全身性エリテマトーデス② 112AM95

Aさん(28 歳、女性、美容師)はゴルフが趣味である。同居しているパートナーと 1 週前にゴルフに行った後から、顔面の紅斑、微熱、全身倦怠感および手指の関節痛が現れた。病院を受診したところ、全身性エリテマトーデス(systemiclupus erythematosus)〈SLE〉と診断され入院した。A さんは看護師に「これまで病気をしたことがなかったので、驚いています」と話した。
バイタルサイン: 体温 37.4℃、呼吸数 18/ 分、脈拍 64/ 分、整、血圧110/60mmHg。
血液所見: 赤血球 260 万 /μL、Hb9.0g/dL、白血球 7,600/μL、血小板 18 万 /μL、尿素窒素16mg/dL、クレアチニン 0.8mg/dL、CRP0.7mg/dL、直接 Coombs〈クームス〉試験陽性。
尿所見:尿蛋白(-)、尿潜血(-)。
神経学的検査:異常所見なし。
12 誘導心電図:異常所見なし。
胸部エックス線写真:異常所見なし。

A さんはステロイドパルス療法の後、副腎皮質ステロイド薬の内服治療が開始された。入院 3 週ころから満月様顔貌がみられたため、外見の変化に気持ちが落ち込むようになった。

A さんへの対応で適切なのはどれか。
1.気にする必要はないと励ます。
2.パートナーの面会を制限する。
3.外見よりも病気の治療を優先すると説明する。
4.薬の量が減れば満月様顔貌は軽減すると説明する。

正解 4

解説
副腎皮質ステロイド薬は、炎症や免疫反応を抑える効果がありますが、副作用も多くあります。その中の一つが満月様顔貌(ムーンフェイス)と呼ばれるもので、顔が丸くふくらんでしまう現象です。これは、副腎皮質ステロイド薬が食欲を増進させたり、脂肪の代謝を低下させたりすることで起こります。

この問題では、「4. 薬の量が減れば満月様顔貌は軽減すると説明する」が最も適切な対応です。理由は以下の通りです。

  1. 気にする必要はないと励ます。 これは不適切な対応です。Aさんの気持ちを無視してしまうことになります。また、満月様顔貌は気にしなくても良いことではありません。副作用であることを認識することが大切です。

  2. パートナーの面会を制限する。 これも不適切な対応です。AさんのパートナーはAさんの心の支えであり、面会を制限することでAさんの孤立感や不安感を増幅させてしまう可能性があります。また、パートナーにもAさんの状況を理解してもらい、サポートしてもらうことが重要です。

  3. 外見よりも病気の治療を優先すると説明する。 これも不適切な対応です。Aさんの外見へのコンプレックスを否定してしまうことになります。また、外見と病気の治療は別々に考えるべきではありません。外見の変化は副作用であり、病気の治療に影響する可能性があります。

  4. 薬の量が減れば満月様顔貌は軽減すると説明する。 これが適切な対応です。Aさんに満月様顔貌の原因や経過を正しく説明し、希望を持たせることができます。また、薬の量を減らすためには病気の状態が安定する必要があることを伝え、治療への協力を促すことができます。