20190929 文章読解解答 (雑談の認識の違い)
それでは前回の記事の解答と解説を書きます。
1. (雑談の苦手な人は、)常に意味のある会話を求めている(から。)
2. ウ
3. 難解な知識や語彙を必要としない日常会話
4. (i) ウ
(ii) 不要なこと: 唯一の論理解
必要なこと: 会話の流れに乗るという一種のサーフィンのような技術
5. オ
それでは解説を見ていきましょう。
1. 典型的な問題提起に対する回答を探せば答えになる問題ですね。本文では問題部分の直後に、「私には~感じている」という主張語と呼ばれる表現が入っているので、答えの候補に成り得ます。しかし、このままでは抜き出せる内容が「共通点」というキーワードだけになってしまい、求められている解答の形にはなりません。そこで次の文章を見ると、「その最大の要素は」と指示語が入っています。もちろん、「その」が指す言葉は「共通点」と言えると思いますので、「共通点の最大の要素」=「常に意味のある会話を求めていること」となります。よってこれが答えです。このように典型的な解答パターンに指示語が入り込んでくるケースは非常に多いので、是非ともマスターしてください。
2. まあ、選択肢を絞るのに非常に困ったかもしれません…。 とりあえず、イは真っ先に除外ですね。これは大多数の人、つまり雑談が得意な人のことですから。次に除外されるのがエですね。選んでしまった人はたぶん、「会話の波に乗る」=「発言がうまくかみ合う」と解釈したのでしょうね。でも、この選択肢は一般の問題集だと、そのようなことは本文中に書かれていないと一蹴されるだけのものになってしまいます。なぜかというと、「会話の波に乗る」と触れている部分は傍線部からとても遠いところにあって、大きな話題のテーマが変わってしまっているから。つまり、本文中に書かれている内容でありながら、今問題にしているテーマとは違う内容なのです。だから、本文中に書かれていないハズレ選択肢になります。最後にアとウの二択の絞り込みですね。これは非常に弱りました…。本当にどちらも本文に書かれている内容だし、嘘偽りがない…。こんなときは、どちらのほうがより主張度や抽象度が高いかで判断するのです。本文中の該当箇所としては、
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彼らにとっての会話の意味とは、会話によって得られた知識が他の場面においても適用あるいは応用可能であることだからである。そのためには高度に体系化された知識や、それを理解、説明するためのハイレベルな語彙が欠かせない。
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とありますね。よく読むと、「ハイレベルな語彙」のほうは、「そのためには~」という1文の中に入り込んでいます。「その」が指している内容は、その直前の文のような会話をすることを表しています。ということは、「ハイレベルな語彙」という内容は所詮、直前の内容の付け足し、補足でしかありません。つまり、主張としては抽象度が1段落ちることになります。したがって、アがウよりも抽象度が低いので正解の選択肢から脱落します。よって、答えはウです。
3. 指示語飛ばしでもないのに、思ったより答えの位置が遠くにあって探しきれなかった人もいたことでしょう。この解答を導くために必要なのは、比較した構図を構築できるかどうかでした。問題となっている段落では、大多数の人(=雑談の得意な人)と雑談の苦手な人の思考の違いを比較した文章が書かれています。段落の途中で「ところが」という単語がありますが、ここで得意な人と苦手な人の内容が分かれます。聞かれている内容は、大多数の人のことでしたから、「ところが」の前から答えを探すことになります。こうして解答候補の範囲を絞り込むことができれば、あとは抜き出す字数をヒントに探し出すことができるはずです。
4. (i) 実際に悩みそうな事例を用意してみました。意味がないことの中の意味とはどのようなものなのでしょうか。本文によれば、
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細かく言えば、学術的な体系や他の場面での応用可能性がなくても、ただ自分以外の誰かと言葉を交わすという行為に楽しみがあるという視点に目を向けることである。そこに唯一の論理解というものは不要で、会話の流れに乗るという一種のサーフィンのような技術が必要になる。
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という文が補足的に書かれています。また、(3)の問の答えにもあるとおり、「難解な知識や語彙を必要としない日常会話」という部分に意識することで、雑談が苦手な人がその状態を克服できると指摘しています。
(ア) 後半の具体的な事実というのは、学術的に特定してしまう内容なのでNG
(イ) 映画の話ということで関連性があるように見えるが、背景知識というのは特定、体系化された知識なのでNG
(エ) 具体的な解決策を示してしまうと、「唯一の論理解」となってしまうのでNG
(オ) 数人のメンバーがいるところで、特定の人のみが知っている内容の提示は、難解な知識に相当するのでNG ※好きな者同士では難解な知識ではないが、それ以外の人にとっては難解な知識となるため。
(ウ)については、質問によって事柄を特定することなく話の展開が容易になっています。これは話の中身に高度な知識や体系も、話題の中に論理解(=一つの事柄を深く掘り下げたり、特定すること)も存在していません。
よって、答えはウです。
(ii) これはもう、(i)の内容とも被るので解説はほどほどでいいでしょう。本文中にも、必要、不要とありますから字数をヒントに探し当てられると思います。
5. ほとんど文章中に書かれているから正解に見えるという選択肢を用意しました。
今回の場合だと、真っ先に除外されるのはウです。確かに本文中で、相槌の方法について否定的な見解を述べてはいますが、全く効果がないとまでは言っていません。「会話の波を作り出すこと」という点においてのみ、できないという表現を使っているので、他の面で役に立っている可能性を否定し切れていません。よって、ウの選択肢は過剰論理(=言い過ぎ)ということになり、不適切です。
次に除外されるのは、アだと思います。確かに、雑談が成り立たない要素として、難解な語彙や知識は挙がっていますが、それさえ使わなければ成立するものでもありません。相手に対する共感力など、ほかの要素も複雑に絡み合っていて、数学でいうところの反例を示せるからです。したがって、この選択肢は他の可能性についての検討が十分になされていないので不適切です。
ここからは、全ての選択肢に間違いがないので消していくことが難しくなります。強いて言えばより正しいもの、抽象度の高いものを選べるかどうかになります。その観点で最も抽象度が低いのが、エです。エの選択肢の内容は、本文の第3段落中、イ、オの選択肢は第4段落中にあります。本文の構成としては、第3段落よりも第4段落のほうが、具体的な事例が少なく抽象度が高くなっています。よって、エの選択肢は抽象度が低いので、解答候補から脱落します。
最後に、イとオですね。段落的には同じところにあるので全体の抽象度は変わりません。が、イのほうは、「細かく言えば」という補足的文章の中に入り込んでいます。これは具体的な内容を指しますので、抽象度が下がります。対して、オの選択肢は、「雑談が苦手」という繰り返し使われている言葉があり、「言い換えることもできる」とはっきりと言い換えを断言しています。評論文においては、言い換え、断言、主張がポイントになりますので、十分に候補になります。
よって、答えはオとなります。
いかがでしたか。
このように、選択肢の問題については正解のものを探すのではなく、不正解となるものの根拠をしっかりと明確にしていくことが点数アップの近道になります。質問や感想があればぜひ、コメントをお寄せください。
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