持続可能な夫婦関係に必要なものとは
ビルゲイツ夫妻が離婚を発表しました。夫婦としてこれ以上成長できないというのが理由でしたが、「夫婦としての成長」という言葉に違和感を覚えました。
私は結婚して約15年経ちますが、夫婦関係は成長というより成熟したという実感があります。私も妻も容貌は老化してきたし、新婚当時のようなベタベタしたスキンシップが少なくなりました。一方で、互いへの信頼は深くなり、その存在はほかに誰も代役が務まらない唯一無二の存在になってきていると思います。この歯車がかみ合ってくるような実感が関係の成熟と呼べるものではないかと思います。
私の親も夫婦としての成長など無いと言っていました。今でも毎日のように息子夫婦に「まったくあの人はいつもこうなんだから」と自分のことは棚に上げて相手について愚痴を言っています。昔から同じような愚痴を聞かされてきたように思えます。それでも別れたいとは言わず、もう最後まで付き合うしかないと言わんばかりに毎日愚痴を言いながらも支え合って暮らしているように見えます。互いのことを知り尽くしている成熟した関係にあるからこそ見られる姿ではないでしょうか。
脳出血で倒れた母親は一命をとりとめ、その後後遺症もほとんどないほどまでに奇跡的に回復しました。一見倒れる前と変わり映えしませんが、集中力が続かない、疲れやすいなどの症状に悩まされています。薬も服用しているので車の運転をあきらめました。なので、買い物に運転するのは父の役目です。買い物だけでなく、皿洗いや家事の大部分で父が母を手伝う。母は運動も兼ね、食事の支度や洗濯など日常の雑事をふたりで分担しながらやっています。
両親は来年金婚式(50周年)を迎えます。財力や世の中に与える影響力はビルゲイツ夫妻には到底及びませんが、27年で結婚生活を終わらせた夫妻にこれだけは勝ることができました。
持続可能な夫婦関係をつくっていくために何が大切なのか簡単な答えは無いと思います。
私が直感的に感じているのは、いろんな時間や経験、喜びや苦しみを共有したいと願う気持ちを持つことです。共有する出来事が多くて共感することが多ければ自然と会話もはずみ、一緒にいたいという気持ちになります。
あとこれは家の中に飾ってある額に入れられた言葉に書かれていることですが、いろんなことをやってあげたいと思う気持ちとやってもらいたいと思う気持ちを持つことではないかと思います。やってもらいたいことばかりを主張すれば、相手にはただの小間使いにしか扱われていないと思われます。反対に、自分で出来ることはできるだけ自分でやった上で、相手にやってあげたいことを増やすようにします。例えば、お茶を入れてと頼む代わりに、自分で入れて相手にもお茶を入れてあげようかと言ってあげたらどうでしょうか。相手にも気遣いが伝わって感謝され、いつか自分が困ってるときに助けてもらえたり、思いがけなく何かをしてもらえたりすることがあると思います。