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スタートアップ失敗で自己破産のケースから考える、ビジネスを起こす形

スタートアップという言葉に心を躍らせる人は多い。斬新なアイデアを掲げ、投資家から資金を集め、一気に事業を拡大していく。そんなドラマチックな展開に憧れる一方で、実際には個人保証付きの融資を抱え込み、最終的に自己破産にまで追い込まれるケースも少なくない。アイデアが先行して資金が燃え尽き、開発チームも一斉離脱。途方に暮れた代表が数千万円の借金を背負い、一人ぼっちになってしまう――そうした事例は表に出づらいが、決して稀ではないらしい。

しかし、このような失敗談が「起業は危険」とイコールになるわけでもない。見方を変えれば、巨大な調達や上場を目指す“スタートアップ型”と、個人や数名で堅実に利益を積み上げる“スモールビジネス型”では、求められる資質もリスクの大きさもまるで違う。大規模に攻めるなら当然投下資本も莫大で、成功すればリターンは派手だが、失敗すれば負担も重い。一方、最初からPC一台で月商100万~300万を狙うような小回り重視の手法なら、爆発的な成長こそ難しいかもしれないが、堅実に生活コストをまかなうには十分だ。

今は終身雇用の仕組みが崩れ、企業に勤めていても先行きが読めない時代。年収が上がるどころか横ばいか減少傾向になり、物価ばかりが上昇していく。そんな状況下では、自分自身でキャッシュを生み出す仕組みを持つことが“自衛”としても重要になってくる。しかもAIツールの発展によって、以前なら人手を大勢かけていた作業を、個人とAIだけで成立させられる可能性が高まっている。文章作成や画像生成、動画編集、さらにはカスタマーサポートの自動化まで、想像を超えるスピードで技術が進化中だ。

では、スタートアップという大きな勝負ではなく、小さいけれど着実なビジネスを組み立てる利点はどこにあるのか。まず、調達リスクが低い。投資家からの圧力や、連帯保証で首が回らなくなる心配は少ない。次に、ひとりや少人数だから変な組織論争に悩まされることもない。市場の反応を見ながら素早く方向転換でき、いざダメなら事業を畳んで別のアイデアに移行しやすい。実際、SNSやブログを活用して安定収益を得ている個人は珍しくないし、“PC一台で月商数百万”という言葉が現実味を帯びているのは驚くべきことだ。

もちろん、何でもかんでもAI任せで「楽々大儲け」などという甘い話はない。どんなビジネスモデルでも、ある程度の発信力やマーケティング知識、顧客ニーズの見極めが要求される。ただ、それさえ押さえれば、かつては数十人規模のチームが必要だった事業が、いまでは極端な話、個人と生成AIだけで回せる可能性すらある。需要がある領域を見つけ、必要最低限のコストでサービスを提供し、売上を伸ばす。そういう意味では、スタートアップの“巨額調達+大きなプレッシャー”というスタイルを選ぶより、身軽に動き回る小規模ビジネスの方が性に合う人も多いはずだ。

結局、スタートアップもスモールビジネスも「自分に合ったやり方を選べばいい」という話。大きいリスクを取りたくなければ、まずは副業レベルでこぢんまりと始めてもいい。会社に居続けるだけが正解でもないし、一気に勝負を仕掛けるだけがゴールでもない。むしろ不確実性が高い時代だからこそ、小さい勝ちパターンをいくつも用意しておく方が精神的に安定できるし、万一のときにも立ち直りが早い。

自己破産のエピソードは衝撃的かもしれないが、それは一例にすぎない。自分でビジネスを持つという行為は、巨大なリターンを狙うだけのものではなく、自分の生活と未来を守るための合理的な選択肢でもある。AIの時代においては、個人がテクノロジーの力を借りて大企業とわたり合うことさえ可能になるかもしれない。要は「どう生きていきたいのか」、そこに意識を向けることが大事なのだ。大きく攻めるか、小さく安定を取りにいくか。どちらの道を選んでも、今この瞬間が次の一手を打ち出すチャンスなのだと考えると、けっこう面白い世の中になってきたとも言えるだろう。

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