1週間で開業して廃業した話。(前編)
道程
気力はないけどお金は欲しい。
退職して数週間。ようやくうつヌケしたとは言ったものの、もちろん気力体力ともに100%なわけもなく。HPはズバリ1くらい。意識は戻ったものの依然としてへろへろ勇者なわたしなのである。
うつになるまでの経緯や退職の経緯、うつヌケに至るまでの道程はまた後日noteにかきとめるとして、とにかくうつヌケしたての私は生まれたての小鹿勇者なのだ。しばらく戦いは勘弁してほしい。
しかし、なんてったって「お金は欲しい!!!!」
だって辞めたくて辞めたわけではないし、何より病みたくて病んだわけではない!!生きるためにはお金がいる!!
ということで、「在宅でできるええ感じの仕事ないかなあ」となんとも甘っちょろい考えで旅に出た銭ゲバ勇者。
スマホでサクサクっと調べ、検討し、奇跡的に「在宅でできるええ感じの仕事」を見つけ、お得意の外面のよさで面接を突破。ひとまずええ感じにHPを回復できそうだと一安心したのであった。
よし!やったるで!
HP回復のために私が門を叩いたのは教育系の企業。いわゆるオンライン塾講師として採用されたのであった。在宅ワークだなんて最高すぎない?しかももともと塾講師の経験はあるわけだし、え、最高じゃない?と意気揚々の引きこもり勇者。この出来事で自己肯定感はもれなく爆上がりし、着実にHPも爆回復させた。
研修は順調に進み、3回目の研修。しかしそこである一言を言われ、私は大混乱に陥った。
「業務委託としてやっていくのだから、ひとまずカイギョウトドケだして、アオイロでカクテイシンコク出すといいよ」
私の中にはある言葉が浮かんだ。それはサンドウィッチマン富澤さんよろしく、「ちょっと何言ってるか分からない…。」だ。
確かにあの時、私の頭の中には、とみーボイスでそう流れたのだった。
業務委託?確定申告?何それ美味しいの?
心の中のとみーと手を取り合いアセアセしながら、なんとか笑顔でその場を乗り切ったわたし。さすがプロ八方美人!と自分をほめつつ、研修後すぐさまGoogle先生を召喚した。
Google先生の言ったことを嚙み砕くと、業務委託と正社員だった頃とはお金のもらい方が変わり、保険や税金などにも様々な違いが生じる、とのこと。(噛み砕きすぎ)
わかりやすいところで言うと、確定申告をしなければならなくなる。確定申告とは、「1月1日から12月31日までの1年間の所得と、所得に対する所得税を計算し、源泉徴収された税金や予定納税額などがある場合には、その過不足を精算する手続きのこと」である。
業務委託としてやっていくからには、正社員時代は年末調整という形で会社が従業員に代わって実施してくれてた所得税の申告・納税までを、わたし一人でやらねばならない、ということだ。
つまり、その、なんていうか……とっても面倒なのだ。
それでも私は勇者だから、「確定申告とは」というページを果敢にいくつも渡り歩き、度々意識を飛ばしながらもなんとか勉強してみた。
そして分かった。「白より青がいいらしい」ということを。
選ぶなら「ブルーで面倒なやつ」
確定申告縛りネットサーフィンの甲斐あって、青色申告がよさそうということが分かった。
ちなみにこの色について言うと、確定申告の形式として白色と青色があるのだ。違いについては以下の通り。
・白色申告→簡易帳簿というシンプルな会計方法で事務的な負担が少ないのが特徴。しかし、青色申告のように最大65万円の特別控除はなし。
・青色申告→複式簿記による記帳を行い、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付することで、最大65万円/55万円の青色申告特別控除が受けられる。(e-Taxによる申告または優良な電子帳簿保存を行わない場合は、最大55万円の控除)
ザックリまとめると、確定申告には白色申告と青色申告があるのだが、青色申告の方が特別控除の額が大きく、しかも同じ青色でも複式とか電子とか複雑な方がより特別控除が大きくなるからおいしいよという話である。
開業届、出してみた。
開業届とは
よーし、やったろうじゃん青色申告!と息巻いて、早速必要な手順を調べた。
どうやら開業届の届け出と青色申告承認申請書が必須らしい。開業届とは、個人事業を開業したことを税務署に届け出る書類のことである。
「あたい、これから業務委託で報酬を受け取るで!わたしが言わば社長で、これから事業として事業所得が発生するで!」と税務署に報告しなさいね、ということだ。
今度は青色申告縛りのネットサーフィンの甲斐あって、完全に「青色申告をしなければならぬモード」に入っていた私は、あまり何も考えずにこの開業届を提出することを決意した。この判断がのちにややこしい感じになって1週間後の私の首を絞めるともも知らずに…。
れっつ作成&提出!
完全に「青色申告ハイ」になっている私は意気揚々と手続きに進んだ。サクサクっと開業届&青色申告承認申請書を税務署に提出。
作成と提出に要した時間は実に20分ほどであった。しかもe-taxを利用して提出したので暑いなか外に出る必要もなかった。つまり引きこもり勇者は大勝利をおさめたのだ。
開業届作成時にお世話になったのがこちら↓
こちらを利用してびっくりするくらいサクサクっと出来てしまった。簡単すぎて拍子抜けしてしまったほどである。
おかげで「え、やればできんじゃん自分!」と調子乗り勇者になってしまったのだ。まったくけしからん、freee開業め。
青天の霹靂
契約内容と違いすぎませんか?
諸々の手続きを乗り越え、よし、これで業務委託バリバリやれるで!「ひとり親方」やで!などと完全に調子ぶっこいていた私。
しかし現実はそう甘くないということを、開業翌日に思い知らされるのであった。
(続)
次回、契約内容と業務内容が二転三転⁉ブラックベンチャーとの戦い、あの苦労は何だった⁉スピード廃業!の二本立てでお送りします。
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