「MUSEUM TRIP 写真の中を旅しよう!」を実施しました
2024年11月16日と11月23日に川崎市本庁舎にてワークショップ「MUSEUM TRIP 写真の中を旅しよう!」を行いました。
このワークショップは地域のアートや文化資源を活かして幅広い年齢の方が楽しめるプログラムとして、国立アートリサーチセンター、東京藝術大学 、川崎市市民ミュージアムが共同して開催し、こと!こと?かわさきも運営に携わりました。
1960年代ごろの川崎市写真コンクール入賞写真を見ながら、なつかしい昭和の風景の中に入って旅をするような気分でおしゃべりしていくもので、ことラーはこれまで講座で培ったことを活かして、参加者が写真の中をトリップしていくような場づくりをしました。
ことラーはファシリテータとサポートの3人チームで参加者と一緒に活動します。
ことラーにとっては広く一般から参加を募って行う初めてのプログラムです。一週間前の事前準備会を経て、本番当日を迎えました。朝の打ち合わせや準備の時間は初舞台に緊張した面持ちのことラーも。
ワークショップには高齢者を中心に様々な年齢層から参加いただきました。
今回のプログラムはケア実践講座の実践の場でもあるため、講座で学んだユマニチュードを取り入れたコミュニケーションを行うことも一つのポイントです。
鑑賞実践講座に参加することラーにとっては対話型鑑賞を活用できる機会でもありますし、まちと人実践講座に参加することラーにとってはまちの資源となる川崎の歴史や市民の生活をアートコミュニケーションに取り入れる場にもなっています。
受付を済ませた参加者をことラーがお出迎え。
ワークショップが始まる前から参加者との交流は始まります。
和やかに、参加者がこれからのワークに参加しやすくなるようにリラックスした対話で始まりを待ちます。
距離感や目線の合わせ方、些細なおしゃべりのトピックスなどそれぞれの参加者の方に合わせて時間を過ごします。
開始時間になると、まずは国立アートリサーチセンターの稲庭彩和子さん、川崎市市民ミュージアムの鈴木勇一郎さんからワークショップの趣旨、題材となる写真について説明がありました。
今回のワークショップは川崎市役所本庁舎での展覧会と併せて開催されています。
会場ではワークショップの題材となっている川崎市写真コンクール入賞作品とそれに付随した撮影時の情報や現在の様子を見ることが出来ます。
お二人の案内のあと、グループごとに活動する部屋に移動していきます。
移動のタイミングも大切な参加者との交流タイムです。
お部屋に案内しながら参加者が自然体でワークに参加できるように雰囲気を温めます。
部屋に入ったら、アイスブレイクからスタート。
30枚の写真が机の上に並べられています。
ことラーから参加者へ「写真の中に入って旅したくなるような1枚を探してみてください」と投げかけ、思いおもいに写真を見てもらいます。
参加者には自己紹介と併せてその1枚を選んだ理由を話してもらいますが、この場面でこの後のワークで発言しやすくなるような楽しい対話の場になるかが決まるといっても過言ではありません。
ことラーも楽しみつつ、いい空気を作ろうと立ち回ります。
「どれも気になるわ...」とあれこれ手に取ってみる方や、子どものころに田んぼで遊んだ思い出を話してくださる方、若い頃の記憶がパッと蘇ったように生き生きとお話ししてくださる方など、お一人おひとりのストーリーがそこにあり、みなさん耳を傾け合ってじっくり味わっていました。
場がほぐれたところで、メインとなる対話をしながらの写真の鑑賞会が始まります。
鑑賞したのは、京急川崎駅前のプールでたくさんの市民が遊んでいる写真と、百合ヶ丘の新しく建てられた団地と古い家屋が対照的な写真です。
参加者の方の中で写真の撮られた1960年代当時を知る方からは「懐かしい」「もしかしたらこの写真の中に自分がいるかもしれない」という言葉も聞かれました。逆に若い世代の方からは「こんな風景が川崎にあったんだ」といった率直な感想だったり、「ここはもしかして〇〇辺りかな」といった予想を立てる方もいました。ことラーがそれぞれの発言を繋いでいくと、またそこから新たな気持ちが湧いてきたり、気付きが生まれたりと、グループでみる醍醐味を味わってもらえたのではないでしょうか。初めて会う方同士ですが、みんなで家族のアルバムを眺めておしゃべりしているような、温かい空気を感じました。
1枚の写真の中で何が起こっているのかを探ってじっくり見ている方もいて、それぞれの楽しみ方をグループで共有しながら対話を繰り広げていました。
「写真を見て、こんなにおしゃべりが出来るんだ」とおっしゃる参加者もいて、コミュニケーションの場が生まれていたことがうかがえました。
鑑賞会が終わって、みなさんで集合場所だった展示室に戻ってきました。
先にも述べたように今回のワークショップは市役所本庁舎復元棟で行われた「写真の中のかわさき」展と併せて行われました。
ここでは展示写真を選び特設の台の上におくと、撮影された場所や関連の動画などが見られるようになっています。作品をじっくり鑑賞した後で「みる」感覚が開いた参加者のみなさんは、あれもこれもと台に写真をかざして見る方が多く、グループで見ていた写真は現在ここだったんだ、当時は周辺がこんな感じだったんだなど、なんだか答え合わせのようで更に参加者とことラーで盛り上がっていました。
各回が終わったらしっかり振り返りです。
今日行ったことを今後の活動にも活かせるようにみんなで「これはよかった!」ということも「こうすればよかった…」ということも共有します。
ふりかえりの中で話が上がった内容で印象的だったのが、あることラーから「アートコミュニケーションがなにかようやくわかった気がした!」という発言です。講座の中だけでは掴むことが出来なかったものがこの実践の場で結びついたのかなと思います。
他には参加者の中で川崎に住み始めてまだ日が浅く、川崎のことを知ろうと参加した方が他の長く川崎に住んでいる参加者と仲良くなり、この会の後にお茶をしに行っていたという話もありました。
今回をきっかけにしてそういったコミュニケーションと結びつきが生まれることはこのこと!こと?かわさきのプロジェクトにとっても目標とすることです。まだ小さなきっかけでしかないですが、これが少しずつ積み重なり、大きな動きになっていく兆しのようなものを感じた2日間でした。
振り返り終了後、参加したことラーはお疲れな様子でしたが、充実した時間を過ごしたようですっきりした表情も見て取れました。
みなさん、お疲れ様でした。
(こと!こと?かわさきプロジェクトマネージャー 財田翔悟)