、応援したいと思う価値観も共通しています。
――久志本さんの活動の特徴は?
久志本 夢ヴィジュアル化クリエイターとしての活動では、起業家の方や、これから新しい事業や活動をする予定の方のお役に立てると思っています。
やりたいことへの思いは強いんだけどまだ具体的な言葉になっていない、ミッション・ビジョンとして落とし込めていない、走りながら考えている、という方がいたとしたら、私とお話しすることで整理できます。名刺にするのであれば、載せるスペースが限られているので研ぎ澄ませた言葉が必要ですし、どう見せたらやりたい活動がスムーズに伝わるようになるかというところを一緒に考えるような伴走型のサポートが強みです。
私以外にもデザインができる方はいっぱいいらっしゃると思うんですけど、自分の世界観を表した言葉やデザインを通じて、「こういう世界観で僕/私はやってます」って自信を持って自己表現できる状態に導きます。(作った名刺を)手元に持っていて嬉しいレベルまで、心の温度を上げるようなことも私ができるところかなと思います。
――久志本さんに依頼される方はどんな方ですか?
久志本 属性としては起業志望の方や個人事業主の方が多いですね。壁打ちとして、改めて自分の思っていることを(私に)聞いてもらって、自分の世界観を研ぎ澄ませて、さらに自信を持って進んでいきたいという方が多いです。
あとは自分自身の世界観とか想い、志を大事にしていて、それを表現することに強い関心がある方も多いですね。
――久志本さんの大事にされていることは?
久志本 私は「誰もがイキイキ働く社会を創る」というビジョンを掲げています。「イキイキ働く」ってどういう状態なのかっていうと、何かに挑戦してる時だなって、私は思うんですね。
人が何かに挑戦して自分自身の視野が広がったり、成長を実感したりして変わっていく世界を見ることで人はイキイキします。その挑戦する人たちを私は応援したいと思っていて、挑戦する人たちをどんどん増やしていきたいなと思っています。そして関わる人の心の温度を上げることは、とても大事にしています。
私がこのビジョンを描くようになったのは、会社員時代に自分の周りにイキイキ働けていない同僚たちがいたこと、かつ私もイキイキ働けていない状態になったことがきっかけです。なんでこの子たちはこんな辛そうな顔して働かないといけないんだろうっていうところに課題感を覚えたのがきっかけです。社内を変えるべく行動してみたんですけど、結局現状は変えられなかったんですよね。自暴自棄になって、趣味に逃げるような時期もあったんですけど、趣味に打ち込んでる時も仕事のことが頭によぎると一気に萎えてしまう。これでは人生楽しくないなということに改めて気づかされて。 一日のうちの8割方の時間を仕事に使う中で、仕事が楽しくないと人生楽しくないよな、だったら楽しんで働く人たちが増えたらもっとみんなイキイキするよな、というのが現体験としてありました。
私自身のことだけじゃなくて、やっぱり周りにいる人たちのことも私はすごく大事だなと思っています。周りの人がイキイキしていたら私も嬉しいですからね。
――今後の展望をお聞かせください。
久志本 今は「世界観リーディング名刺」という名刺に特化した活動をしていますが、今後は起業家向けブランディング支援サービスを展開していく予定です。志を持つ起業家に伴走し、名刺・企業ロゴ制作を始め、世界観ガイドラインの策定をしていくプログラムです。起業家は、実現したい・成し遂げたい世界観と、熱い志を持っている方が多いと思うので、そういった方に真剣に向き合って、サポーターとしてその方を応援する活動をしようと思ってます。
また、私が関わることで、志を持つ人たちがますますイキイキと挑戦する世界になってほしいなと思っています。そのために私は引き続き皆さんの心の温度を上げることをしていきたいと思いますし、応援するからには自分自身も挑戦し続けて「見るたびに挑戦してるね」って言われるような存在として、自分自身が挑戦を楽しんでいけたらと思っています。(了)
取材後記
クリエイターとして、たくさんの方々の世界観をヴィジュアル化している久志本さんの言葉を通して、久志本さんご自身も常に挑戦することを楽しんでおられる姿が伝わってきました。
久志本さんご自身の挑戦についても伺ってみたところ、普段から「セルフチャレンジ」といって、自らお題を決めて挑戦されているそうです。理想の自分に近づくために、何が足りないのか、足りない要素を細かく分析して、一つ一つ積み重ねていくことを楽しんでいる節がある、とおっしゃっていました。その「セルフチャレンジ」の一環として、現在、世界観を100 人に聞く「世界観100人インタビュー」に挑戦中とのこと。
私もインタビューを受けたのですが、自分の伝えたい思いや考えを聞いてもらうことで、思いもよらなかったところで自分の活動の中での共通点が見出せたり、伝えたいポイントが可視化され明確になったことで、頭の中がスッキリし整理することにつながりました。
これからも“ヴィジュアル化”で、たくさんの方の世界観を表現されていくこと、とても楽しみにしています。私もセルフチャレンジ、やってみます!
プロフィール
久志本寛子(くしもと・ひろこ)
1989年生まれ、東京都出身。広告・IT系、人材系の会社員を経て、夢ヴィジュアル化クリエイターとしてデザイン業、志を持つ起業家向けのブランディング支援、夢を応援し合うカフェ会「夢★カフェ」、V系を盛り上げたい社会人のコミュニティ「†Vの推しごと†」の運営を行う。趣味はライブ参戦や絵を描くこと、サウナや温泉など。
こんな人と繋がってみたい!▶起業を志してる方
※久志本さんへのお問い合わせは、「kotonaru人のインタビュー記事を見ました」とお伝えください。