夕暮れ時の匂い
夕ご飯を作ろうと冷蔵庫を開けて、牛乳を切らしていたことを思い出す。
牛乳だけだし近くのコンビニで買って来ようと、家族が帰ってくる前にと、急いで家を出る。
秋の夕暮れは早い。家を出たときにはまだ端にオレンジ色を残していた空が、帰りにはわずかに赤みを残すだけ。
暗くなった空に、自然と早足になる。
そんなときは、周囲に注意を払っているからか、暗くて目に入る情報が普段より少ないからか、いつもより鼻が利く気がする。
道を歩くと、色んな匂いがする。
夕暮れ時はご飯支度時でもあるから、灯りのともった家から、おいしそうな匂いがしてくる。
カレーの匂い。少し甘い煮魚の匂い。
お腹を刺激する匂いだ。
金木犀の匂いもする。おしろいばなかな?金木犀以外にも甘い花の匂いがする。
ストーブのにおい。灯油の燃えているにおい。
急に寒くなったから、そろそろ朝晩は必要になってくるよね。
あったかいに繋がるにおいだからか、ストーブのにおいは、ちょっとほっとする。
ケチャップの匂いかな?オムライスかな。ナポリタンもいいな。
んー、明日はナポリタンもいいな!
そんなことを思いながら、牛乳とおやつの入ったコンビニ袋をがさごそいわせて、急ぎ足で家へと向かう帰り道。
夕暮れ時はほっとする匂いがいっぱいだなと思った、ある日の夕暮れ。