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「ガザ、真正のジェノサイド」岡真理氏講演会(2024.12.22 名古屋国際会議場)
『ガザとは何か』を読んだのが丁度1年前になる。
それまでパレスチナのこと、ガザのことを全くと言っていいほど知らずに生きてきた。衝撃且つ始まりの1冊となった。
この講演のことはXで知った。
あの本を書いたひとの講演会がある。
しかも無料。何故!? お金を払ってでも聞きたい。
更に地元名古屋でやってもらえる。
仕事が間違いなく忙しい時期なのは分かっていたけれど、無理やり休みを入れた。
どうしても行きたかった。聞きたかった。
空気がとても冷たい日だった。会場には開始ぎりぎりに滑り込んだ。
人が多い講演会は喉が乾燥しやすいかもしれないと思い、温かいお茶とのど飴を持参したけれど、受付にも飴がそっと置かれているのを見て頬が緩んだ。主催者の小さな暖かさを感じる。こういう心配りは相手のことを考える人にしかできない。
当日はパレスチナ関連の品が販売されていた。
中でも瀬戸市の本・ひとしずくさんが書籍販売されていたのが嬉しかった。好きな本屋さん。来年はもっと行きたい。
この日は『中学生から知りたいパレスチナのこと』(ミシマ社)を購入。ミシマ社さんから出ている本に間違いはない。
会場は多くの人が足を運んでいて、空席を見つけるのに苦労したほど。
こんなに沢山の人が聴きに来ている。胸に灯りがともるような思いだった。
以下、講演内容の備忘録。
最初聴くのに夢中でつけていなくて、途中からだし順不同のメモ且つ自分の感想も混じっていますがご容赦を。
ガザの実情はほとんど報道されない
ウクライナよりも短期間で大多数の子供たちが殺されている
生後48時間で殺されてしまった母子もいる
負傷者はもっと多い
四肢切断の目に遭う人もあまりに多い
特に若者たちは足を狙われる
状況はどんどん苛烈さを増している
医療、ジャーナリズム、環境、歴史的建造物、破壊されたものが多すぎる
餓死した子供の写真がショック
自分の子供が、自分の手の中で、食べるものがないという理由で死んでいくのを想像するだけで胸が真っ黒になる
10歳程度の子供が遺書を残す
どの子供も自分のことより家族のこと、友人のこと、自分より貧しい人たちのことを当たり前に大切にしている
ハリスが大統領になれば世界中の女性が勇気づけられるという報道
アメリカはイスラエルに対して武器の支援を続けている、それがなければイスラエルは攻撃を続けることはできなかったのに
それでも「世界中の女性」が勇気づけられると言えるのか
そこにパレスチナの女性は入っているのか
ユダヤ人差別、大量の移民が出た原因はイギリス
これはヨーロッパの犯罪
ユダヤ人大量虐殺に端を発する
ヨーロッパの犯罪の代償をパレスチナ人に払わせている
パレスチナの分割は不当
民主的で独立的な国家の即独立しか解決はないが、アメリカ、ロシアの反対によって阻まれる
世界人権宣言
基本的人権のひとつとして、誰しも自国に帰る権利を有する
しかしそれをイスラエルが認めない
76年経っても故郷に帰れない
難民をガザ地区に閉じ込めて監視
8万人のところに難民キャンプが8個できる
ガザ地区全体が巨大な難民キャンプに
イスラエルとはパレスチナ人の民族浄化の暴力の上に建国された、入植者植民地主義の国
ジェノサイドとは何か
国連の定義
国民的、民族的、人種的または宗教的集団そのものを全体または部分的に破壊する意図を持って行われる、殺害や出産を阻止する措置などの物理的な行為
ラファエル・レムキンが初めてこの言葉を作った
集団の生のさまざまな側面に対する同時攻撃
民族全体の破壊を目的としたもの
当然のことながら民族的モニュメントの破壊(図書館や博物館など)から、先住民族の言語の使用を禁止する法律まで
国連の定義は文化的ジェノサイドについては触れられていない
英国やフランスが徹底的に反対したから
1948.12.9採択
日本はまだ参加していなかった
日本がもし参加していたら?
まさに日本もやってきたこと(植民地主義)大量殺戮ではないかもしれないが、レムキンが定義したジェノサイドそのものだった
だから反対した可能性が高いのではないか
集団の肉体的抹殺に限らず、アイデンティティを形成する基盤(言語、文化、経済、政治構造)を体型的に破壊
民族の即時的な破壊ではなく、民族集団のそのものを消滅させることを目的としている
民族集団の政治的、社会的制度、文化、言語、民族感情、宗教、
1947年から77年にわたってパレスチナに対しイスラエルが行っていること
これがジェノサイド
2023.10.7以来暴力が明らかにパワーアップしている
大量破壊、大量殺戮のような直接的な暴力しかメディアは報道しない
しかも一時的なものだけ
ガザのように恒常的に暴力が起きても「日常」だから報道されない
平和=戦争が起きないことと思われている
平和学…戦争がないだけでは消極的平和
構造的暴力もない状況が積極的平和
でもそれにはメディアは注目しない
文化的暴力→構造的暴力に着目しないこと
ガザのこと・パレスチナのことを知らない、関心を持たない これも文化的暴力
レムキンが定義したジェノサイドがずっとずっと続いている
『ノー・アザー・ランド』(来年公開の映画)
ジェノサイドがいかなるものなのかということを証言している作品
『イスラエルとパレスチナ』岩波ブックレット
ユダヤ教徒であるからこそシオニズムを反対するという本
映画『LXD』(リッダ、リッド)アニメーション
もしシオニズムなんてものがなかったならば、というもしもの世界を描いている
Q.デモ活動は現地に届くのか?
A.世界は私たちのことを忘れ去っているのではないか、と思っている人たちへ発信する
忘れていないと届ける
現実を変えるためには声を上げ続けなければならない それだけでは現実が変わらない、政治そのものを動かさないといけない あげた声でいかに実効性のあるものにしていくかが問われている
ドイツはホロコーストの贖罪を、イスラエルを支持し続けることで払おうとしている
パレスチナ人に払わせるという贖罪→国際社会がそれを是としている
前提として贖罪が正義ではない
ジェノサイドを続ける国を支援することで、ヨーロッパのユダヤ人にしてきたことは許してくださいという構造
Q.ガザ個人宛の寄付は信頼できるか
A.支援をやるなら継続して
最初だけやっておしまい、はだめ
二国家案に反対しているのはイスラエル
ハマースを悪者に捉えてはいけない
Q.なぜ日本のマスメディアは報道しないのか
A.独自の論調がない
アメリカの新聞が書いたら正しいと判断して記事が書ける
背骨がない、知識がない
情報が浅い、足りない、だから伝わらない
夢を失った…パンが買えなかった…
それだけではこれまでのことが何も伝わらない
17:30終了予定とありましたが、岡先生は時間を過ぎても集まった質問に対して真摯に回答してくださっていました。
私は時間がなく途中で退席してしまったけれど、多くの方が最後まで残っていた様子。
年末の日曜日に、これだけの人達と同じ時間を過ごしたのは不思議であり、心強くもあり。
まず知ること。
正しく知ること。
知ったことを広める。少しずつでも。
今年は自分なりにそれを続けて来たけれど。
その先は? と問われたような講演会でした。
継続する。少しずつでも。
考え続ける。自分の頭で。