雑記170511

「響かない日」

たまに、とても好きなはずのものが薄いベールの向こうにあるように、ほんの少しだけ届かないような感覚になるときがある。

遮光カーテンに透けているような、やわらかな光を部屋の中で感じている。わたしのいる場所にも光はわずかに届いていて。午後の、頂点を少しだけ過ぎた優しさがそこにはあって、きっと、恐らくは満たされている。

陽光は灼けるような強さでは決してないのに、わたしはどうしてか、そのベールに触れられない。触れない、というのが正しいかもしれない。明確な理由は、わたしにもわからない。

自分の中の、心持ち冷えてしまった芯が気になっている。わたしはどうしてあの光を、ただ笑って受け止められないのだろう、と。あるいは、わたしの中心は元々そんな冷たさを内包しているのかもしれない。

それなのに。
それだから。

言葉だけがはらりと降りてくる。ただしい、求めている言葉とは違うのかもしれなくて、困ったな、と苦笑している。

わたしはいつもどこかで、そんな小さな、薄明るい部屋に身体の一部を置いているのかもしれない。

現実に戻り夜空を見上げれば、まるい月がぽっかりと浮かんでいて、周囲を力強く照らし、輝いていた。寂しくもなく、いつものように一日は終わろうとしている。

そんな、たゆたうような、夜。

感情とは、ひととは、自分とは。きっとそんなにむずかしいわけでもないのに、どこか脆く風に揺れてしまうような日もあるんだろうと思う。

きっとすぐに、わりと簡単に忘れてしまうだろうこの感覚も、不確かに、けれど確かにここにあったわたしの一部として書き記しておこうと思います。



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