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崩れゆく権威と混沌の狭間で──AI×コミュニティが切り拓く次の一手(DAOブームの表と裏)
ネット上ではやたらと「分散」「DAO」「トークン」といった言葉が飛び交い、テレビや大企業が信用を失いつつある場面も増えてきた。中央集権に頼る時代が終わりつつあるのは確かだが、だからといって“いきなり何でもかんでも分散させれば解決”というほど世の中は甘くない。むしろ、本当に稼ぎたいなら、混乱が渦巻く今のタイミングをどう活かすかが鍵になる。ここでは、権威の瓦解から分散型の動きまでを概観しながら、「AI+コミュニティ」というハイブリッド戦略に行き着くまでの道のりをざっくりまとめてみる。
◆1. 旧来のメディアや企業が揺らぐ理由
テレビ局などの大手メディアが一度つまずくと、スポンサー離れや視聴者の強烈な批判が止まらない。SNSでは「あの局は終わった」と断定されがちで、信用が一瞬にして崩れ去る。かつてのように“上から目線”で情報を押しつけられる時代ではなくなり、ちょっとでも対応を誤れば、ネット上で火がついてスポンサーさえ巻き込む。そこには、“大きな組織だから安心”という神話が崩れ去る瞬間が詰まっている。
一方、大手取引所なども同じように信用を損なう場面が増え、ユーザーの流れが分散型に向かう可能性が高まった。かといって、分散型なら何もかもバラ色かと言えば、そんなことはない。高速なブロックチェーンで大規模な取引が行われる一方、システムが停止するリスクや法整備の不備といった課題もくっついてまわる。
◆2. DAOブームの表と裏
「巨大な中央が要らない」という響きは魅力的だ。みんなで投票して運営し、トークンを発行してコミュニティ内で流通させる──それ自体は技術的にはすでに可能だし、手軽に導入できるツールも出そろっている。
ただし実際に運営するとなると、投票が形骸化したり、リーダー不在による停滞が起こったりしやすい。さらに“儲かりそうだから”という曖昧な目的でトークンを作っても、コミュニティとしての一体感がないまま、価格が上下に振り回されるだけで終わるケースも見受けられる。
そもそも法律の面でも、トークンが事実上の証券扱いにならないか、税制はどうなるか、といった問題が山積みだ。適当に見切り発車すれば後からトラブルが雪崩のように押し寄せる。要するに「DAOやトークンを立ち上げるのは簡単だけど、そのあと維持するのは地獄」という落とし穴に陥りやすい。
◆3. AIを活かして稼ぐ──まずはコンサルから
では、分散型の波に直接飛び込まないと時代に乗り遅れるか? 必ずしもそうではない。実は「AI×コンサルティング」がいま非常に可能性がある領域だ。大半の企業が大量のデータを持て余し、人材不足で分析できていない。そこにAIを使うことで“高速かつ正確な仮説出し”ができ、人間コンサルタントは最後の仕上げに集中する──この流れが定着しつつある。
かつては大掛かりな分析チームが必要だったプロセスが、AIツールでだいぶスリム化できる。クライアントのビジネスデータやマーケティング施策をサクッと解析し、その結果をわかりやすく提案すれば、それだけで差別化になる。1対1のコンサルを効率的に回せば案件数を増やしやすいし、さらに会員制コミュニティなどを組み合わせるとスケールもしやすい。
◆4. コミュニティ×AI=ハイブリッドがちょうどいい
当然、コミュニティ運営だけでも一筋縄ではいかない。でも、DAOのフル運用よりはよほどハードルが低いし、中央と分散の“いいとこ取り”ができる。ディスカッションやノウハウ共有を人間同士でやりつつ、AIが自動で質問に答えたり、数値分析をしてくれたりする仕組みを導入すれば、効率と学習効果を同時に高められるわけだ。
将来的に「メンバーが増えてきたからガバナンスを分散化しよう」という話が出てから、あらためてDAOやトークンを検討すればいい。その時には既にコミュニティ自体が活性化しているから、十分に意義を見いだせる。最初から仕組みだけDAO風にしても、“実働する人”や“協力する空気”がなければ意味を成さない。
◆5. 結局、混沌が生む余白が最大の武器
中央の権威が崩れると不安は増す。SNSや暗号資産はフェイクや詐欺も多い。しかし、こうした雑多なカオスは、新規参入の余地が大きいことと表裏一体。テレビ局が落ち込むなら、代わりにネットで情報を発信し、有料コミュニティを作れるチャンスがある。仮想通貨界隈が怪しい案件だらけなら、逆に信頼できるコンサルやセキュリティ対策を提供して差別化できるかもしれない。
要は「みんなが混乱しているタイミングが、一番の仕込みどき」。そこにAIを持ち込み、コンサルやコミュニティ運営を上手くまわすことで、一気に頭角を現す可能性は十分ある。トークンやDAOを完全に否定するわけではないが、本当に必要になってからでも遅くはない。崩れゆく巨大システムを眺めながら、自分の足場を固めるほうが賢明だろう。
まとめ
結局のところ、激動の時代に「何をすればベストか」という決定版など誰も持っていない。中央集権が終わるかどうかはともかく、現状で収益を得やすい方法としてはAIをフル活用したコンサルやコミュニティ構築が見込みがある。
仮に将来、コミュニティが大きく育って分散ガバナンスが本格的に機能するなら、そのときDAOやトークン化を考えればいい。逆に今すぐやりたいなら、法規制や運営の難しさも考慮した上で慎重に設計すべきだ。
何にせよ、混沌そのものが“利益”を運んでくるのは歴史の常だ。中央に依存しなくてもビジネスが成り立つ形を先に作ってしまえば、たとえテレビ局が崩れようが別の巨頭が倒れようが、一向に困らない。カオスはリスクであり、同時に打開策の宝庫でもあるのだから。