ケア実践講座第3回/ユマニチュード②
ケア実践講座 第3回|ユマニチュード②
日時|2024年10月19日(土)10:00〜12:00
会場|川崎市役所本庁舎304,305会議室
講師|本田美和子(国立病院機構 東京医療センター総合内科医長 / 臨床研究センター 医療経営情報・高齢者ケア研究室 室長 )
内容|
・ユマニチュードを身近で活用してどうだったか
・実践を想定した活用方法
前回からしばらく間が空いてしまったケア実践講座ですが、ユマニチュードについて2回目の講座です。
前回から引き続き、日本のユマニチュード第一人者である本田美和子さんをお呼びし、ことラーの活動の核となるコミュニケーションについてユマニチュードの観点から学んでいきます。
前回の最後に身近な人や場所でユマニチュードを活用してみたらどうなるか、という宿題が出ていました。
ことラーそれぞれが家族、友人など普段接している人たちへ向けて、日頃の接し方を顧みつつ、ユマニチュードを取り入れてコミュニケーションをしてもらいました。
まずはその体験をことラー同士で共有します。
ことラーの中でも多様な意見があったようです。
なかなか言葉がまとまらないことラーもいるようでしたが、それぞれの体験について感じたことや起こったことをグループで話していくことで、客観的な視点を入れることができたのではないでしょうか。
ことラー同士での共有の中から出てきた疑問や課題をどうしていくのがよかったのか、もっとユマニチュードを活用することは出来たのかなど、本田さんに質問や感想を投げかけます。
本田さんからは相手との距離感の掴み方、相手に触れる際のコツ、接し方で相手が精神的にどう感じるかなど具体的な内容が話されました。
その中でもことラーからの反応が大きかったのは、認知症の方が感じている自分の年齢は実年齢とずれがある場合があり、そこを正すことは逆に当人には混乱を招くということでした。
例として40代のことラーに対して「あなたは70歳ですよ」と言ったらどう思うか、と本田先生から投げかけがありました。「え、違いますよ!という反応になると思う」というそのことラーの返答に他のことラーも同意していました。本田さんからは認知症の方が感じているのはまさにそういうことだという話にみんな納得している様子でした。
認知症の方に年齢を確認することは、今その人がどの時代にいるのか確認する有効な質問とのことです。
本田さんは聞き手が自分ごとに置き換えられるようにわかりやすく、丁寧に話をしてくださっていました。
次にこのケア実践講座の実践の場である11月のワークショップ「MUSEUM TRIP 写真の中を旅しよう!」を想定し、ユマニチュードを取り入れながら、参加者とコミュニケーションを取る練習を行いました。
11月のワークショップでは高齢者、認知症の方以外にも多様なお客さんが参加される予定です。
ユマニチュードの技術は高齢者・認知症の方に限って活用されるものではなく、どんな人とのコミュニケーションにも取り入れられるものです。
ことラーは3人組で参加者役、ことラー役、観察者役に分かれて、ワークショップのロールプレイングをしていき、ユマニチュードを意識しながら、それぞれにコミュニケーションを取っていきます。
前回と今回で学んだことを活かしながら、目線や距離感、話し方などを意識しながら自分なりに実践していきます。
今後、高齢者に限らず様々な人と接していくことラーがユマニチュードの技法を活用することで初めて会う人でも心を開きやすくなったり、関係を作りやすくなったりするはずです。
もちろん2回の講座を受けてただけのことラーの変化は熟練の方と比べれば些細なものかもしれません。でも意識の面では確実な変化だったのではないでしょうか。
相手の目線に立ち、相手に合わせた声掛けとふれあい方を感じとったことでコミュニケーションの幅が広がっていけばと思います。ぜひことラーには今後の活動や実践の場でもユマニチュードの技法を活用して、誰もが安心してコミュニケーションをおこなえる場づくりをしていってほしいです。
(こと!こと?かわさきプロジェクトマネージャー 財田翔悟)