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横浜開港祭 花火大会出逢い

T子は娘と,数年前から定期的に訪れる横浜。6年程前に娘の希望で横浜へ始めて訪れた。その後は,二人で思い立つと横浜へ「ふら~!」と出掛ける。手軽に出掛けられる異国情緒溢れる町,横浜。何度も訪れているけど飽きることは無い。ゆっくり散策すると,1日で全てを歩く事は困難だ。何しろT子達はバスには乗らずに殆んど横浜を歩いている。横浜と言っても桜木町下車して,まず目的地はランチをする為に訪れるホテルまではタクシーに乗るのは,ランチ後のホテルから散策するために,足元を万全にするため。散策のコースはその時のT子達の気分次第でランチの時に決める。ひとつのコースは,ホテルを出て山下公園に赤レンガ倉庫そして,みなとみらい周辺を散策する。別のコースはホテルから元町までへの散策をやり,その後は山下公園から赤レンガ倉庫,そして外せないみなとみらいエリアだ。何度も訪れているのにT子の娘は必ず,「大観覧車」を写す。大観覧車に表示されている時計の時刻や,大観覧車の点滅するカラーや空の色。その都度違っていて,楽しめるからだそうだ。どの様なコースの散策の日でも,みなとみらいで締めくくる。桜木町の駅もすぐ目の前にあり便利だ。でも,ホテルど取ったランチの後に歩き通しでいると,流石に足はパンパンになって来てとても辛くなる。その時には,もうひとつT子達お気に入りホテルで,ブレイクタイムを楽しむ。このホテルはteaはポットにカップ3杯分程入っているのでお得。茶葉はそのままで,お湯を注いで貰うだけはサービスでやって貰える。2017年の6月3日は土曜日でT子は娘は横浜を訪れ,いつも通りの散策を楽しんだ。この日は風も無い穏やかな日なので,大桟橋まで足を向けた。かなり前に1度,T子の希望で大桟橋へ出掛けた。でも,とても風の強い日で展望デッキの先端までは歩く事は困難であった。なだらかでは有るけど,展望デッキは段差や登り下り有り,また歩く足元は殆んど床になっているので,滑りやすい。強い風にあおられてT子の身体は,左へ右へと揺れる。その為倒れそうになる度に僅かに有る手摺を掴む。展望への途中に有るデッキには手摺は有るので掴む事は出来る。展望の最先へ辿り着くには,手摺の無いデッキを歩かなければ,最先には辿り着け無い。T子は自分の足元のおぼつかなさを感じていた。「今日は此所まで!」と娘へ声を掛けて地上に降りた。地上もかなりの強い風は吹いている。「フゥ~!」っ溜め息を洩らしたT子だった。この日の二人はコースに大桟橋を入れた。今日はとても穏やかで風も無く大桟橋の最先へ辿り着けるだろう。」想いは叶って最先に立って,遥かなる海を眺められた。散策も済むとかなり足元に疲れを感じたT子は娘へ,「帰宅する前にブレイクタイムやろう!」二人のお気に入りのもうひとつのホテルのカフェでブレイクタイムを過ごした。ここのteaはカップ3杯分程の入ったポットを,テーブルに出してくれる。茶葉はそのままで,お湯の継ぎ足しをサービスしてくれるのでお得である。このサービスも二人のお気に入りのひとつだ。そして何よりカフェの目の前に拡がるのは大海原だ。カフェの部分は少し前に突き出しているので,まるで海の上にカフェ有るようにさえ見える。非現実的な空間を味わえる楽しくも不思議な場所だ。ゆっくりブレイクタイムを過ごした二人は「さぁ~!そろそろ現実の生活へ戻る時間!」ホテルをあとにする二人はこれからやっ来る現実の生活へ想い切り替えていた。桜木町駅で電車に乗れば一気に現実の社会だ。改札駅周辺にはたくさんの浴衣姿で溢れている。「これからこの辺りで何か有るのかね!何だと思う?」「分から無い。誰かに聞いてみれば?」娘は自分では聞けない為、大抵この様な感じでT子に言う。呑気な顔をしてただ立っているだけだ。暫くは周りを眺めている。更に浴衣姿の人達で溢れて来る。T子は意を決して1人の方へ訊ねてみると,「これから花火大会あるんです」T子と娘の,改札口の入口手前の出来事だ。チケットは既に購入した後の事だ。時計の針は5:30を指している。花火大会開始は7:15だという話,だいぶ時間は有るので,「来年この花火大会を目的に来る?何処かで時間を潰して,今日観て帰る?どうする??」と,T子は娘へ訊ねる。娘は少し考えている様だ。T子も暫く思案にくれていた。その間も後から後から浴衣姿の人達は増えている。「遅くなると怒られるから…。遅くなる事は話していないでしょっ!いつも通りに帰宅すると思っている。やはり来年にする?今日はこのまま帰ろうか?!」T子の話を突き返すかの様に娘は,「エッ?!気にしない気にしない!遅くなったもん勝ち~!!」と娘はあっけらかん。こうして二人はこのまま花火を観て帰る事になった。「ネ~!どうせ見るのであれば絶好のポジションで観たい!」二人の意見は一致して,30分程掛け絶好のポジションを見つけた。その場所とは駅に来る前に,二人でブレイクタイムを過ごしたホテルの奥まった所に有る。広場の様な場所で何かのイベント等も開催するのでは?と思われるエリアになっている。T子達その場に着いた時は,開始までまだ1時間も有る。座る場所は無く立っていなければいけない。8時まで花火大会は行われると言う。お腹のすく為の準備をやりたいのは山々,でも…此所を離れるわけにはいかない。思いの外,良い場所に落ち着いていたから,別の場所は考えられない。「待ち時間をどう過ごそうか?」でも,な~んにも無くて有るのはせこ花火大会の為の少しの屋台。既に売り切れているお店ばかりで有った。絶好なポジションを見つけてただ立って今か今かとやって来るその時を待っている。目に映るものと言えば「海!」それに浮かぶ遊覧船,後ろの背中に聳え立つのは少し前にT子達のブレイクタイムを過ごしたホテルだった。二人の周りには様々な観客さん達でいっはいになっている。彼等もこの待ち時間を,楽しんでいるかの様に見える。いろいろ話し声も聞こえて来る。その度にT子は思った。「みんないろいろなドラマ有るのね~!『花火大会の待ち合わせ時間に遅れた彼氏と,喧嘩する二人。』周りに人様のいる事などお構い無なしだ。『前からの予定を入れていた花火大会なのに,数日前から喧嘩中の二人だった。でも,今日はこうして一緒に来る事できて,喜ぶ二人だね!』折角の花火大会だもの,来れて良かったね!男子3人で来ているグループは『オイ!ここに登ってみ!』と言い,周りの邪魔になっているのも気にせずに,塀を反対側へ跨いだりよじ登ったり…。『きみ達ね~!』と言いたくなる想いをT子は抑えた。また,大声で話しているこの男子3人グループ。中学生を思わせる風格だった彼氏は反抗期の最中で,親御さんもきっと手をやいているだろう,難しい年頃だ。幼い子供達の手を引いた親御さん達もたくさんいる。『何をやっているの―!駄目だと言っているでしょっ!!その約束で此所に連れて来てあげたでしょ!良い子じゃないと,家に帰ります!』と大声で叫んでいる親御さん。この親御さんも,周りの目線など全く気にせずに叱っていた。楽しい場所なのに大声で叱られる,子供達の想いはどうだろう?もし注意をするので有っても,少し叱り方,配慮されたら良いのに…。子供達も楽しい想いは失せて,楽しい花火大会として心に刻まれないかもしれない。『花火大会の前にたくさん人のいるところで,叱られた!みんなのいない所で叱って!恥ずかしいよ!』と,心に深く刻まれた痛みを,感じているかもしれない。叱られていた子供達どうだった?別の方に目を向けてると,熟年御夫妻。何も会話をやらないで御互いに大海原に視線を向けている。その視線の先にはこの後,打ち上げられる花火の打ち上げ場所で有る。人間観察をするわけではないけれど,様々なドラマはそこにあると強く感じさせられたT子。漸く花火大会の開始時間まで秒読みになって来ると,周りは静まり返り何となく緊張感走る。この花火大会のうりのひとつは,『海上花火』海上から打ち上げる花火は,きっと幻想的だろう。「初めまして」のT子には,「ワクワク」「ドキドキ」丁度その時,「ヒュー!ヒュル~!ヒュル~!バーン!」後から知った事「この一発目の花火」は花火大会の幕開けを意味していた。周りからの歓声っともに花火大会は開始された。「パーン!パチパチパチ!パーンパーン!バーン!バーン!ヒュルヒュール~!」夜空に大輪の花を咲かせると,いたる所で一斉にざわめきや歓声の嵐だ!「凄~い!ワァ~!…」T子や隣にいる娘はと言えば,あまりにも凄い迫力に言葉も出ない。口は空けたままで夜空を仰いだり,撮影したり大忙しく慌てている。様々な色彩やデザインや大きさと後から後から,夜空に打ち上げられる大輪の花達は,私達の目を耳を楽しませてくれる。海上からの打ち上げ花火は,まるで海底から飛び出して来るかの様に映る。海上から打ち上げられる花火は,水面上にも映りなんとも言葉に表せない程,風情の有るひとつの画になっている。今までも,幾つかの花火大会は観たことあるけれど,ここまで迫力の有る花火は,この横浜開港祭の花火大会だ。T子は過去の花火大会の話を聞いた日の事を思い出していた。いつの頃か,周りの方々は口々に話していた。「横浜の花火大会は1度観る価値たあるわよ!凄い迫力。たくさんの人達で凄い賑わいの有る花火大会。横浜では,誰でも知る有名な花火大会。海から打ち上げる花火は素晴らしい!人混みで大変だけど,機会有ったら観てみて!」いつ頃に何処で聞いたか,おぼつかないけれど確かに聞いている。ちゃんと耳の奥に聞いた記憶は残っている。そして遂に今,T子の目の前で打ち上げられている花火は,紛れもなく「横浜の花火大会」夜空に輝くのは,赤・蒼・緑・黄水色・黄緑…だ。日本は素晴らしい。いつの時代か分から無いけれど「花火」を生み出されたのは「日本の誇り」筒の中に火薬を詰め込むだけで,あの様になるのだろう。そもそも,なぜ地上に置いてある筒に火を放つと,空へ打ち上げられるのだろう?花火は…なぜ?なぜ?は尽きる事は無さそうだ。ところで男子3人グループはどうしたか,と気になったT子は花火大会開始前に騒いでいた場所へ目を向けて見ると,「…?いない!」花火の打ち上げと伴に,大声での話し声は聞かなくなっていた。「場所を変えたの?」見渡すと,先程のもう少しだけ海の方へ場所を変わっていた。「静かなわけだ!」また,その目線はそのまま夜空を仰いだその時,数個の大輪の花の競演を繰り広げていた。「なんと素晴らしい!大輪の花は重なり合い,夜空というキャンパスに綺麗な画を描き,そしてその描かれた画は,ほんの一瞬で跡形も無くなる。幾つも重なり合う花達,クライマックスになるなだろう。「バーン!パーン!パチパチパチ!」低い位置で花は咲いている様だ。残念な事にT子達の位置では,人そしてまた人。低い位置の花の事を「仕掛け花火」と一般的には呼ぶ。全て無事に済んで,桜木町駅までをゆっくり歩く。人混みの中では周りのスピードに合わせて歩かなければ。何時もの何倍もの時間を掛け桜木町駅に着いた。切符販売機に群がる人混み。「ラッキー!」T子と娘は各々にくちづさんでいた。電車に乗ると疲れを感じ,いつの間に「ウトウト」居眠りをやっていた様。幾つもの駅を既に通過していたから。たった今観て来た花火大会の事でも夢に出て来たかと思った。出ては来なかった。隣に座る娘は撮影されている花火を眺めていた。「だいぶ寝ていた!良く寝れるね!いつもは寝たことなんて殆んど無いのに…。」「寝るつもりは無かったんだけど,いつの間に寝たのかな?さぁ~,言い訳を考えないと…」「そのまま言うだけでしょっ!」娘は根性据わっているのは羨ましい。若しくは開き直り?!夢心地は此処まで。現実社会に逆戻りだ。なんとか今日中には家に着けそうだ。電車の中で,「来年は打ち上げ花火を観ていた広場の一角に有るホテルの部屋から,花火を観る?ホテルの部屋を予約入れて。」「でも,あそこのホテルは高いからね~!」「年に1度じゃない?そのくらい自分への御褒美あげても良いでしょっ!」とT子は娘へ。「まァ~ね~!じゃ,部屋の予約は宜しく」また私にさせる気だ。娘は自らは殆んどやらず,のって来るだけだ。来年は更に素敵な花火大会を漫喫出来るだろう。知名度の高い有名なホテルの「一室から眺める大輪の花達」に期待「思い立ったら吉日」成果は今夜の「横浜開港祭花火大会」日本の良い諺だ。


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