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「ORIGAMI-紙の鼓動-」布施知子(ヤマザキマザック美術館)

フライヤーでこの展示を知った時、頭の隅をちらちらと記憶が過った。
あれ。どこかでこのひとの作品、観たことある。
記憶の中を手繰り寄せて、やがてはっとなった。大地の芸術祭を訪れた際に宿泊した“うぶすなの家“。その2階で観た作品がまさに布施さんの折り紙。
古民家の屋根の下で出会った白の折り紙たちはあまりにも美しく。
「この作品と同じ空間で今夜は眠れる」という事実にくらくらした。

うぶすなの白
古民家と作品の相乗効果がたまらぬ

平日の閉館1時間前に駆け込んで鑑賞。
また今度、と後回しにすると会期が終わってしまうことは何回も学んできた。ヤマザキマザック美術館の展覧会は基本的に長めの会期が設けられている。でも油断は禁物なのだ。長いと思っている展示こそ、あっという間に過ぎる。

風に揺れるところが、いつも良い。

豊田市美術館の年パス提示で200円引き。
一日乗車券もあったけれど、そっちだと100円引きなので。提携先の年パスを持っている人は、そっちを出しましょう。

エレベーターで4階へ。
扉が開くとすぐに静謐な空間が現れるところが、とても良き。

面の作品たち

最初に登場する兜や面の作品たち。
ここで既に「折り紙」という言葉から想像できる範疇は軽く超えている。
そして角を曲がると。

写真より生の方が何倍も美しい!
まるでドレスのよう

白を基調とした作品はまるで純白のドレスを思わせる美しさ。
ヤマザキマザックの空間と相まって荘厳な空気を纏って佇む。

そして更にこれ。

常設作品との共演

ヤマザキマザック美術館名物、常設品とのコラボレーション。
これが毎回楽しみでならない。
空間と伝統工芸品をひとつの場に展示する、インスタレーションに近い見せ方。
どちらの存在感も際立っていて面白い。毎回展示方法考える学芸員さん、悩ましいけど楽しいだろうなぁ。

豪華絢爛
縦横無尽
忘れてしまいそうだけど、折り紙です

紙さえあれば誰でもできる。
折り紙って幼い頃に誰しもが経験するだろう遊びのひとつ。
ちなみに私はとっても苦手だった。手先がとにかく不器用で、手裏剣を折っても組み合わせられない。箱を作ったら、蓋が閉まらない。真っ直ぐ折れない。ぴしっとならない。鶴をマスターしたのは千羽鶴を折るために渋々…という人生を歩んできた。

箱といっても、こんなに多彩
くす玉に近いかな?
結婚式に飾ってほしい

自分でこれを折ることはできないけれど、美しいと感じて拍手を送ることはできる。
無限にも見える重なりを感じて心を潤すことができる。
この展示を見て、久しぶりに折り紙をやってみたくなる人がいるかもしれない。
大作に挑戦したくなる人がいるかもしれない。
私のように、今日は素敵なものを見たな、と寝る前に思い出す人がいるかもしれない。

美術館の楽しみ方はひとりずつ違っていて、違うことが面白い。
まだまだこの展示は始まったばかり。会期中に是非ほんものを体感してほしいです。
きっと私とは違う感想があるはず。

密やかな共演

開館時間
平日 午前10時から午後5時30分
土日祝 午前10時から午後5時
(最終入館は閉館30分前まで)
入館料
一般:1,300円(10名様以上1,100円)
小・中・高生:500円
小学生未満:無料
*各種障害者手帳をご提示の方とその同伴者1名は1,100円
*音声ガイド無料サービス
休館日
月曜日(※1月13日、2月24日は開館)、1月14日、2月25日、年末年始(12月30日から1月4日)

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