クロスメディア施策の検証方法に思う事
お客様とのコミュニケーション方法が確立されて長いことたっている企業で陥りがちなのが、「新規顧客」の獲得方法がわからない。という問題ではないでしょうか。
メルマガ、ダイレクトメール、会報紙...etc
言葉悪く言えば、マーケティングなど小難しいことを考えなくても、「載せれば売れる」チャネルがある状態が生み出す弊害です。
お客様にどんな気持ちになってもらいたいか?よりも、強いチャネルの紙面をとるためにいかに立ち振る舞うかが重視されると、組織の中で、“今”売り上げを立てられる事がなにより正義になります。
先代が築いた強固なマーケティング基盤が、その後に続く社員のマーケティング能力を育む機会を奪ってしまって、月日が流れた状態です。
そんな中、顧客基盤が縮小傾向にあることがわかったとき、資本にものを言わせて、流行にあった新たなチャネルを組み合わせた、顧客基盤の拡大と売上拡大を一気にやっちゃおう!という施策が始まります。
TV番組やCMでの露出とWEBサイトでのコンバージョン
「一度にたくさんの人に見てもらえて、訴求力ありそうなのはやっぱりTVだよね」という話になり、TV→WEB→購買という流れを想定して関係者と話を詰めていきます。
「商品番号をもっと前面にださないと!」
「WEBサイトにランディングしたら紹介した商品のバナーをおっきくだして、目立たせなきゃ!」
結果、「買ってくれる人がけっこう増えて、なんだかよかったね。」で終わってしまいます。
『コンバージョン=商品の購買』という式が出来上がってしまっているので、TV番組やCMで接触したうち、お客様に成り得るのは「買ってくれた人」に限定されてしまうのです。
本当は、今回は都合がつかなくて買えなかったけど、「あ、いいな」と思ってくれた人がいるかもしれないのに。
現状のチャネルとその特性を確認してみる
マスメディアだから買ってくれる人以外も大事にしゃなきゃいけない。といった、単純な話ではありません。
それまでの自社のコミュニケーションの在り方から、各チャネルがどんな風にお客様に使われているのかを知る必要があると思っています。
たとえば、情報拡充を進めているWEBサイトと、長らく親しまれてきた会報紙があったとします。
A社の場合
WEBサイトを見て、興味をそそられて → 会報紙を請求して商品理解
B社の場合
会報紙を見て、買いたいもの決めた上 → WEBサイトで指名検索して即購買
といった具合に、会社と顧客がそれまでどんな風にコミュニケーションしてきたかによって、チャネル毎の役割は異なってくると思うのです。
冒頭に述べたような例であれば、既存の会報紙は商品への興味関心の獲得から購買の意思決定までを担っていたのかもしれません。
既存のチャネルが古くなって使えなくなったのではなく、必要なコミュニケーションの一部に特化していたとしたら
TV番組やCMを商品の認知のためのものと定義し、
コンバージョンは興味関心を育ててもらう状態をつくることと定義出来たのです。KPIは会報誌の請求件数などになるでしょう。
どこから手をうっていくのか
コミュニケーション全体を俯瞰して、各チャネルの役割と繋がりがわからなくなってしまっている。
でも、とにかく販路拡大しなければいけない時、認知拡大につながる派手な施策に目がいきがちです。
結果、購買に最も近い、商品ページのメンテナンスがおろそかになっていたり、もともと強かったチャネルの強みを伸ばす前後のコミュニケショーンについて、十分に検討されていなかったりします。
一覧性の高い紙のカタログを見た後、WEBサイトの商品ページで詳しく知りたいと思ったのに情報が不足している。
紙のカタログでたくさんの商品があることがわかったから検索性の高いWEBサイトを訪問したけれど、検索軸が不足している。
などなど....
まずは「足元を固めること」、次に「自社のコミュニケーションの強みを伸ばす方法を考えること」をやっていければいいのかなと思いました。