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ここ最近の日記

3月31日

両親の乗る車を追いながら、桜と海がいっぺんに見える山道を運転していた。
フェリー乗り場まで母も父も愛犬も一緒に、私を見送ってくれるらしい。車内は、おとといまで私の部屋に据えられていたものたちがぱんぱんに詰められている。

半年住んだ実家を出る。
道中、家族と離れる寂しさをやっと、すこしだけ覚えた。急に上京するのを許してくれたこと、急に仕事を辞めて帰ってきた娘を歓迎してくれたこと、急に他県へ移り住むのを応援してくれたこと。なんでも信じてくれて認めてくれる両親。どうしたら恩返しができるだろうか。

船が出るギリギリに祖父と祖母と叔父も見送りにやってきてくれた。フェリーの上から、家族に手を振った。みんな手を振りかえして。愛犬は芝生の匂いを嗅ぎ回っていた。みんな元気そうだ。ずうっと元気でいてほしい。

フェリーのなかで地元で過ごしたここ半年間のことを思い返していた。そしてこれからの日々のことを想像する。
ほんのりタバコの匂いがする船内で、後ろに座っている男の子たちの鼻歌を聞きながら。遠くの山を眺めながら。手首の内側、指3本分ほど下あたりの、船酔いに効くツボを押さえながら、いろんなことを考えていた。

21時
移住先に到着。これから同居する彼が引っ越し蕎麦とケーキと盾を用意して待ってくれていた。金曜の仕事終わりの夜なのに、あたたかい蕎麦を作って迎え入れてくれた。あたたかい。
今日とこれからの日々もきっとあたたかい。

引っ越し蕎麦の文化は東日本だけらしい。
わたしがそばそば!と言っていたので作ってくれた
ハイセンスな盾、おこげもいる


4月1日
エイプリルフールだということもすっかり忘れて荷解きをせっせと。
車にパンパンに積んだ荷物を同居人の協力と気合いで一斉に運び入れてしまった。

一息ついたら桜を見に出かける。
新しい土地で、新しい道を通って、新しいパン屋でパンを買って、新しい公園で桜を見た。新生活。
都会すぎず田舎すぎず、程よく整った街。こどもも犬もたくさんいる公園。もうすでにこの街のことも好きになっているかもしれない。これからここが知ってる、なじみある場所になっていくのかと、なんだか嘘みたいで、なんだかむず痒くなった。


4月2日
昼はカレー、夜はカレードリア。
同居人は昨日もカレーパンとびくドンのカレーハンバーグディッシュを食べているけど、私のカレー欲を抑えることはできない。

濃いデミ入りのルー、美味しかったのでおすすめです


4月3日
市役所とハロワをハシゴ。ニート特有の手続きの多さから、トータルで3時間くらい待ったけど時間が無限にあるニートなので全くもって問題ない。
お待たせして申し訳ございません、と何歳も年上の職員さんに頭を下げられてトンデモナイデス!を連呼した。
丁寧な職員さんたちのおかげで各種手続きを終えることができた。家のソファに横になって、ほっと一息つく。

まだ馴染みのない土地だけど、このソファはあったかいし、やっぱり絶対好きになりそうだ。
おかあさんとおばあちゃんに、この気持ちを手紙に綴ったらどうだろう。喜んでもらえるかな。
とか考えながら窓から入る日をぼーっと眺めた。



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