あったようななかったような
確かにあるはずのものが
ここにない現実を
突きつける暴力
そのことを少し前に書いた
確かにここにあったものが
なくなったとき
あったかどうかもわからなくて
あったようななかったような感覚だけが
遺っている
あの人は本当にいたのだろうか
あの声は本当に聴こえたのだろうか
わたしはそこにいたのだろうか
わたしはだれなのだろうか
記憶の保持が低下しているのを感じる
確かなものを手放したからなのか
デジタルモバイルのなかに
脳を半分明け渡したのか
わたしのなかに
確かなはずのものを産みたい
確かなはずでいいから
確かなものでなくていいから
あったようななかったような
そんな感覚よりも
確かなはずのものを
確かなはずのものを