「こんにちは」 お友達のカタツムリ
朝,登校するには降っていなかった雨。登校前に怪しい空模様だったのでT子は,お気に入り傘を手に持った。「傘の出番有るのかな?」コンパクトサイズの傘を持っていないT子は,ジャンプ傘だ。折り畳めない傘🌂は,雨の降らない時持ち歩くのには,少し脇役になる。でも,土砂降りの日には主役になれるんだ!午前の授業も済んで,楽しい給食の時間になった。お昼前に廊下からは,扉の開いたこの教室に,料理のなんとも言えない良いにおい,私のお腹へ呼び掛ける。「ハイ!今日の『献献立……』ですよ!もう暫くの辛抱です!先生のお話をちゃんと聞いて下さいね!教室に届けますよ~!」そして,さぁ~!待ちに待った給食の時間やって来た。国語の漢字の書き取りと同じ位に好きな時間だ。本日の献立に揚げパンある。私はこの揚げパン大好きでだ。サイズにさほど差はないけれど,お砂糖の付き具合に差の出ているパン。給食係にいる仲の良いお友達に,「お砂糖のたくさん付いているのを頂戴ね!」と,T子はズルイ事を言った。周りのクラスメートも聞いているけど,ニヤニヤ笑ったり,「僕も!」と,言うクラスメート。「な~んだ。私だけじゃないんだ!」二人でニタニタと笑った。筑前煮…幾つもの野菜の共演で,これまた好きな料理だ。今日の給食はラッキー!好きな料理のオンパレードだ!幸せそうにT子は益々笑顔になる。先生は,「筑前煮はお袋の味ね!」と言った。「お袋の味?って何だろう?」と,T子は呟いた。他には,リンゴ…エッ!今日はデザートもついている。なんてラッキーなんだろう!!デザートはあまりついて来ないから。デザートついて来る日は少し得を感じる。その分,給食を食べる時間はいつもと比べ遅くなってしまう。オレンジジュース…「今日は良かった!」一瞬だけ微笑んだ。牛乳をあまり好きではないT子は,牛乳を飲む時だけ笑顔では無い。一番後に飲む事に決めている。そうでないと,折角の美味しい料理は,牛乳の味で別の味に変わってしまう。楽しい給食は「あっ!」という間に済み,昼休みも過ぎると午後の授業になる。給食でお腹をいっぱいになったT子は,『ウトウト』なんか瞼重い!暫くはこうした状況との戦いの中で,先生の話を聞いていた。先生の声も子守唄に聞こえて来る。ちゃんと先生の話を聞かなければいけない。お昼前に『ちゃんと先生のお話聞いてね!給食を教室に届けるから!』と,聞いた。「先生の話,先生の話!」やっと午後の授業も残り半分になった頃,何気なく窓の外を見ると,外は土砂降りの世界だ。T子は外を眺めて,「傘の出番やって来た!今日も逢えれば良いなぁ~!」掃除の当番ではないT子は,帰宅の準備を始めた。ソワソワそして,ワクワクは笑顔から滲み出てる。お友達は,「なんか,凄く楽しそう!何か嬉しい事でも有るの?ね~教えて~!」と聞かれたT子,「そうなの,これから楽しい事…有るんだぁ~。でも,私にもまだあまり分からないんだ,明日ね~!」そう言い,教室を飛び出したT子の足取りは軽く,『ルンルン』状態で鼻歌も出て,誰の目から見ても楽しそうでありまた幸せそうに見えた。雨の降る日に「……」に,逢える場所に着いたT子は,ニコニコ笑顔をいっぱい溢れさせ,辺りをキョロキョロ始めた。何かを探している様だ。前へ歩き立ち止まると,キョロキョロと探し物。暫くするとT子は,「いた!!」あまりに大きい声であったので,周りの人達から,「何事だ!」と,一斉に注目されたので,驚きを隠せなかった。そんなT子は雨の訪問者から目を離さない。「こんにちは!今日も逢えたね!私は今ね,学校から家に帰宅するところなの。あのね~今日の給食は大好きな揚げパン,お友達に頼んで,『お砂糖のいっぱいついたのを貰っちゃった!美味しかった。あとね!デザートもついて来てリンゴだった。サクサクでとっても美味しかったよ!牛乳さあまり好きじゃないんだけど,今日は,オレンジジュースだったからラッキーだった。だから今の私は幸せ気分なの。カタツムリくんは,なぜ雨の日だけお外に出て来るの?お天気の日は何処にいるの?いつも不思議に思うんだけど,カタツムリくん歩いたうしろ,何か光っているよね~!仲間に教える標なのかなぁ~!」「お天気の日は…にいるんだ!教えると仲間に叱られるから,教えてあげられない,ゴメン!ボクの歩いているうしろ光るものね~,ボクには分からないんだ。だってさボクは子供だから,勉強はまだやっていないんだ,おねえちゃん!もう少しすると勉強始まるんだ。そうすればボクきっと分かると思うんだ!おねえちゃんは勉強やっている?」「やってる!今ね,勉強やって来たの。学校というところでね。学校は給食と言って,お昼ご飯を食べるだけじゃないんだ。いろいろな事を先生と呼ばれる偉い人に教わるんだ!歌も!カタツムリくんの歌も有って,教えて貰った!歌うから聞いて!『🎼でんでんムシムシカタツムリ,おまえの頭はどこに有る??角出せ,槍出せ頭出せ…』どうお?」「上手い上手い!良く出来た歌だ!本当ボクの頭はどこに有るんだろ!ね~見てくれる?」「う~ん,そうだね~。」T子はそう言うと,カタツムリくんをジット見ていた。「角出ているよね~!!角と角の間を頭というかな?私にはこれしか分からない。カタツムリくんはいつでも何処でも寝れる?」「ウン!そうなんだ。おねえちゃんは?」「私はお家で寝るの。カタツムリくんはお家持って歩いているものね。便利ね!」そしてこの時,🎼~。T子の耳へ町の中流れる音楽を聞いた。「カタツムリくん,私達たくさんお喋り出来たね。でも,あの音流れたらすぐ帰宅やらないといけない。私はまだそういった子供なんだ。学校の先生にも言われているの。『子供は遅くまで外にいると,怖い目に遭ったりしないために…,お家の人達も心配するでしょっ』って,午後の授業済んだ後に,先生はみんなに言うのよね~!あっ!大変いけない!また,お喋りやっちゃった。『「家だ~家だ~!』」と叫び,T子は走り出した。家まで走り続けて家の前に来ると,「今度はいつ雨になるの?カタツムリくんとまたお喋りやろ~っと。今度は帰宅の準備済んだら走るんだぁ~。」,