あの動画がちぐはぐな理由〜感染リスク✕生計リスクで考えてみる
あ、今の状況ってそういうことかと思ったTweetがあった。
問題の動画は見ていないのだけど&動画への反応には他の要因も関係するのだろうけれど、「ショックで受けた影響、置かれた立場が違う」から、いま人の行動や言動にモヤモヤするのではないかと思った。
Tweetで挙げられているのは以下の3つ。
①対面を伴う生業の中断を余儀なくされた人
②どうにか自宅でプロフェッショナルな活動を続けられる人
③感染リスク覚悟で社会機能維持で外出する人
(1)3つの立場をマトリックスで置いてみた。
軸は、感染リスクが高いか低いか、生計リスクか高いか低いか。
対面の生業が中断された人とは、たとえば公演ができなくなったアーティストや演劇人、それに今、営業自粛を求められている接客業の人、休業した飲食店の人。感染リスクは下がったけれど、収入が絶たれ、生計リスクは高い。
社会機能を維持する人とは医療、介護、絞られたものの保育、交通、食料品の流通はじめ物流、インフラ、社会衛生(清掃、ゴミ収集など)を担う人。これらは感染リスクは高いけれど、仕事が続いているので生計リスクは変わらない=もともと賃金が低い職種が多い。
みんなが仕事も収入もそのままでSTAY HOMEしてオンライン会議やオンライン飲み会している在宅ワーカーってわけじゃない。そして在宅ワーカーには農業とかホワイトカラーじゃない人も含まれる。
なお、以降もそうですが、円の大きさは人数を意味しません・・・。作図の都合が大きいです。
(2)ショックに対応して動いている。
たとえば、ライブが出来ないからオンラインで配信したり、ECに切り替えたり。またはニーズが増しているUber EATSのような配送の仕事を始めたり。
(3)営業を続ける人はダブルリスク
自粛のなかで対面営業を続けている人もいる。感染リスクは高いけれど、営業をやめた時の生計リスクが高い人ほど続けざるをえない。でも、営業してもお客さんは減っている。飲食店ならテイクアウトを始めたりして、感染リスク、生計リスクともに下げようとしている。
(4)在宅ワーカーばかりじゃない。
PC仕事でも紙ベースだったら&ハードが限定されていたら、オフィスに出社しなければならない。対面より感染リスクは低いものの、人との接触は生じる。リモートワークが出来る会社のなかでも、部分的にオフィスワークもあったりして、それを担わなきゃいけない人、担えない人(学校や保育園は基本休みだから)との間で溝ができる。
中小企業だったり賃金低め=生計リスク高めの会社ほど、リモートは進んでいない。工場とかだとリモートのしようがない。雇用調整助成金もらって休業手当を払うことを経営者は考えている。
(5)時間が経つとどうなるか。
収入が途絶えた&減った人がいること、そして消費の機会が最低限になっていることで全体の需要が縮む。当面は収入・仕事変わらずの在宅ワーカーも、次第に通販サイトやテイクアウトの支出すら絞るようになる。企業の経営がもたなくなり、現場ワークだけじゃなくて在宅ワークも、雇用が失われたり賃金が減ったりする。在宅フリーランスは既に、次の仕事がない事態に直面。
収入が減る人、途絶える人が増えると、「自分もいずれは」と不安も広がり、需要がどんどん縮む。細々続けていた対面営業や、さらには必要とされる社会機能も縮む。「最低限」の生活必需品の市場しか残らない。
結果的に感染リスクは下がるけれど、生計リスクが極限にまで高まる人が増える。最低限の生活さえ保たれない。
(6)じゃどうすれば
生計リスクを下げる。それには財政支出で個々の生活を支える。ターゲットを絞るのは、手続きコストが高いうえ、不公平感が生じる。生計リスクの低い人が貯蓄に回してもいい。そうすれば先々への不安から支出を絞ることを抑えられる。
(7)STAY LIVE.
全体の経済を縮ませつつ、必需+αを保って、個々の生活は成り立つように。感染リスク、生計リスクとも下がる方向へ。病気でも、経済的にも、死なないように。
財政支出で気をつけることについては、次回。