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2024-25SOMPO WEリーグ第1節INAC神戸レオネッサ対サンフレッチェ広島レジーナの個人的な見どころ

4シーズン目を迎えるWEリーグ。新たな主人公はどのようにして生まれていくのか?
連覇を狙う浦和、奪還を狙う神戸、そして新たな風が吹くか?
近年海外でプレーする選手も増え、確実に成長が見える一方で、更なる進化を目指して戦い、見る人を魅了するプレーを見せていきたい

昨季リーグ戦は2位で終えたINAC神戸は3季ぶりの優勝を目指すシーズンとなる。昨季輝いた主力プレーヤーはプレーの舞台を海外に移した。ただ、だからこそこれまでチームを支えてきているプレーヤー、そして新たな融合でチームをつくり直し、再び王座を目指す

新スタジアムの稼働もあり、昨季は平均来場者数2,907名と大きく動員を伸ばしたサンフレッチェ広島レジーナ。カップ戦で初のタイトル。皇后杯もベスト4進出と確実にチームとしての成果を見せたシーズンだった
リーグ戦はWEリーグ参入後中位に位置(6位→5位→5位)今季は上位を目指し、タイトル獲得を目指すシーズンです

カップ戦が並行して開催されているが、待ちに待ったリーグの開幕戦。彼女たちの熱いプレーに注目したい一戦です

(WEリーグ 実況:能政夕介(1人実況です))※追記、修正の可能性あります

2023-24シーズンの振り返り(リーグ戦のみ)

INAC神戸レオネッサ:15勝4分3敗 勝ち点49の2位  39得点 12失点(+27)

新監督にスペイン出身のジョルディ・フェロン監督を据えて臨んだシーズン。粘り強く戦いながらもタイトル奪還とはならず悔しい2位で終えた昨シーズン
それでも開幕戦からは3連勝。リーグ戦は14試合負けなし。失点数はリーグ戦ではわずかに12失点と堅守を見せた

リーグ戦は終盤に4連勝と望みを繋ぎつつも、勝ち点差「8」をつけた浦和がリーグ戦優勝を飾った
WEリーグ初年度の王者、そして直近2シーズンは2位、今季は3季ぶり2度目の優勝を狙うシーズンになる

昨季カップ戦は敗退も、皇后杯は浦和にPK戦の末勝利をして、2016年以来7大会ぶり7度目のの皇后杯でのタイトルとなった

■主なスタッツや受賞
山下、田中、北川がリーグ戦でのベストイレブンを記録

田中:8得点(内1点がPK)
北川:6得点
成宮:6得点
髙瀬:6得点(内3点がPK)
特に髙瀬は皇后杯でも後半アディショナルタイムにPKで得点を記録
長くINACでプレーする彼女が存在感を示した

失点数は12と最小。特に後半にはわずか4失点と堅守を誇った
12失点中セットプレーからは4失点。CKから2失点した広島戦を除けば、シーズンを通じて集中力高く守れていた印象だ

一方で得点は39得点で前半に15得点(失点は8)を見ると、試合の入り方は少し課題点もある。後半の中盤から終盤にかけての得点が多く、粘り強さはある一方、序盤から主導権を握って勝ち切る試合も増やしていきたい

今季監督はフェロン監督継続も選手はガラッと一新する。新生INAC
がどんなプレーを見せるか注目したい

サンフレッチェ広島レジーナ:9勝4分9敗 勝ち点31の5位  26得点 25失点(+1)
中村伸監督の下積み上げてきた2年間を少しずつ発揮した3年目のシーズンだった
リーグ戦は開幕から連敗を喫し、波に乗れないタイミングもあったが、終盤は5試合中4勝で勝ち点を伸ばし5位でフィニッシュ
一方でカップ戦はグループステージを無敗で突破し、決勝はPKの末勝利を飾り初のタイトル獲得を手にしたシーズンだった

皇后杯もベスト4まで残り、リーグでの勝ち点も過去最多とした
順位は昨季と並ぶ5位だが、得点・失点と改善をして今季は得失点差もプラスのままシーズンを終え、過去のシーズンよりも確実に上積みを見せたシーズンになった

■主なスタッツや受賞
ゴールハンター上野真実がリーグ戦でのベストイレブンを記録

上野:11得点
古賀:3得点
髙橋、松本、藤生、李が2得点と10人の選手が得点を記録した

先制した試合は負けなしの一方で逆転勝利はなし
前半10得点9失点、後半16得点16失点と後半にゴールが動く傾向もあった

今季は中村監督から吉田恵監督が就任
現役時代はDFポジションで活躍した選手でもあり、守備の構築に重きを置く
監督交代はあれど、既存選手の多くは残留。過去の積み上げから新たな結果を求める新シーズンとなる

過去の対戦戦績(リーグ戦のみ)

過去の対戦成績はリーグ戦のみに絞ると、INACの2勝、広島の2勝、引き分けが2つと全くの五分となっている

振り返ると昨季はお互いのホームで1勝ずつを記録
INACはホームで田中が後半アディショナルタイムのPKを決めて1-0の勝利
逆に広島はホームのエディオンピースウィング広島での初勝利を2-0で飾った(藤生が2得点を記録)

2022-23シーズンはお互いのホームで1-1の引き分け
2021-22シーズンはINACのホームで3-2とINACが勝利。広島もホームで1-0の勝利でお互いに1勝ずつだった

お互いにホームでは負けなし。昨季スタートダッシュを切ったINACはしっかりとリーグ戦勝利を収めたい
一方昨季リーグ戦の開幕からは少し苦しんだ広島はチーム全員で勝利を目指したい

昨シーズンの成績(リーグ戦のみ)

INAC神戸レオネッサ:15勝4分3敗 勝ち点49の2位  39得点 12失点(+27)

先制試合:15試合 14勝1分(先制すれば負けなし)
先制された試合:6試合 1勝2分3敗(6節のC大阪戦で逆転勝利)
スコアレスドロー:1試合のみ

ホーム: 8勝2分1敗 勝ち点26 20得点  5失点 得失点+15
アウェイ: 7勝2分2敗 勝ち点23 19得点  7失点 得失点+12
ホームでの敗戦は21節の浦和戦のみ

リーグ戦では11名が得点(田中8得点、北川6得点、成宮・髙瀬5得点、愛川4得点、守屋3得点、竹重・桑原・辻澤2得点、山本・三宅が得点を記録)

複数得点:12試合
複数失点:3試合(3敗はいずれも複数失点) 
無失点:13試合(12試合で完封勝利) 
無得点:3試合

<得点>前半に15得点 後半に24得点   
<失点>前半は8失点 後半は4失点

リーグ最小の失点数を誇り、後半はわずかに4失点と堅守
前半の得点数の伸び悩みはあるものの、堅守に支えられて先制試合は負けなし
複数失点の試合もわずかに3試合。開幕から14試合負けなし、13試合続けて得点も記録した
またセットプレーからは8得点を記録、セットプレーからの失点は4失点と少ないが広島戦は2本のCKからの失点での敗戦となった

サンフレッチェ広島レジーナ:9勝4分9敗 勝ち点31の5位  26得点 25失点(+1)

先制試合:11試合 9勝2分(先制すれば負けなし)
先制された試合:11試合 2分9敗(逆転勝利なし)
スコアレスドロー:なし

ホーム: 4勝3分4敗 勝ち点15 14得点  14失点 得失点なし
アウェイ: 5勝1分5敗 勝ち点16 12得点  11失点 得失点+1
昨季はアウェイ戦の勝ち点がホームを上回った

リーグ戦では10名が得点(上野が11得点、古賀3得点、松本・高橋・李・藤生が2得点、中嶋・柳瀬・立花・小川が得点を記録)

複数得点:9試合
複数失点:9試合
無失点:6試合(いずれもウィンターブレイク後の3月以降に記録) 
無得点:5試合

<得点>前半に10得点 後半に16得点   
<失点>前半は9失点 後半は16失点

前半、後半共に大きな差はなかった昨季だった
後半は入りの部分での得点は少ないが中盤から終盤にかけて得点をとっている印象
後半30分以降の失点が16失点中9失点となっているので、足を止めずに粘り強く今季も戦いたい

個人的な見どころ

両チームにとって重要な一戦。すでにカップ戦はスタートしており、INACは1勝1敗。広島は1勝1分という戦績になっている

特に広島は1戦目と2戦目でメンバーを全員交代させ、総合力の底上げと競争を見せた
一方のINACはちふれASエルフェン埼玉に0-1の敗戦。攻撃では良い局面をなかなかつくれず相手の固い守備をこじ開ける事ができなかった

広島はカップ戦初戦は昨季の主力中心に臨み3-1で勝利。藤生が2得点を決め、エースの上野にも得点が生まれた

カップ戦の2節はINACは敗戦。広島もスコアレスドローと勝利を飾ってリーグ戦に臨む事はできなかった
ただ、悔しさや課題を持って臨み、そこからどのようなプレーを見せていくか注目したい

①昨季と編成が大きく変わるINACはサイドから起点をつくりたい

INACは主力が多く海外へのチャレンジを決めた。ベストイレブンの田中、山下、北川、更には竹重・天野も海外へ(山下はマンチェスター・シティ、田中はアメリカのユタ・ロイヤルズFC、竹重はオランダ、北川・天野はスウェーデンを新天地に選んだ)
そして広島でもプレーした増矢が引退。メンバーは様変わりする形となった

新加入の多くは外国籍プレーヤーとなった
スペインからカルラ・モレラ(DF)、パオラ・ソルデヴィラ(MF)、カルロタ・スアレス(FW)と各ポジションから加入
韓国からイ・スビンが加入し、千葉からジャマイカ出身のヴィアン・サンプソンが加入した
また、GKも千葉から大熊が加入(世代別代表選手にも選出)

外国籍選手の適応と連携の部分は少し時間がかかるかもしれない。ヴィアン・サンプソンは千葉でのプレー経験もあるため馴染むのは早いかもしれないが、各ポジションで入れ替わりがあるためどのように試合を進めながら成長と練度を高めていくか注目をしたい

竹重が抜けた部分はあるが経験のある三宅、土光、攻守で躍動できる守屋の存在も大きい。一方で得点源となる田中や北川の移籍は大きく、新たな得点パターンの創出を狙いたい

プレシーズンでは新加入のカルラ・モレラに加え、昨季チームを支えた成宮、愛川が得点を記録
カップ戦の初戦は成宮、ヴィアン・サンプソンと得点を記録した
また負傷で離脱していた水野がセレッソ戦でもプレーするなど、ポテンシャルのある水野の復帰も好材料にはなる

昨季左サイドの起点となった北川のポジションに誰がチョイスされるか?
桑原や水野もドリブル突破はできる技術はあるため、守屋を含めサイドからチャンスをつくりたい
昨季は田中が体を張ってチャンスをつくる場面もあったが、攻撃パターンの変化や新しい流れをつくり昨季同様スタートからINACは波に乗りたいところでもある

②守備意識を高く持つ広島は誰がどこで出ていくか?攻守の切り替えに注目

DF出身の監督でもある吉田監督が求めるのは高い守備意識と誰が出てもチームの約束事を徹底できるかどうか
昨季チーム内得点王の上野もカップ戦は2戦ともスタメンだったわけではない
既存メンバーはほとんどが残留し、昨季の積み上げがある一方で、競争も促していく
それでも複数ポジションをプレーし、流動的にプレー展開ができるのは広島の強みでもある
相手の攻撃の起点をしっかりと潰して、そこから誰が切り替えて前に圧力をかける事ができるか
カップ戦1戦目のメンバーが主になるようにも思うが、新監督の吉田監督が誰をチョイスして開幕戦勝利を狙うか注目したい

リーグ戦勝利すれば2年ぶりの開幕戦勝利。そして対INAC神戸で見れば敵地では初勝利にもなる。過去の戦績は五分なだけに、思い切ったプレーに期待したい

③昨季の命運を分けたセットプレー。先制点の行方

昨季は田中美南のPKで神戸がホームで勝利。一方広島はホームでCKから藤生の2発で勝利を収めた

いずれもセットプレーが勝敗を分ける結果となった
振り返れば2022-23シーズンもカップ戦ではINACが田中のPK含む2-1で勝利
広島のホームゲームは上野のPKで先制した広島が1-1の引き分け
と一昨年のシーズンもセットプレーで得点が動いている

ただ、広島サイドから見れば過去のシーズンで得点を量産された田中美南は移籍している影響はあるはず。INAC側から見れば昨季2失点を喫した藤生はカップ戦でも早速2得点を記録
過去の対戦で3得点を挙げている上野もカップ戦で得点を決めているなど、注意すべきプレイヤーを警戒しつつ流れをつくりたい

お互いに昨季はリーグ戦先制すれば負けなし。メンバーは変われど、その流れを継続し開幕戦スタートダッシュを切るのはどちらのチームでしょうか?

INACは2014年のなでしこリーグ時に開幕戦浦和に敗れて以来開幕戦は勝利を飾り続けている(リーグ開幕戦は9連勝中)
記録継続なるか、それとも広島が止めるか?注目の開幕戦は9/1418時キックオフ!ノエビアスタジアム神戸、またはDAZNにてお楽しみください!


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能政夕介(nose yuusuke)
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