外と繋がり変化を楽しむ暮らし
花鳥風月を愛でては季節の移ろいを楽しむ日本人。
外界とゆるくつながりながら、いつでもそれを楽しむ工夫。
そういったものが素敵だなと、また、最近改めて求められているのかなと感じたのでとりとめもなく書いてみました。
いわゆる伝統とか日本家屋にみる外との繋がり
伝統行事と言われるとどんなイメージをしますか?
「面倒なもの」というのが正直なところだと思います。
少なくとも、私はそうです。
大切なものだとは思いつつも、田舎から東京に出てきた自分にとって、いわゆる「行事」は、関わるいろいろな人の様子を伺い、様々な都合を調整して、終わった頃には心身ともに疲れる、とても億劫なものです。
調整自体はそこまで苦ではないのですが、どれくらいの強さで繋がるべきなのかがわからないことが、とても心を疲れさせる。
でも、もともと行事が億劫だったのではなく、小さなころは、むしろ好きでした。
お盆の時期には法要があって親戚一同が集まったり、中秋の名月には縁側や庭で家族で団欒したり、いつもと違う雰囲気がして、ワクワクしたものでした。
それなりの広さの庭や縁側があったことは、東京に住むいまとなってはとても贅沢なことだったなと思うのですが、田舎ではよく見られる光景でした。
庭や縁側は、間違いなく自宅なのですが、外でもあります。
リラックスしながらも、だれかが訪ねてきても、自然に受け入れられるような状態。ぼーっと外を見ながら1日や季節の変化を眺めていました。
客間や床の間は、家の中にあって、日常とは区別された誰かを迎え入れるための部屋。庭や縁側とは違って、明確に外を意識させられる、少し緊張する空間でした。
いざ、人が集まると、そこはとても特別で楽しい空間でした。緊張と興奮と平穏がごちゃまぜになるような感覚を持っていたことを覚えています。
振り返ると、縁側や庭のような「外と内がゆるやかに溶け合う状態」、普段の客間のような「外を認識させられるけれど、心が開かれていない状態」、そして、行事の最中の「外に完全に心が開かれている状態」と、家の中にはそれぞれ異なる「外」を意識する状態があったように思います。
その中で、「外を認識させらるけれど、心が開かれていない状態」はもっともどっちつかずで緊張して疲れてしまう状態だったのです。
東京に住んで難儀していること
就職と共に上京してきて、10年ほど。
東京での暮らしにも慣れて、都内にマンションを買ってから気づいた田舎との違いがあります。同時に、自分自身におきていた違いにもようやく気づきました。
東京と田舎の違いは、縁側や庭のような、外と内が緩やかに溶け合う環境が少ないこと。
たとえば、ベランダに出て外を眺めても、目に入るのはお向かいさんの家の窓。
うっかりすると、目があってしまいそうになるので、慌てて部屋に戻ってしまいます。
ぼーっと季節の移ろいを眺めることもできないと思って、一歩家の内から足を踏み出せば、日常の中に他人が多すぎて、圧倒されてしまう。そのひとつひとつに心を開くことは難しい。でも、すぐ近くに感じられるので、否が応でも外を認識させられる。
誰もいない客間にずっと身を置いているような、外を認識させられるけど心は開かれていないどっちつかずの状態がずっとつづく、そんな感じです。
だから完全に外を遮断するか、逆に心を開ききるかのどちらかに振れていないと疲れてしまう。大量の他人に対して常に心を開ききるのはとても難しいので、結果として、外との繋がりを減らしてしまう。
自分自身に起きていた違いは、あんなに好きだった外をぼーっと眺めることを避けるようになっていたことでした。とともに、外に心を開くことも減って、行事を楽しむ余裕も失っていた気がします。
逆に言えば、行事は外に目を向けさせて、日常との融合を楽しむ工夫なのではないでしょうか。実際、すっかり出不精になってしまった私も、お盆には家族や故郷の友人との繋がりを温めます。そうして外に心が開かれて、夏のセミの泣き声や空の高さを楽しむ余裕が生まれるのです。
シェアハウスに見た都心と田舎の暮らしの融合
ところで、最近よくシェアハウスに関する記事を目にするようになりました。その中でも、日本経済新聞の「他人や他の世帯との距離感が近い暮らし」としてシェアハウスを紹介する記事が目に止まりました。
私にとって、記事の中で紹介されている暮らしは、他人とのつながりと変化を楽しむ工夫がされている暮らしのように思えました。
ちょうど、田舎の縁側や庭にいるような状態を都心にいて手にすることができるようなイメージです。
自室に閉じこもって他を排除するでもなく、他人を常に押しつけられるのでもなく、自分と外がちょうどよく溶け合うような感じ。
健康的に自分のこころが外に開かれて、ちょうどいい自律を保てるような暮らし。
シェアハウスに関する記事をみて、そんな暮らしはきっと、季節や時間の移ろいも楽しめるんだろうなぁと、田舎暮らしへの懐古と都会的な新しい暮らしへの憧憬の両方が湧いてきました。
シェアハウスの仲間と中秋の名月を楽しむような暮らしは素敵だろうなぁ。
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