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鑑賞実践講座⑤|プログラム実践3


鑑賞実践講座 第5回|プログラム実践3
日時|2024年10月6日(日)10:00〜15:00
会場|ミューザ川崎シンフォニーホール 企画展示室
講師|三ツ木紀英(NPO法人芸術資源開発機構(ARDA))
内容|
・ミューザ川崎パブリックアートツアー実践
・ツアーの振り返り


5回目の鑑賞実践講座は、いよいよツアー実践日です。

VTSをつかい、VTSで場作りをする。それを実体験として取り組むことが講座としての大きなねらいですが、ツアーを行うプロセスを通して、VTSだけではなく鑑賞の前後の流れもひとつのプログラムとして効いてくることを理解し、参加者とともにアートを介したコミュニケーションを実践することが今日の講座としてのゴールです。

「ことラーのおしゃべりアートツアーinミューザ川崎」と題して、ことラーからのお声がけで参加者を募り、ミューザ川崎のパブリックアートを巡る鑑賞ツアーを行いました。

集合して、まずは前回の講座でチーム毎に練った、アイスブレイク〜移動〜作品鑑賞の流れを確認し合い、最終準備をします。大まかなツアーのフォーマットはありますが、声かけの仕方、問いのたて方、移動時間のおしゃべりのネタなど、それぞれに工夫をしています。

受付時間になると続々と参加者の皆さんが集まってきました。
担当することラーが参加者をお迎えするところから、アイスブレイクの時間が始まっていきます。

全体に向けた挨拶の後、ことラーが担当する約40分間のツアーです。
川崎市市民ミュージアムのアートカード(収蔵作品をハガキ大のカードにしたもの)をテーブルに広げ、お題に合わせて選んだカードをつかって自己紹介から始めます。

選んだカードにはその人らしさが現れるので、名前やどこから来たかを話すだけよりも、カードを通じてその人のことがググッと見えてくる瞬間があります。手に取ることができるアートカードという親しみを持ちやすいツールの力も借りながら、少しずつ場をほぐしていきます。

その後、チーム毎にミューザ川崎の館内各所へ出かけていき、
・アニッシュ・カプーア《ダブル・インバージョン》
・土屋公雄《記憶の風景》
・フロリアン・クラール《ムーブメントNo.3》
の中から、2作品を鑑賞しました。

どれも大きな、身体全体で向き合うような作品です。近づいたり離れたり、右へ行ったり左へ行ったり、耳を澄ませたり音をたててみたり...。それぞれの作品研究でみつけた見どころを意識しながら、参加者の皆さんと言葉を交わして味わっていきます。

どのチームも、ほくほくとした笑顔と和気あいあいとした雰囲気で戻ってきました。
結びの挨拶をして、今回のプログラムは終了です。

ご参加いただいた方からは、「どんな意見も優しく聞いて理解しようとしてくれていることが感じられて、自分の考えを伝えることに楽しくなっちゃいました!」「作品を通して、多世代の方と互いに話す機会を持てるかもと感じて嬉しい体験でした」「何度か見ているはずのミューザのパブリックアートなのに、新しい気付きがあった」といった声が寄せられました。

プログラムとしてのツアーの3つのねらい、
1)対話型鑑賞によって、よく見て話すことで、アートの楽しさを体験する
2)作品鑑賞を通して人と人が出会い、地域への愛着が生まれる
3)川崎市内のパブリックアート作品との関係創出によって、生活圏にあるアート作品に関心が生まれる
を掲げて前回までツアー作りをしてきましたが、これらもおおよそ達成できたのではないでしょうか。

ことラーからは、ツアーの達成感や課題感の他に、多様な人と一緒に作品をみる醍醐味や、VTSで行っていることが社会のなかでも効いてくるのではないかという振り返りもありました。
1年目のこと!こと?かわさきでは、お手本にする前例がありません。経験値がほぼない状態からここまでやりきったことで、アートコミュニケーションの形が少し見えたのではないでしょうか。
また、VTSは使い方次第で多様な場をつくることができる「力」になっていきます。ファシリテーションの技術を磨いていくのと同時に、使いこなしていくこともできるようになっていってほしいと思います。ぜひ、両輪でいきましょう。

(こと!こと?かわさきプロジェクトマネージャー 近藤乃梨子)

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