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利益は “仕組み”で必ず生み出せる! | 株式会社クロスルートコンサルティング 高木順さん

「利益を出して、いかに世の中に価値を還元するか。それこそが、ビジネスの本質だと思っています」

株式会社クロスルートコンサルティング代表であり、中小企業診断士でもある高木順(たかぎじゅん)さんは、利益についてそう語る。

宮城県仙台市に拠点を置き、中小企業診断士として様々な企業を対象に経営コンサルティングの他、ブランディングや販促支援などを専門としている。

現職以前、高木さんはシステムエンジニア(SE)として、大小さまざまなシステムの開発を手掛けてきた。その実績を積み重ねていく中で、システムの開発だけでは企業体質の本質的な改善に限界があることを感じ、中小企業診断士の資格を取得、やがてSEの枠を飛び越え経営コンサルティングへと道を転じてきた。

そのきっかけは、「利益の仕組みをつくることをサポートしたい」という強い想いが原点となっている。

資本主義社会の経済活動において、企業でも個人でも、事業をしているのであれば利益は何よりも大切なもの。

とはいえ、「利益を上げよう」「儲けよう」という表現は、いささか拝金主義的な響きを帯びて伝わってしまいかねないところもある。

しかし、そのようなイメージは「“利益の本質”ではない」と高木さんは語る。

「大いに儲けること、つまり儲けを最大化することは、守銭奴的な考え方に意識を向けるのではなく、利益がどのように世の中に価値を還元しているかに意識を向け、そのことに気づいていくことが重要であると思っています」

対価を払うという行為は、支払う側がその価値を認めたから行われるもの。利益とはその対価の中に価値が内包されているということを意味しているのである。そのプロセスを純粋に考えれば、双方ともに不純な意図は何もない。

「そのように一人一人が儲けをつくっていくことは、それぞれが創出した付加価値を世の中に満たしていくということであり、社会としてより豊かになっていく状態ではないかと思っているんですよね」

そんな利益の本来の姿とその仕組みをよりわかりやすく多くの人に伝えていくため、高木さんは今、企業コンサルティングと並行して「MQ会計」の理論を中心とした「MQ戦略ゲーム研修、通称MG研修(マネジメントゲーム研修)」の実施に力を入れている。

実践的な経営が学べるMG研修

MG研修とは、SONY(ソニー株式会社)が1976年に開発した経営シミュレーション型の研修プログラムであり、いわば「経営のボードゲーム」。参加者が「会社の社長」となり、経営を模擬体験することで、実践的な経営感覚や意思決定能力を養うことができるものである。

大手企業を中心に5,000社以上、延べ100万人以上が受講している実績もあり、まさに「経営者にとっては必須の学び」といっても過言ではない研修だ。

きっちりと利益の本質を知り、生み出す仕組みを身につけて、個々が経済的にも精神的にも豊かになる世界をつくりたい。その思いは、自身の経験を重ねていくごとに熟成され、強い信念を持って普及と伝達、自身の訓練に、継続的に取り組んでいる。


ただ好きなことに夢中になった学生時代

「中小企業診断士になったのは35歳になった頃ですから、今から11年前ですね」
それまではシステム開発会社でSEとして活動していた。

SEとなった理由は、大学時代にパソコンに夢中になったことからはじまる。その当時、1990年代後半はインターネットが一般にも広がり始めた時期でもあった。

「手にしたパソコンに夢中になり、その構造やインターネットの仕組みなどを理解する中で、ITが得意分野になったんです。なので、就職をするならパソコンに関係する業界がいいと思いシステム開発会社を選びました」

「だから、まあ言ってしまえば“たまたま”かもしれませんね」と苦笑いする。

「もともとは、マリンバイオ関連の業界に携わりたいという思いは持っていました。高校時代がヨット部だったので、その流れで興味を持ち始めました」

ヨットといえば一見華やかに見えるマリンスポーツ。しかし、実際には細かいデータ収集と解析、そして戦略立案とかなり頭を使うスポーツだという。

高校時代は勉強そっちのけでヨットに熱中
(ヨットのへりに立ちセイルを操作しているのが高木さん)

「風と波、潮という自然との闘いなので、過去の自然現象や天候などを細かにデータ化して、それをいかに読み取り戦略に落とし込むかでレースの結果に差が出るんですよね。それが面白くて夢中になってしまって……。もう勉強そっちのけでヨットにのめり込みました」

その甲斐もあって、インターハイには2度も出場している。高校は進学校だっただけに、三年生の夏には他の生徒は色白、高木さんだけが日に焼けて真っ黒だったという。

大学へは進学するつもりであったが、ヨットが優先順位トップの高校生活。その結果として、現役で希望する大学には届かず一度予備校生活を送ることとなる。しかし、予備校に通い出したら、今度は予備校で出会った友人たちと遊ぶことにハマってしまう。

「また勉強そっちのけとなってしまい、2度目の受験ではとりあえず入れる大学へとにかく入った、という感じです」

予備校、大学、とにかく遊びまくった
(運転席にいるのが高木さん)

ヨットをしていたことからマリンバイオに興味を持ち始め、バイオテクノロジーが学べる農学部を有する大学への進学を理想としていたはずだった……が、再三の遊び三昧の結果、2回目もその理想には届くことがなかった。そんな経歴だけに、さすがに3度目の挑戦は許されず、その当時の学力で何とか入れる農学部のある大学を探し出し、かろうじて入学する。

しかし、ここで高木さんは大きな思い違いをしでかした。

マリンバイオでなくとも理系的な研究をしたいと思って入ったつもりであったが、進学先は農学部でも異色の農業経済を学ぶ学科であり、理系的な要素などは全くなかった。

「まったく的外れなことをしてしまいました」と、ここでも苦笑いをする高木さん。

「農業経済なんて、当時は興味が持てる分野でなかったことから、結局大学でもまた遊び呆けてしまいました。“もう何をやってんだろう”という感じの学生時代だったわけです」

体を動かすことが好きだったという高木さん(前列左)


「学業そっちのけで遊び呆けて、ヨットといい、パソコンといい、出会ったものにただフラフラとのめり込んで、なんか無節操ですよね」と苦笑いを連続させる高木さん。

しかし、その偶然の出会いがあったからこそ、今の高木さんがある。

パソコンに「夢中になった」ことが、この後の高木さんに新しい気づきと価値観を生み出し、現在のキャリアを築く大きな原動力となっていくことになる。もちろん、その当時の高木青年は、自らに訪れるそんな将来像はイメージできようもない。

違和感から生まれた新しい道

こうしてSEとなった高木さんだが、人が変わったように学び始めた。

「SEともなると膨大な知識と専門的な技量が必要になるので、もう学んでいかないとどんどんついていけなくなるんですよ。自分の中では好きな分野でもあったので、これまでやってこなかった分を取り返す勢いで知識・知見吸収に取り組みました」

と当時を振り返る。

以後は、数々のクライアント企業に入りこんでは、エンジニアとして大小問わずシステム開発を手掛け、確かな実績を築いていく。中には大手通信会社のシステム開発にも携わり、SEとしての地位も上がっていった。

IT企業でSEとしてどんどん実績を上げていくが……

しかし、開発者として実績を積み重ね地位が上がるにつれて、高木さんの中にある不協和音が少しずつ響き始めていく。

その原因は、クライアントの“満足度”だった。

開発そのものは大きなトラブルもなく、仕様もクライアントの要望通りのものとなっている……はずなのに、クライアントの十分な満足度につながっていそうにない。クライアントの雰囲気から、そんなことを感じることが多くなってきたのだ。

「そもそもシステム開発って、現場の仕組みや手順を簡略化し、業務効率化を目指している要望が圧倒的に多いんですね。でも、システムが立ち上がって手順は確かに楽になったけど、仕事そのものが楽になったというわけではなさそうなことが、次第にわかってきたんです」

クライアントの要望通りに仕上げているはずなのに、誰もが諸手を挙げて喜んでいるわけではないのはなぜなのか?

その後も様々なプロジェクトに関わり、開発を続けるほどにそんな自問が大きくなっていく。

「“何のためにシステムを作っているのかな”と、だんだん思うようになってきたんですよね」

やればやるほどに矛盾を感じ、要望通りなのにクライアントの真の満足につながっていないことに歯痒くなる。どのようにしたら、クライアントが心から喜んでくれるシステム開発ができるのか。

この思いが、やがて高木さんをこれまでとは違う方向へと突き動かしていく。

もちろん、この時点の高木さんはそのことに気がついていない。ただ、クライアントの喜びを引き出し、いかに幸せになってもらうか、という目の前の命題を解決したいという素直な思いだけしかない。

試行錯誤を繰り返していく中で、高木さんはあることに気がつく。

「クライアントの部分的な業務を効率化することだけで、大きく利益をつくりだすとか、仕事の仕組みそのものの改善になるとか……要するにビジネスそのものを根底から良くしようという部分まで繋がっていなかったんですよね」

現場の仕組みや手順の効率化とは、いわば部分最適だ。それをいくら積み重ねても全体最適にはならない。

まさに「木をみて森を見ず」。

仔細を見る前に、まず会社とは――しいては経営とは――どういうことなのかという全体像をまず把握する必要がある。

そのためには経営とは何かを知らなくてはならない。

こうして、高木さんは中小企業診断士の資格を取ることを決意する。

部分最適から全体最適へ

準備に1年かけ、2度目の試験で高木さんは中小企業診断士の資格を取得した。

取得の目的はSEとしてクライアントの満足度をより上げるためであったが、やがて、コンサルティングの依頼も少しずつ増えていった。その結果として、SEとコンサルティングの「二足のわらじ」になっていく。会社もSEとして仕事もこなしていくのであれば、とやかくは言わなかった。

とはいえ、そもそもSEという仕事自体ハードワークである中で、コンサルティングの依頼。さすがに5年も経つ頃には、”二足のわらじ”も限界を迎える。

その頃になると、高木さんの中で、気持ちのウェイトは診断士側に傾いていた。

中小企業診断士としての人脈のつながりも増え、経営全体を見る機会が増えるにつれ、システム構築とは経営の一つの手段でしかない、と強く思うようになったからだ。また、さまざまな経営者と触れ合う機会が増えたことで、高木さんの中に新たな思いも次々と生まれていった。

システム開発から経営へ、「想い」のウェイトが変わっていく

「経営者の人たちって、ちょっと雰囲気が違うんですよね。様々な人がいらっしゃいますが、一言で表すなら“徳が高い”というか、何か一つでも尊敬できるものを持ち合わせている、という感じです」

何か長けているものを一つ持ち、それらを周りに還元している、そんな感覚があった。そんな経営者たちと触れあうだけでも、「経営とは何か」「どうあるべきか」という思いが更に深まっていった。

「そんなことから、SEとしてシステム構築していくよりも、経営全体をより良くしていくことをサポートしていきたいという気持ちが強くなっていきました」

この「想い」が、ついにSEから中小企業診断士へと転身する背中を押した。

こうした流れの中、高木さんにとってさらに「大きな転機」が訪れる。

それが、“盛和塾”や “MG研修”、”MQ会計“と、時をほぼ同じくして出会ったことだった。

「まさに、自分の運命を変えた出来事です」

この出会いについて、高木さんはそう表現する。

盛和塾とは、かの京セラ(京セラ株式会社)創業者 稲盛和夫氏が立ち上げた経営塾であり、MG研修は、冒頭にも前出したSONYの研修プログラムだ。ちなみにその開発者は、SONY共同創業者の1人である井深大氏の側近だった西順一郎氏である。

盛和塾については、稲盛氏が高齢で塾が閉鎖されるタイミングだったが、過去27年間に発行された156冊に及ぶ機関誌を研究するコミュニティが立ち上がり、その活動に参加。稲盛氏が提唱した京セラフィロソフィとアメーバ経営に関する思想と手法を深く学んでいく。

一方でMG研修は、最初に制約理論というものに触れたことがきっかけだった。制約理論とは、ビジネスの中でボトルネックとなる要因を特定し全体最適を目指す考え方だ。この理論の必要性を感じ、深く学ぼうとした時、最低でもMG研修を受講した経験がないと深い学びを受けられないことを知る。

これがMG研修との初めての出会いとなるわけだが、MG研修での実践を重ねていくうちに、高木さんはこのMG研修に惹かれ造詣を深めていく。

こうして盛和塾とMGへの出会いの中で、高木さんは「経営とは、思想と手法の両輪が必要」という自身としての理念の軸を形成し、「利益の大切さ」「利益には思いと哲学がつまっている」と実感していくことになる。

そもそも利益とは何なのか?

「同じタイミングで盛和塾のコミュニティとMG研修に出会ったことは、間違いなく自分の成長を加速させるドライバーになりました」

経営のことを知るほどに、利益を追求することがいかに重要なことなのか理解を深めていく高木さん。その理解を多くの人に伝えるためにも、仕組み化する必要性を強く確信する。

「利益の本質は価値の還元」

利益について高木さんはそう説明する。

「例えば、私がオレンジジュースを販売するとしましょう。

農家は種苗メーカーからオレンジの種を購入し、丹精込めてオレンジを育てて収穫します。収穫されたオレンジは、物流会社のトラック運転手によって運搬され、スーパーに運ばれ店員がオレンジを店頭に並べ、そこで私がジュースにするためのオレンジを購入します。

購入したオレンジには、種苗メーカーや農家、物流業者、小売店と多くの人々の努力が詰まった価値がすでに含まれています。そのオレンジを私が絞りジュースにするという行為で新たな価値を上乗せして販売し、お客様がそれを喜べば、それまでのプロセスに関わった方の価値をも活かすことになります。

利益とは顧客の満足を通して、結果として得られる社会の評価です。つまり、利益が高いということはそれだけ世の中に付加価値の貢献をしているわけです」

だから、一人ひとりがビジネスを通して付加価値を創造し儲けをつくっていくことで、世の中にはより多くの価値が溢れ、世の中が豊かになっていくことを意味する、と高木さんは力説する。

さらにこの利益をつくる仕組み化ができれば、誰もが適正な利益を得ることができる。

SEでもあったことから、システム構築・仕組みづくりはプロフェッショナル。そこに、経営の思想や手法、そして社会に対する思いすべてが重なり、「利益は仕組みでつくり上げる」という概念が生まれ、それを実践している。

そんな高木さんは、中小企業診断士として顧問先企業の債務超過を解消し、2千万もの赤字を抱えてきた企業の利益をプラス1千万までV字回復させるなど、企業の利益を創出する確かな実績を残している。これもまさに「利益をつくる仕組み化」で生み出されたものだ。

利益をつくる仕組みで幸せを生む

依頼を受けたら利益をつくり出すまで、とことん入り込む。

経営者だけでなく社員からも状況を詳しく話を聞き、そこで働いている人以上に理解しようとする。企業によっては、状況把握するために最初の2ヶ月間は、ただ黙ってじっと観察することもあった。

とにかく、その企業の特性をじっくりと見極めてから、その企業体質に合致した「利益をつくる仕組み」を共に“創り”上げていく。

そのためには、クライアントといえども容赦しない。時として厳しいことも口にし、クライアントが反論できないまでに「理詰め」で話すこともあるという。

だから、どのクライアントも高木さんと関わるとこう口を揃える。

「理詰めされて困ることもあるけど、なんだかんだといって“熱い”人だ」

「高木さんのような、熱血コンサルタントは見たことがない」

この熱量も、ひとえにSEとして悩める時代があったからこそでもある。

効率化を目指して苦労して開発したシステムが、必ずしも利益に直結していない、事業を推進する力にまで及んでいない。

自分自身がそのような矛盾の壁にぶち当たったからこそ、「何とかしたい!」「できるはずだ!」というエネルギーが湧き起こる。それが、「利益は必ず仕組みでつくり出せる」、「誰もが利益を得て幸せになる社会をつくり出すことができる」につながっている。

そこには、かつて世界でGDP2位の日本が、4位となり、経済的な競争力を落としてしまっている日本経済の危機感も背景としてある。

「2060年にはGDPがさらに下がって一人当たりGDPは20位圏内にも入れない状況も予測されています。それで“先進国”と言えるのか、と思います。
我が子を含めて、今の子どもたちに、そんな競争力が落ちていくような社会を引き継いでいくのかと思うとゾッとします」

経営を良くし、利益を生み出し経済を回す。

そして一人一人が豊かになる。

この実現を目指し行動する背景には、未来の子どもたちのためへの想いもある。

現在の日本の状況に対する、不満というか不甲斐なさを少しでも改善することが、自分を含めた大人たちの役割だと高木さんは力説する。

だから、利益をつくることに熱が帯びてくる。

だから、口先だけの理論ではなく、顧問先にしっかりと寄り添いながら、ともに実践して利益をつくりだす仕組みを構築していこうとする。

仕組みにすれば、自動的に回っていく。

そして、この想いは企業へのコンサルティングだけにとどまらない。近年ではMG研修を主催し経営者のみならず、会社員、主婦、学生と受講者の層を問わず、利益のあり方、その意味や本質を伝えていく活動にも積極的に力を入れている。

これほどまでに「利益を“創り”だす」ことに高木さんは情熱を持っている。

そのための仕組みづくり。

何とも頼もしい言葉なのだ。

ここで、ちょっと想像してみよう。

この世界で暮らしている限り、誰もが必ず何かしらの経済活動に携わる。

自らが関わる経済活動の中で自分が生み出した価値が認められ、利益として具現したらどうだろうか。

ほとんどの人が、それを“喜び”と感じるのではないだろうか。

まさに「利益とは社会的な評価でもある」、「一人一人が儲かれば社会が豊かになる」という高木さんの言葉に結びつくことであり、この“喜び”が世の中を支える希望の一つであることは間違いないだろう。

Another Story 〜ボードゲームだからと侮るなかれ〜

「私なんか、何度会社を倒産させたことか」

経営コンサルタントである高木さんが会社を倒産させる!?

なんとも穏やかではない話なのか……と思いきや、これは実際のことではなくMG研修での話だ。

「自分の人生を変える転機になる出会いだった」と表現するほど高木さんの価値観を圧倒的に変えたMG研修。

会社経営をシミュレーションしたボードゲームなのだが、経営と会計を同時に学ぶことができ非常に精巧にできている。

一つのボードで5、6名が参加し、それぞれが社長となってボードゲーム上で会社を経営する。

モデルとしては製造業になり、部品を仕入れ、加工し、販売しその収益結果を決算書にまとめ上げて評価することを一つのサイクル(いわゆる1期)とし、これを5回(つまり5期)繰り返して1ゲーム(1回分の研修二日間)となる。

ただ、ゲームでありながらも「勝ち」「負け」はない。あるのは、次の期にどれだけ会社の利益を積み上げ資産を積み上げているか、という結果だけ。

それだけに「自分との勝負」となる。

「最初は、これが本当に経営に役立つのか、と疑問に思いました」

ところが、やればやるほどに奥の深さを痛感し、ヨットやパソコンと同じく「のめり込む」こととなる。ただ、それまでと違うのは、ゲームを通じて果てしない経営の奥の深さを感じるからでもある。

ゲームのベースとなっているMQ会計のロジック、さらにそのロジックも一つの思想として出来上がっていること、また研修に集まってくる経営者たちとの出会い。その中でありとあらゆるリアルな経営者像に触れる事ができるところが高木さんを夢中にさせていった。

MG研修創設者 西順一郎先生(左)と

「MG研修は、本当に奥が深いです。
私がゲーム上で会社を倒産させている傍らでは、一緒に参加しているバーのママさんが圧倒的な付加価値を生み出していたりするんですよ。
そんな体験すると、経営コンサルタントを語ってもいいのかなぁ、なんて思ったこともありました」と笑う高木さん。

MG研修に参加する経営者の中には、本当に様々な修羅場を経験した人も多いという。

「来月の給料をどうやって払ったらいいのかとか、自分に掛けた保険金で何とか会社を存続させることができるんじゃないかとか、それこそリアルに倒産間際まで追い詰められた経営者が普通にたくさんいらっしゃいます。そんな話を聞くと、こちらとしても覚悟と決意を持って対応する必要がある、とつくづく思います」

このように考えさせられる経験がまた自分を成長させていきます、とも高木さんは言葉を加える。

わかりやすく、しかもゲームに参加する人たちの交流の中でリアリティを持って、まさに経営と利益の本質を掴み取ることができる絶好の機会。

利益の本質を伝え仕組みをつくり
幸せな社会に繋げていくことが使命

だからこそ、高木さんはMG研修を伝えていくことにも情熱が注がれていく。

そこには、「自分が関わっていく人たちを一人でも幸せにしたい」という高木さんの“願い”もしっかりとこもっている。

取材・執筆ー白銀肇(しろかねはじめ/ことはじめライター)
















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