ふれあう、の近くで
触れ合い、というものが好きだ。
正確には、触れ合うことを、その瞬間を、見ているのが好きだ。
肌のあたたかみを、伝え合う。けれどもそれは等価である場合がおそらくあまりなくて、触れたひとのその温度が、触れられたひとの方へとほんの少し多く、熱をもって、流れていくように思う。実際の肌の温度に関係なく、方向性としての、熱。
溶け合うように同じになるまでには時間が必要だから、たいていはその僅かに手前で、離れていく。その、距離が、決して埋められないようにも思えるその距離が、どうやら好きらしい。
そして、自らが体験するよりも、眺めている方が良い。街中のひとびと、恋人、友人、同僚、たくさんの関係性の中で垣間見る「ふれあい」の瞬間。流れていく感情の、あるかも知れないベクトルを、想像しながら。さらに言うと、想像はするのだけれど、そこにある感情それ自体には実のところそれほど興味は唆られていなかったりする。
とても平らかな場所で、フラットな意識で、ひととひとが触れ合うそのことに、私の重きは置かれていて。だから性的な、とかそういうものでもなくて、ただ「ふれあう」ことの面白みのようなものに純粋に惹かれている。
そうすることで自分もひとであったのだと、気づくような。確認するような。妙な感覚が、私の中にはあるようだ。
下書きに入れたままになっていた、いつかの言葉たち。今の自分からしても嘘はないと感じたので、とんでもなく久しぶりすぎる更新を。