自己免疫性肝炎
概要
免疫の異常が関係していると考えられている、慢性肝炎です。
中年以降の女性に好発することが特徴です。
ウイルス性肝炎、アルコールなどの原因がはっきりしているものは除外します。
HLA-DR3陽性、HLA-DR4陽性が多いため、遺伝的な要素が関与していると考えられています。
自己免疫疾患あるいは膠原病(慢性甲状腺炎、シェーグレン症候群、関節リウマチなど)の合併が1/3にみられます。
症状
疲れやだるさ、食欲不振、腹痛、黄疸などの症状が現れます。
重症化すると肝硬変や肝不全に進行することがあります。
診断
血液検査ではトランスアミナーゼ上昇(ALT>AST)、IgG上昇、抗核抗体 陽性、抗平滑筋抗体陽性がみられます。
診断には肝生検が必要です。
他の原因による肝障害は除外しておきます。
治療
副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)が第一選択です。
副腎皮質ステロイドを使用しても再発を繰り返す場合や副腎皮質ステロイドを使えない場合は、免疫抑制剤(アザチオプリン)を使用します。
ウルソデオキシコール酸の併用で肝機能の改善が期待できます。
肝不全に至った場合は肝移植が考慮されます。
適切な治療が行われた場合、予後は概ね良好であり、生存期間についても一般人口と差を認めないとされています。