侮辱を受けたら本人に直接言い返すのがよい

同僚や上司、取引先や社外の人があなたに話をしているとき、会話の冒頭から怒りモードだったり、会話の途中で急にキレだしたりすることがあります。もし、その直前にあなたが侮辱的なことを言ったり、失礼な態度をとったりしたのであれば、相手がそれを指摘ているはずですから、そのときは自分にも非があるようなので耳を傾けるべきです。ここでは突然理不尽な非難や横柄な態度をとられたときにどうするかということについて触れます。

先日、近所を担当していてウチにもよく来る、とある業者の男を思い切り叱り飛ばしました。話の途中で急にキレてタメ口でしゃべりだす男で、4度目にして私も遂に堪忍袋の緒が切れました。

最初に文句を言われたとき私は「申し訳なかったです」と言いました。それまでですます調で話していたのが急にタメ口で批判を始めたので驚きましたが、こちらも迷惑をかけている部分はあったから素直に謝りました。しかし、立ち去った後に違和感が残りました。その後、何度か来て2度目にキレたときには、さすがに不愉快に思いましたがそれでも我慢しました。次に同じようなことがあったら絶対に注意してやろうと考えていました。

2度あることは3度あると言いますが、ほどなくしてまたキレました。この頃には、この男の訪問を受けるたびに緊張感が走り、何を言われるかと心構えをしなければならない自分が嫌でたまりませんでした。こちらはあくまでですます調で話し、失礼なことを言わないように言動に十分気を付けていました。それでも、こんな短い期間に3度も起きたということは、やはりキレやすい性格なのだと確信しました。こっちが客なのにまるで上から目線な態度で我慢がならず「すぐにキレるの止めてくれませんか」と言ってやりました。バツが悪かったのだろうか、それとも聞かないフリか、黙って立ち去りました。

そして4度目。いつものようにこんにちはと言って入ってきました。普段のしゃべり方がまるでムリに感情を抑えようとしているか、蚊の鳴くような小声で違和感があります。そして、間もなく「チッ、だからそうじゃなくてさぁ」と急に太い声で声を荒げたのです。私は、なぜ急にキレられなければならないかを責め、今度やったらお宅の会社に報告すると警告しました。「今後気を付けます」とその男は言い、多少溜飲が下がる思いがしました。

ここまで来て出た結論は、侮辱を受けたらできるだけ我慢を溜めないで本人に不愉快であることを告げることが一番スッキリするということです。それが難しいのは分かります。私もなかなか最初は言えませんでした。

日本人はとかく角を立てないで穏便に済ませたがるので我慢してしまいがちです。でも、我慢すればストレスとなり、いつかそれが爆発して悲劇が起きる可能性もあります。あるいは、本人に直接告げず、上司など第三者に相談して改善を模索することもあります。しかし、第三者に悩みを打ち明けること自体気が進まないこともあります。言ってみたところで「そんなことで悩まないように」なんて逆に言われたら、やはり言わなきゃよかったということになります。あるいは、酒席で愚痴をこぼしたりすることもありますが、結局状況の改善にはつながりません。

侮辱を受けたら一番の解決法は、本人に直接伝えて反省させることです。時間がかかってもいいから、きちんと伝えられるようになるプロセスが重要です。理不尽なことを突然言われたら最初はショックを受け何も言い返せないでしょう。悔しさはあるけど我慢している期間もあるでしょう。

いずれ我慢している自分から次のステップに進みたいと思うようになります。問題を解決したいという前向きな気持ちが芽生えてくるのです。言いづらい相手もいるでしょう。毎日顔を合わせなければならない人は余計やりづらいものです。でも、あなたが一言も侮辱的なことを言っていない、しかも普通にですます調で言葉に気を付けて話しているとすれば、どうしてタメ口で罵詈雑言を浴びせられたり、横柄な態度を取られなければならないのでしょうか。そういう場合は、「どうして私がそんなに怒られなければならないんですか?」とひと言で十分です。相手を非難するわけでもなく、抗議のための極めて低姿勢な言い方です。

あなたから意外な抗議を受けることで、きっと相手は面食らうでしょうし、こいつは気を付けないといろいろと言われてしまうなという印象を与え、今後の抑止力につながる効果も期待できます。

また、きちんと言いたいことが言えた満足感は格別です。とくに抗議したり、苦言を呈することは苦手な人が多いでしょう。初めて言い返したときはつい感情的になってしまい、声も震えて格好悪いものでしたが、不思議なもので2度3度繰り返していけば、冷静に言いたいことが言えるようになり、その冷静な態度がいっそう効果的に響くものです。

きちんと言い返す(抗議する)ことで理不尽さを失くし、公平な扱いを追求しようとすることは日常のストレスを軽減させるために大切だと思います。我慢に我慢を重ねても精神的によいことはちっともありません。少しでも言われたら、抗議を次回に持ち越さず、その場できちんと言い返すことが重要です。ただ、くれぐれも非難するのは相手の暴言や態度であって、人格を攻撃するようなことがあってはなりません。

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